焚き火のススメ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:早藤 武(ライティングゼミ・「超」通信コース)
「なぜ上手くできないのだろう」
私はとても悔しいことに、せっかく楽しみに来た場所で苦戦していました。
仕事のない週末に、社会人になってからの趣味としてソロキャンプに挑戦して自宅から車で1時間くらいの場所の湖のそばにあるキャンプ場に来ていました。
自宅でテントを組み立てる練習をしていたので、キャンプ場に着いてテントが風に吹かれながらでも、なんとか1人用のテントを組み立てて杭で固定することができました。
寝袋や食料を入れたリュックをテントの中に入れて、折り畳み式のテーブルとイスを組み立て、やっとひと息つくことができました。
これで今夜の寝床を確保することができました。
到着してから夕方を過ぎていたので、太陽も沈みかけていました。
暖や明かりをとるために焚き火をしようと腕の太さくらいの薪に火を付けようとバーベキュー用の着火剤に火をつけて燃え上がるのを待ちました。
ところが、太い薪に火が燃え移らないのです。
火が足りなかったかなと思って、予備の着火剤に火をつけても太い薪にはいっこうに燃え移ってはくれませんでした。
「なぜ上手くいかないのだろう」
子どもの頃に連れて行ってもらったキャンプでは、大人たちが焚き火をするときには簡単に火を付けていたという思い出が残っていたので、薪に火をつけることに苦戦するとは思ってもみませんでした。
「どうかされましたか?」
私が苦戦している姿を気に留めてくれたのか、とても優しい声で見回りをしていたキャンプ場の管理人のおじさんが話しかけてくれました。
管理人のおじさんは私に話しかけた後に、着火剤が燃え尽きて少し焦げた太い薪を見つけて何が起こっているのか大体わかったような表情をされていました。
「なるほど、もしかして薪に火がつかなくてお困りでしたか?」
私は楽しみに来たはずなのに、悔しい思いをしていたところに素晴らしい理解者が現れたことにとても嬉しくなって、管理人のおじさんの言葉に何度も頷きました。
「私でよろしければ横からお手伝いをするので、せっかくですから火おこしをご自分の手でやってみましょう」
管理人のおじさんは、私の横に来て言葉で説明しながら、時には直接やり方を見せてくれることで焚き火のやり方を伝授してくれました。
まずは太い薪を何本か残して、他の太い薪をナタで割って親指くらいの細さにしていきました。
薪を割っている間に、管理人さんが細い枝と松ボックリを持ってきてくれました。
「これで下準備は大体できました。割った細い薪を何本か組み上げて、その下に細い枝を敷き詰めて下さい」
私は言われた通りに細い薪を3本ほど背の低い脚立のように組み上げて、下にできた三角の空間に細い枝を入れていきました。
「細い枝の近くに、この松ボックリを置いて火をつけましょう。松ボックリは松脂を含んでいるのでよく燃えて、着火剤になってくれます」
ライターで松ボックリに火を近づけると松ボックリが燃え始めて、細い枝に火が燃え移り始めました。
「小さな火が段々と育っていくイメージで、小さな枝が燃えてきたら、少しずつ細い薪を足していって下さい」
細い枝まではすぐに火が燃え移ってくれていましたが、細い薪まで火が広がってもしばらく火がつくまで時間がかかりました。
しかし、細い薪に火がつくと細い枝の時よりも持続して燃え続けてくれています。
「上手にできていますよ。何本か細い薪を足して燃えてきたら、次はいよいよ太い薪をいれていきましょう」
最初に燃やそうとしても、燃えなかった太い薪を1本火の中にそっと入れました。
着火剤の時よりとても大きな火の中に入れても、なかなか太い薪には火がつきません。
「大丈夫、ここから火の勢いをさらに上げるために、空気を送り込みましょう。火吹き棒はお持ちですか?」
私は火吹き棒を持っていなかったので、うちわで一生懸命に火へ風を送りこみました。
すると風を送り込まれた火が、勢いを増して太い薪を包み込むほどの大きさになりました。
そして、ついに太い薪に火がつき始めました。
太い薪には水分が含まれていたのか、木の繊維の隙間から水が滴り流れていきます。
この水分が最初に着火剤だけでは火がつかなかった原因のようです。
水分が抜けて太い薪は大きく燃え始めました。
「もう大丈夫ですね。あとは太い薪が燃え尽きそうになる前に足して、残った細い薪を入れて火の勢いを上げてあげれば、焚き火を楽しめますね」
にっこり笑いながら見守ってくれた管理人のおじさんに、頭を下げてお礼を伝えました。
「私も小さな頃に初めて焚き火をした時に、貴方と同じようなことになって、父から火おこしの仕方を教えてもらいました。誰でも最初は初心者なのですから、遠慮なく先人に頼って下さい。今日は私も思い出に触れることができて楽しかったです」
管理人のおじさんは、手を振りながらテントから離れていき、見回りにもどっていきました。
最初は、せっかくキャンプを楽しみに来たのに悔しい思いをしましたが親切な人から教えを受けることができて、とても幸運でした。
そして自分の手で育てた火で心癒されて身体を温めながら、今夜は残りの時間をのんびり楽しく過ごしたいと思います。
私が誰かに火の起こし方をいつの火か教えるチャンスが巡ってくる楽しみができた週末のお話でした。
***
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