あがり症は克服できる(多分)
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:K W(リーディング・ライティング講座)
「では、今日一日の展示会運営について、ここは改善すべきと思ったことについて意見を言ってください」
会社の新商品展示会のイベントに運営スタッフとして出張で駆り出されていた私はそれを聞いてドキッとした。
「まずい。みんなの前で話をしないといけないかもしれない」
展示会の2日目が終わってからの夕礼で社員が50人くらい会場内の大会議室に集まっていた。
周りは知っている社員6割、知らない社員4割という構成だ。
「では、〇〇さん。いかがだったでしょうか。」と司会が次々に当てていく中で、必死に当たった時に何を話せば良いかを考えていた。
どうでもいい意見が即座に思い浮かぶ。
「これでいいかな」しかし、周りで発表している人の話を聞いていると適当にお決まりの話をしている人がいない。何かちゃんとしたことを言うことが求められている状況だと理解した。
「どうしよう。全く改善すべき点が思い浮かばない」
私にはこのような状況になると困ることが2つある。
一つは緊張してあがってしまうこと。もう一つは意見が思いうかばないこと。
初めて自分があがり症だと認識したのは、就職活動の時。もうずっと昔のことだ。それまでは緊張しなかったと言うより、大勢の前で話をする状況になることがほとんどなかった。よく、あがり症の人の話として、学校の授業中に教科書をみんなの前で読むことがきっかけで認識したと言う話をよく聞くが、自分の場合は幸いにもその場面ではあまり緊張しなかった。
会社に入って、社内、社外で大勢の前で話す機会はあったが、何回もやっているうちにだんだん慣れていった。
ところが、部署が代わり、大人数の前で話す機会が減って、みんなの前で話す機会を極端に少なくなると、苦手意識が戻ってきてしまい朝礼のスピーチなどですごくあがってしまうようになった。
月曜日の朝に3分間スピーチの順番が回ってくると、その直前の土日は憂鬱だった。
当日の朝は家で作った原稿を何度も練習した。
それでもやっぱり本番ではあがってしまい、終わった後でも午前中は胃が痛く、食欲がわかないくらいだった。
先の展示会後の夕礼で、新入社員3名が意見を求められていた。みんな緊張しているのは分かったが、堂々と一生懸命話していた。このままではまずいと思った。
なんとか改善しないといけないと強く思った。
そんなとき読んだのが、『人前で「あがる人」と「あがらない人」の習慣』鳥谷朝代著(明日香出版社)という本だ。著者は元あがり症で自分が20分発表しないといけない会議をきっかけに話し方セミナーに参加したことで克服し、あがり症克服協会を作り、日々セミナーなどで、あがり症の克服のために尽力されている方だ。
読んでみると、参考になることが沢山書いてある。
私にとって頭の痛い、まさにこんな人間があがり症をなかなか克服出来ないひとだとズバリ当てはまるようなことが書いてある。
腹式呼吸の方法や発生の練習方法なども書いてある。
特に私に響いたのは、「あがり症の人は自意識過剰でええかっこしい。自分が失敗したらどうしよう、みんなにばかにされるのではないかと自分のことばっかり考えている。自分が、自分が、ではなく、話を聞いてくれる相手のために、きちんと伝わることに集中すると上がらない」ということだった。
まさにその通りだと思った。
巻末をみると協会の紹介がされていたので、ホームページを見てみた。
1日講座があったので申し込み受講した。
講座はマンツーマンではなく、他にも受講生がいて最初は恥ずかしかったが、何回も前に出て発表する機会があり、それを録画してもらって自分で映像をチェックすることを繰り返していくうちに自分のスピーチもそんなに変なものではないと思えるようになってきた。
小さなチャレンジで小さい成功を積み重ねることがあがりしょうを克服する唯一、最短の方法ということで、人にこちらから挨拶したり、話しかけることを心がけるようにした。会社の先輩、後輩、コンビニの店員、同じマンションの住人など。
そうしているうちに、仕事の大型プロジェクトが始まり、15人くらいの前で話さないといけないようになった。毎週の定例会である。毎回、自分が話さないといけない。最初はすごくいやだった。ところが、毎週繰り返していくうちに、途中からいやと言うより何か話すことにより仕事を前に進めたい、相手の意見を聞きたいと思えるようになってきた。すると周りの聞いている御客様や関連会社もなんとなくフレンドリーに聞いていただいているようになってきた。スムーズにコミュニケーションが取れるようになってきた。
ある日思った。「少しずつ改善してきている」
今でも緊張はする。でも、言いたいことを論理的に言えるようになってきている。自分の話をして終わりと言うより相手に理解してもらおうと言う気持ちが強くなってきている。
あがり症の本を買ったり、講座に参加したり、少し恥ずかしいと思いながら申し込んだが、やっておいてよかった。
もし、私と同じくあがり症で悩んでおられる人がいたら、この本をおすすめしたい。自分もまだまだあがり症が完全に治ったとはいえず、改善していかないといけないけれど。
最後に、本には書いていないが、著者が言っていたという言葉を一つ紹介する。
「あがりの無い人生はパラダイス!」
***
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