私の頭の中の理想と現実
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:相澤 めぐる(ライティング・ゼミ 日曜コース)
息子が5歳の時に、ある絵本作家のワークショップに連れて行ったことがある。近所の書店が主催したもので、その絵本作家の新刊出版を兼ねたイベントだった。夏休みの出来事を題材とした壁新聞を作るワークショップで、見出しや絵の描き方を作家先生が教えてくださるというものだった。
開催場所はこれも近所のコミュニティホールで、参加者は5,6人だったか。とてもこぢんまりとした、アットホームな雰囲気だった。参加者も、息子と同じくらいの幼稚園のお子さんから、小学生の子までと割と幅広かった。
緊張する要素は何もない。私が見た感じでは、幼稚園のお絵描きの時間とそんなに変わらなかった。参加者も、小学生の子は黙々と作業に取り組んでいたけれど、幼稚園の子は付き添っている母親にあれこれ話しかけたり、自由にお絵描きを楽しんでいる感じだった。
それなのに。息子はいつまで経っても何も描けなかった。配られた白い紙を前に、固まっている。「なんでもいいんだよ。夏休み中、何が楽しかった?」私は優しく聞いてみた。「海で泳いだこと」息子はすぐに答えた。ちゃんと描きたいことはあるんだ。
いつまで経っても白紙のままの息子を先生は気にかけてくださった。「絵を描くの嫌いなの?」首を横に振る息子。
「そっか。じゃあ、先生が描いてみるね。海で泳いだことかぁ。こんな感じはどうかな」
先生は、さらさらと泳いでいる男の子のイラストを描いてくださった。すごい。さすがだ。
「波はこんな風にくねくねした線を描けばいいよ。魚やタコを描けば、にぎやかで楽しくなるよね」と、先生はあっという間に楽しい海水浴の絵を完成させた。息子は、食い入るように先生の手元を見つめていた。
最初は、こういうワークショップへの参加はまだ早かったのかなと少し後悔したけれど、帰宅してからも息子はずっと、「先生はすごい!あんな絵をすぐに描けるなんて!!」と、興奮して言っていた。良い経験にはなったようでホッとした。
そして、月日は流れ、私は今、天狼院書店のライティングゼミを受講している。先日、初回の講座を受講したばかりだ。
コロナ禍ということもあり、講座はオンライン視聴。私としては、聞き逃したり理解できなかった箇所を何回でも繰り返し観られるので、動画配信のシステムはありがたかった。第一講はABCユニットについて。なるほど、ライティングゼミのPR文章に何度も出てくるこの言葉は、こういうことだったのか、と膝を叩いた。
ところが、課題を書こうとしたところで、私の手は固まった。ABCユニット。理論は理解したけれど、文章としてどう肉付けしていくのかはその人の技量にかかっているわけで、考えれば考えるほど私は何も書けなくなった。趣味で書いていた日記替わりのブログすらも書けなくなった。
加えて、Facebookグループにどんどん上がってくる他の受講者の方の課題文。気になって、つい読んでしまう。うーん、すごい。え、みなさん、これ本当に初回の課題なの?
圧倒されて、ますます何も書けなくなる私。
そこで、ふと4年前のあのワークショップのことを思い出した。
白い紙を前に、何も描けずに固まる息子のことを。
今の私と同じだ。
苦笑した。そうか、息子は描きたかったけれど、描けなかったんだ。
頭の中では描きたいことの理想があって、でも、それをどう表現していいのかわからなくて、描けなかったんだ。さらさらとイラストを描く先生に圧倒されていたんだ。
ライティングゼミの課題のサンプル記事に、こう書いてあった。
「毎週提出する課題がこのゼミの肝」
「課題を出さない人もいるけれど、出さないと書けるようにはなりません」
そうですよね。まずは、書くことから始めないと。
ライティングゼミの魅力は、講座の内容だけじゃない。提出した課題にフィードバックがつくことだ。実は、私の友人が、先にリーディング・ライティングゼミを受講した。その友人の書いた文章をFacebookで読む機会があり、私は天狼院書店のことを知ったのだ。
その友人曰く、「提出した課題のフィードバックが、ライティングだけじゃなくて 自分の考え方のクセや傾向を指摘してくれて、それがまた興味深いよ」と。
書こう。そして、とにかく提出しよう。
結果や、自分の書いた文章がどんな風に読まれるかは、二の次だ。
ワークショップで何も描けなかった息子は、今でもあの時のことを楽しそうに話してくれる。その場で買った先生の絵本は、10歳になった今も時々取り出して読み返している。先生のサインとイラスト入りのその絵本は、息子にとって宝物だ。何も描けなかったけれど、あの場に参加できたことが、息子にとっては貴重な体験となった。
私の場合は、ただ単に参加するだけではダメだ。
幼稚園児の息子が参加したスポット的なワークショップと違って、読ませる文章を書けるようになりたいと、目的を持って受講料を払って参加しているゼミなんだもの。
頑張ってここまで書いた。
きっと、提出するまでには、また葛藤や迷いが出るのだと思う。
でも、とにかく書いて出す。
そうすれば、きっと私にとってもこのゼミに参加したことは貴重な体験となるに違いない。例え人生は変わらなかったとしても。そう、あのワークショップに参加した息子のように。
***
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