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立ってみなきゃわからない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉山佳那恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
午前4時53分。
今日もパソコンを開いて立っている。
とっておきの机=収納棚や靴箱を使って⋯⋯。
 
私をちょっぴり元気にする習慣は、できるだけ「立って」何かをすること。
「よし、立たねば」
そう家の中で決意したのは、2年前の冬のこと。
休日、ごろごろとスマホをいじりながら、あるネット記事を見たのがはじまりだ。
  
「座りっぱなしは、健康寿命を縮める」
「日本人は座りすぎている」
その記事に目を通し終わると、自宅にあるキッチンカウンターへと移動し、カウンターの上に散らかっているものを片付け始めた。
私はカウンターを勉強机にしようとひらめいた。
自分の身長を考えると少し高さがあったけれど、すぐに慣れた。
そして、それまではただの物置と化していたものが、とっておきの机に変わったのだ。
 
立って勉強をする方法に出会う前は、椅子とテーブルのある一般的な勉強机でテキストとノートを広げたり、スマホの学習アプリを使ったりしていた。
「していた」と言っていいのだろうか⋯⋯。
なんせとっても眠く、はかどらない。
平日、仕事から帰ってきた私の体には、勉強するという余力は残っておらず、いとも簡単に眠気に襲われた。
  
しかし、カウンターに立って勉強を始めてからは、睡魔に邪魔されることがなくなり、自然と勉強がはかどるようになった。
ちなみに今現在は、キッチンカウンターのない部屋に引っ越してしまったため、収納棚と靴箱を机代わりにしている。
後々、この立って勉強する机のことを「スタンディングデスク」と呼ぶのだと知った。
  
あるネット記事によると、これを活用した作業や勉強には4つのメリットがあるらしいので、そのうちの二つを抜粋する。
 
その一、「生産性が46%向上する」。
これは、アメリカにあるテキサス大学がコールセンターの従業員を対象に、座ったまま仕事をするグループと、スタンディングデスクを使い立って仕事をするグループの二つに分けて行われた。
その結果、スタンディングデスクを使い電話をかけたグループの生産性が成約率の比較によると、46%あがったことが証明された。
また、これを使い続けた参加者のうち、肩こりや腰痛に悩まされていた75%もの人にその症状の改善がみられたという。
 
その二、「脳にもいい」。
テキサスA&M大学では、34人の学生を対象に研究が行われた。
これによると、彼らがスタンディングデスクを24週間使って学習をしたことで、記憶力が向上したという。
脳の血流を良くなり、ワーキングメモリという「短い時間にある情報を心の中で保持しながら、同時に処理する力」が高まったためだ。
これは、例えば勉強では単語や公式を覚えるなど、知識を積み上げることにも役立つ。
何かを暗記したいときにも「立ち勉強」はいい効果をもたらしてくれる。
  
立つことを習慣づけてから、3年目になる。
そして最近ふと気づいたことは、満足感や幸福感にもこの習慣が繋がっているということ。
職場では、座りながら仕事をすることがほとんどのため、家で座る時間は極力作らない。
ひとり暮らしだからできることかもしれないが、家では食事するときは基本的に立って食べるようにしている。
 
以前まではごはんを食べるときは当たり前のように座っていたのだが、座っているとついテレビのリモコンに手を伸ばしてしまい、テレビを見ながら食事をし、その後もだらだらと見続けてしまう。
すると時間はあっという間に過ぎ、あとから罪悪感となって自分にのしかかる。
「それならいっそうのことごはんも立って食べてみよう」そう思い、はじめた。
すると、意外にも食事に集中ができ、テレビをつけようとすら思わなくなった。
また、集中して食べているためか満足感が増し、もうちょっと食べたい気持ちが抑えられるようになり、「ほかに食べるものはないか」と冷蔵庫の中を覗く時間の削減にもつながった。
心置きなく、そのあとの活動へすぐさま切り替えられるようになったのだ。
 
さらに今年からはダイエットスリッパ(足をのせる部分にツボを押す丸いものがあり、かかとが短いものを使用)も取り入れ、そんなこんなで家では立って生活する時間を有効的に増やしてきた。
また、平日であれば、帰宅後にようやく椅子に腰をおろすのは、洗い物もお風呂も済ませ、いつでもふとんに入る準備が整ってからだ。
 
そして、私は気づいた。
座って好きなことができる時間がこんなにも幸せで、至福なひとときであることを。
好きな飲み物を用意して、読書をしたり、テレビで録画した番組やYouTubeを見たりと、思い思いのことをする。
そうすることで、今日も一日「立って」頑張りましたと、自分を少し称えながら、罪悪感なくだらけることができるのだ。
きっと、立って生活することの良さであったり、それによって感じる座る幸福感であったりは、本当に些細な喜びである。
しかしながら、これを続けることによって少しずつ家で過ごす時間が充実し始めたのも事実だ。
 
だから、この記事をもし最後まで読んでくれている人がいたら、どうか今、ちょっと立ち上がってみてほしい。
立ってみたら、きっとわかるから。
 
 
 
 
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2021-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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