楽譜が読めないけれど、楽器を始めてみたいと思っているあなたへ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:菊田麻矢(ライティング・ゼミ平日コース)
5本の平行線の上に並ぶ、おたまじゃくしたち……。
小学生のときに、五線譜というものにはじめて出会いました。音楽の授業で、先生が読み方を教えてくれましたが、要領の悪い私は、一向にその読み方を習得することができず。楽譜に並ぶ音符たちは、おたまじゃくしにしか見えませんでした。音楽を聴いたり歌ったりすること自体は好きなのに、五線譜が読めないために、ピアノを習ったり、吹奏楽部に入ったり……といった、楽器を演奏することは避けて通っていました。
そんな私に転機が訪れたのは、大学1年生の春。友人が、大学の和楽器サークルの体験入部に付き合ってほしいというので、軽い気持ちでついて行きました。部室では、先輩たちが箏を一生懸命練習していました。箏といえば、お正月のテレビ番組でお決まりのように流れる音楽の演奏で使われている、和楽器の代表選手です。箏を弾きこなす先輩たちの姿は、新入生の私の目に、とてもかっこよく映りました。楽譜が読める人は良いよなあ、と羨ましく思いながら、部室の片隅に目をやると、そこには箏の楽譜が。楽譜をパラパラめくってみると、そこにはなぜか漢数字がたくさん書かれているのです。
「あれ!?楽譜なのに、おたまじゃくしがいない……!」
驚いた私は、思わず先輩に楽譜の読み方を尋ねました。
「箏には、13本の弦があるの。弦にはそれぞれ名前がついていて、奥から順に、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。手前の3本だけは数字ではなく、斗(と)、為(い)、巾(きん)という名前。楽譜には、その弦の名前が書かれているから、漢字がたくさん並んでいるというわけ。シンプルでしょ?」
楽譜といえば、五線譜しかないものだと思い込んでいた私にとっては、この事実はかなり衝撃的なものでした。しかも、「かんたんな曲なら、初心者でもすぐに弾けるようになるよ」という先輩の言葉に半信半疑になりながらも、先輩に教わりながら練習したところ、楽器初心者の私でも、本当に1時間で「さくらさくら」が弾けるようになってしまったのです。
五線譜が読めなくても楽器を演奏できるという新事実に興奮した私は、その場で和楽器サークルへの入部を決めました。箏のお稽古を進めていくと、楽譜には新たな記号が出てきます。しかし、弦を押すという指示は「オ」、弦を引くという指示は「ヒ」、弦を突くという指示は「ツ」など、カタカナ表記の記号が多く、日本人にとっては単純明快でとてもわかりやすいため、すぐに覚えることができます。新たな記号や奏法を覚えるごとに、どんどん演奏できる曲が増え、私は箏にのめり込んでいきました。
私が箏に夢中になったのは、楽譜が理解しやすいという理由だけでなく、箏の曲のバリエーションが幅広いため、演奏していて楽しいというのも大きな要因です。箏を始める前は、和楽器で演奏できる曲といえば、和食屋さんのBGMでかかっているような格調高い曲ばかりなのでは……?と思っていました。しかし、箏には明治時代以降に作曲された「現代曲」というカテゴリーの曲がたくさんあり、それらは現代人でも親しみやすいテンポやメロディーの曲なのです。たとえば沢井比河流という作曲家の曲の中には、「OKOTO」というローマ字タイトルの曲まであります。タイトルの雰囲気から想像がつくかもしれませんが、曲のテンポもなかなかのアップテンポで、モダンでノリのよい曲です。この曲は「箏=雅楽のような伝統的な日本の音楽」という私の固定概念を良い意味で裏切ってくれました。
「こんな曲も、箏で弾けるの!?」と驚いたことも多々ありました。たとえば、「もののけ姫」のテーマ曲や、2019年にブームを巻き起こした「パプリカ」、米津玄師の「打ち上げ花火」などなど。箏は、柱(じ)と呼ばれる白い部品を左右に動かすことで、音の高さを自由に変えることができます。そのため、さまざまな曲の音階に対応できるのです。古典的な曲から、現代の流行曲まで演奏できる。箏はそんな懐が深い楽器なのです。
箏は五線譜が読めない人にとっての、救世主ではないでしょうか。
音楽は好きだけれど、五線譜にニガテ意識を持っている方へ。楽器を演奏することを諦める前に、ぜひ箏の演奏にチャレンジしてみてください。見える世界が変わります!
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