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私は、自称「ピクニック部」部長


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ライティング・ゼミ日曜コース 廣川陽子
 
ピクニックの季節だ! 大好きな春がやってきた!
私の趣味は、ピクニック。もう10年以上の趣味だ。勝手に「ピクニック部」の部長を自称している。
「来週、できるね!」
「うん、行こう!」
先月、ピクニック部の部員(幼なじみ)とそう言い合ってピクニックをしてきた。2月にもかかわらず、気温が20度近くあった日だった。気温が高いその日を、彼女も私も見逃さなかった。この時期は、週間予報の天気と気温をチェックするのがピクニック部の日課である。
 
芝生とレジャーシート、そして太陽とご飯があれば、ピクニックはどこでだってできる。真夏と真冬以外は、暇さえあればピクニックをしている。友達と約束をして一緒にすることもあるし、友達と予定が合わなければ一人きりでも決行する。いいお天気の日は、ピクニックをしないともったいない!という、ある種の強迫観念みたいなものが私を突き動かすのだ。
 
「ピクニックって何をするの?」と聞かれることがある。
答えは簡単。「芝生の上にレジャーシートを敷いて、そこでご飯を食べたりのんびりしたりする」いたってシンプルだ。
こんなに単純なのにもかかわらず、私がピクニックに取り憑かれているのには、もちろん沢山の魅力がある。
 
外で食べるご飯は、初めて自分で作った料理のようだ。何を食べても感動的に美味しいのだ。手作り弁当はもちろんだが、デパ地下で買ってきたお惣菜、近所のパン屋さんで買ったいつものパン、コンビニのシュークリーム……どんなものでも、一口一口味わって噛み締めたくなる。そして、普段の食事がいかに「ながら」なのか思い知らされる。スマホやテレビを見「ながら」、お喋りに夢中になり「ながら」食事をしている人は多いだろう。それがピクニックに来ると不思議と食べることに集中できるのだ。
ご飯を食べ終わったら、レジャーシートにのんびり寝転がる。高級エステに来たかのような贅沢な時間だ。身体中の力が抜けて、頭を空っぽにし、鼻から空気をいっぱいに吸い込む。すると、アロマの香りのように、草や土の香りがする。季節によったら、花のいい香りがすることだってある。また、目を瞑るとエステのリラクゼーション音楽のように色んな音がすーっと耳に届く。様々な種類の鳥のさえずりや風が木々を揺らす音、虫の音、向こうの方で子どもたちが楽しそうに遊ぶ声や犬の散歩をしながら会話する老夫婦のおしゃべり……。
いつもバタバタ生活していたら気付かないような音ばかりだ。そんな音を聴いていると、心のざわざわしたものが落ち着き、リラックスできる。そして、次第に眠たくなってくるのだ。
ハッと気付けば寝ていた、なんてこともよくある。起きた時の心地良さは、子どもの頃おばあちゃんの家で夕方まどろんでしまった時のような安心感がある。
目が覚めてぼんやりと木を見上げていると、鳥が木の枝にとまってはまた飛び立っていくのが見える。理科の授業のように思わずじっと観察してしまう。飛び立って行ったカラスが何かをくわえては、私の頭上の木に戻ってくる。それを何度も繰り返していることに気づく。「あれ、もしかして巣を作っているのかな」という仮説を無意識に立ててしまう。そして、観察を続けているうちに、枝の上に小さなカラスの子どもがいるのに気づく。親カラスが巣に帰ってくるたびに、頼りない「カァカァ」という鳴き声が聞こえ、枝の合間から小さな黒い頭がチラチラと覗く。「子どものために巣を作ったり、餌を採ってきているのか!」という結論に辿り着き、生き物の子育てを図らずも垣間見ることになるのだ。その健気さ、いじらしさに胸がキュンとしてしまう。
現実的なメリットで言えば、ピクニックはお金をほとんど使わないのも良い。持ち寄った食べ物や飲み物で、何時間でも居座れる。どんなに長い時間同じ場所にいようとも、店員さんの目も、店の外に並んでいる他のお客さんの目も気にならない。
更に、このご時世にもぴったりだ。外なので、換気を気にしたり、密を気にする必要もない。のびのびと安心して過ごすことができる。
とにかく、ピクニックは良いことだらけだ。
 
この春、ピクニックをしてみようという人も多いかもしれない。そこで、ピクニック部の部長として1つ注意点を伝えておきたい。「どんなに暖かい日でも防寒グッズを忘れるな」ということだ。
長時間外にいると、思っているよりも風が冷たく感じたり、調子に乗って薄着で来てしまったことを後悔したりすることが多々ある。
コンパクトに持ち運びができるインナーダウンなり、靴下なり、マフラーや貼るカイロなりを、ぜひカバンに入れておいてほしい。せっかく気持ちのいい空間を過ごしていたのに、寒さを感じて早々に退散しなければいけなくなる、なんてことを私も過去に何度も経験した。今日は大丈夫、と思ったとしても、季節に応じて何か1つは防寒グッズを持って行ってもらいたい。
 
あ、あともう一つ。一人でピクニックに行く場合の注意点も。
一人でレジャーシートを敷くのは、難しい。想像してみてほしい。広げたレジャーシートがパタパタと風にはためいて、向こう側の端をピシッと綺麗敷けない。カップルが仲良くピクニックを楽しんでいる隣で、一人悪戦苦闘する姿は何とも言えず滑稽である。何でもないふりを装って、内心必死にシートを敷く時間は、なかなか厳しいものがある。その点、覚悟は必要だ。だが「喉元過ぎれば熱さを忘れる」だ。ピクニックが始まってしまえば、快適な時間が待っているので安心してほしい。
それでも不安な人はまず、家族や友達、恋人とレジャーシートを敷いてみると良い。
 
ピクニック部は、随時部員募集中である。
 
 
 
 
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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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