メディアグランプリ

「自分」と「相手」のグリコゲーム


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記事:吉田美奈 (ライティングゼミ 日曜コース)
 
 
「いいことを相手にすると返って来る。悪いことをすると悪いことが返って来る」そんな風に思って生きてきた。それが過度になり、そのために自分は我慢、自分は二の次にすることが良いこと、むしろ美しいと思うようになっていた。なぜそんなことになってしまったのか?
 
職場では「良い人」だが、自分ばかり我慢する分ストレスが溜まる溜まる! イライラを抑えることに多くのエネルギーを使っていた。さらに悪いことには、職場で我慢する分、家で私の沸点が低くなるのでスグ怒るママ……家族との関係が悪化。悪化してやっと、自分さえ我慢すればいいというのは、間違いだったと気付く。
 
間違いに気づき、じゃんけんグリコの競争が、自分の頭の中で繰り広げられてきた。
じゃんけんグリコとはじゃんけんをして階段を上っていく遊びである。勝った方が勝った手、グー(グ・リ・コと3歩進める)、チョキ(チヨコレートで6歩)、パー(パイナツプルで6歩)の歩数、階段を上っていける遊びである。子どもの頃、友達と2人でよく遊んだものだ。
 
頭の中のグリコゲームは「相手優先」と「自分優先」の2者が進んでゆく。始めは圧倒的に「相手優先」が進んでいるところに「自分優先」がスタート。どちらを優先するか、小さな勝負がたくさん繰り広げられた。
 
職場では、「今ココ1分」を積み重ねた。なかなか離れにくい場面であったとしても、トイレに行きたい、水分を補給したいなど、自分の生理的な欲求をできる限りすぐに満たした。「他人に迷惑をかけない」と勝手に決めて生きていたし、自由に配置から離れにくい職場なので、それはかなりの緊張を伴った。はじめは、「こんなこと意味があるの?」と自問自答しながらの開始。
 
今ココの一瞬一瞬をできる範囲で大切にすることを続けるうちに、どれだけ自分が張り詰めていたか、自分をほったらしていたかに気付く。少しゆるみ始める。ゆるむとだらだらして効率が悪くなるのではないか、と疑う自分がいたが、その方が、ここぞ! という時に無理なくこなすことができた。ゆるむ方が研ぎ澄まされると気づく。
 
それが分かりつつあっても職場に申し訳ない、家族に申し訳ない気持ち、罪悪感のような気持ちがまだまだあった。その思いを抱えながら、家族や職場との対話、自分との対話が続く。グリコゲームは抜きつ抜かれつ。「自分優先」は、とどまって動けない時もあった。3歩進んだり、6歩進んだり、ペースはマチマチ。
 
一人でゆったりする時間をつくるためにスーパー銭湯に一人で行くと言い出した時には、浮気じゃないかと連れさんに疑われる。夫婦で何度も話し合い、今では家族みんなで近くの温泉に入って夕飯を食べ、私は一人でサウナと水風呂を満喫させていただく形に落ち着いた。
 
しばらくして職場の時短制度も使い始める。1年目は時短で早く帰っているのに帰ってから仕事をしていた。時短2年目の今は持ち帰り残業を卒業。仕事の能率も上がって驚いた。自分らしくいながらも自分の良さを活かす働き方に巡り合えた。家族にも少しずつ安心が広がった。生産的に回っていなかったエネルギーが、回り始めた。
 
小さな勝負で「自分優先」を積み重ねると、靴の履き方が自分をいたわるような履き方に変わった。仕事で使うタオルは一番好きなガーゼ生地に。家事に気持ちが向くようになった。運転の仕方が、お金の使い方が変わっていく。連れさんや子ども達が私のすることを応援してくれるようになった。自分の在り方を見直して整えることが心地よい。時間の使い方が変わった。好きなことならいくつか同時にしてもぶれずにワクワクする。
 
自分の好き、譲れないものを大切にする。今すぐ大切にできないものも、今夜には、今週中には、今年中には必ず、と自分に約束する。
 
私はライフジャケットを着ないで助けようと飛び込み、自分まで迷惑をかけていたようなものだった。自分をまずは整えて満たすことが、一番大切にしたい人を幸せにすることだと今は実感がある。
 
相手のために、というのは恩着せがましいのかも、と思い始める。自分を大切に、満たしていくことに責任をもつ。そしてあふれたエネルギーが自然に広がっていく。グリコゲームは「自分優先」が勝利となった。
 
なぜ相手優先になっていたのか。相手のために頑張らなければならない、が限界を超えるほどであった原因は、他人からどう思われるかを過度に気にすることだった。他人から良い評価を得るために必死だったのである。自分の軸が無いので、他人からの評価が自分の存在価値、軸になるため、相手に応じて軸がぶんぶん動きまくるのだ。それで自分がひどくすり減っていたことが今では分かる。
 
ガス欠気味に懸命に生きてきた自分の経験を、ずいぶん効率よく楽しく活かせるようになった。昔の自分も抱きしめて、心地よさを積み重ねて生きていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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