『情熱大陸』心臓外科医新浪博士/オレは職人心臓外科医
思えば「仕事」という言葉を、躊躇なく使えるようになったのは、つい最近のことかも知れません。
僕は長くフリーターをしていて、従ってほとんどの期間をアルバイトで生計を立てていたので、それに対して「仕事」ということに、いささか躊躇する想いがございました。
それは、常に「仕事」というワードが思い浮かぶ時に脳裏で比較してしまう対象があったからです。
その対象こそが、僕にとって医師という職業でした。つまり、医師が言う「仕事」とアルバイトの僕が言う「仕事」とはあまりに乖離があるのではないかと思っていました。もちろん、仕事や職業に貴賎はないと言いますが、客観的に見たり、法制度的にはそうかもしれませんが、主観的な意味において、僕はそれまでの自分が生計を立てるためにやっていたことを、どうしても命を救う医師がいうところの「仕事」と同じとみなすことができないでいました。
それは、もしかして、大学生時分に親の仕送りで「飲み会」をしていることに、大きな違和感を覚えていたのと同じ感覚なのかもしれません。
ともあれ、今日の『情熱大陸』。
心臓外科医新浪博士(ひろし)医師は、間違いなく、僕が思い描いていた「仕事」をする人でございます。
年間のオペ数は300件以上。
成功率98%以上で、三年間人を死なせていないという。
他の病院で手の施しようがないと言われた患者を多く受け入れての数値です。その凄まじさがわかるだろうと思います。
「手術は生活の一部」
と、新浪医師が言います。
「我々は職人」
とも言います。
番組を観て印象的だったのが、この人の目です。目が、怖い。実に、怖い。
真剣なのです。表現がおかしいのを承知でいえば、目が「本気で真剣」なのでございます。
新浪医師は、オペの前、天を見上げ、実に真剣な眼差しで祈ります。
「藁をもすがる思いで俺を頼ってくれた患者のためなら何だってやる」
番組の途中からその真剣な眼差しが、不思議と怖く見えなくなり、頼もしく見えるようになりました。
ふと、こう思いました。
この人はもしかして、途方もなく臆病な人なのではないか。
だから、あそこまでやる。寝る間も惜しんで働き、準備し、アフターケアし、学び続けるからこそ、圧倒的な結果を残すことができるのではないかと思いました。
そんな新浪医師も、夜勤のベットの上で、さすがにホッとした表情を見せました。
「山崎豊子の『白い巨塔』に影響を受けた。財前五郎に偶像を見た。医者ではなく、外科医になりたかった」
やはり、小説には人の人生を変える力があるのだと、本屋らしく思いました。
天狼院にももっと小説を置かなければならないかなと思いました。
そのあとのシーンで、まさに「じぇじぇじぇ」でございました。
兄に影響を受けた、と出てきた兄が、なんと、あのLAWSONトップの新浪さん!
いやー、すごい兄弟が世の中にはいるものですね!
新浪医師は兄の前では、弟の顔をしていました。
それを見て、あ、この人もやはり人間なんだ、と少し安心しました。
「95点を取って帰ると、なんで100点とらなかったの?」
と言う母親だったという。
その母親あっての新浪兄弟なのでしょう。それは単なる偶然DNAが優れていただけという話ではなく、きっと教育などの環境の要素が大きかった。すなわち、必然。
人は、その環境如何で大きく成長できるということでございます。
そして、天狼院書店は、そういう場所でありたいと思っております。
番組を見終えて、改めて僕は自分に問いかけました。
今の僕の働きは、ちゃんと「仕事」と言えるものだろうか。
まだ、わかりません。
それは天狼院書店の成功如何によるものだと思っております。
今月の26日、いよいよ、天狼院書店の1店舗目「東京天狼院」が池袋にオープンします。
【東京天狼院オープンニング情報】
天狼院書店が9月26日(木)に、ついにリアル書店をオープンさせます!
場所は池袋です。
オープニング関連イベントのスケジュールは以下のとおりです。
9/12 天狼院プレリュード in OCEAN Casita〜書店と出版の未来を「超」前向きに考える会SPECIAL〜
*こちら参加申し込みできます!→ http://kokucheese.com/event/index/110423/
9/20 「黒船来航」出航除幕式〜プレオープン〜
9/26 東京天狼院プレミア〜オープン〜
皆様のご来店、心からお待ちしております。
*天狼院書店のFacebookページができました!→ 天狼院書店Facebookページ