メディアグランプリ

30歳はオバサンなのか問題


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川端彩香(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「妊娠した」と2つ年下の妹から連絡があった。私たちは三姉妹で、私と一番下の妹はまだ独身なので、我が家にとっては初孫だ。妹が母になるなんて、なんだか変な気持ちだ。ペットは飼っていたが、人間の新しい家族が増えるのは一番下の妹が生まれて以来、つまり25年振りなので、やっぱり変な気持ちだ。
みんな大喜びで、もちろん私も大喜びで、「おめでとう!」と言葉をかけた次の瞬間、こう思った。
 
「え、ほな私、オバサンなるやん」
 
甥っ子なのか姪っ子なのかはまだ不明だが、どっちにしろ私は必然的にその生まれてくる子のオバサンになる。
 
思ったと同時に口からも出ていたようで、すかさず母になる妹に「いや、もうそんな歳やろ」と突っ込みが入る。「まだ姉は30歳やけど、妹は25歳でオバサンになるんやで」とも。まぁ確かに25歳でオバサンは抵抗があるかもしれない。でも30歳(厳密に言うと、まだ29歳)の私も抵抗がある。
 
てか、30歳って世間から見てもオバサンなの……?
 
童顔のおかげで、いつも実年齢よりも若く見られることが多い。高校生の時は中学生、大学生の時は高校生、社会人7年目の今でも3年目くらいと思われることが常だ。良くも悪くも、実年齢より若く見られることには慣れている。
 
でも確実に歳は重ねていて、見知らぬ人からの呼ばれ方も「お嬢さん」から「お姉さん」へといつの間にか変わっていた。「女の子」も「女子」に変わり、そして「女性」になった。そしていつか「オバサン」になる。それはいつなのか? 今でしょ!
……え、そうなの? 今なの? ワタシ、オバサンナノ?
 
私と同年代であってもなくても、すでにお子さんがいる方は「〇〇ちゃん家のオバチャン」と呼ばれることも少なくないだろう。でも私はそうではない。「オバサン」と呼ばれたとしても少し意味合いが変わってくるのだ。そう見えている、ということなのだ。
 
実際、どこからがオバサンで、どこまでがお姉さんなんだろうか。
その線引きは、どこなのか?
 
光浦靖子さんが読者の悩みに答えているエッセイがあるのだが、そこには「女性が着替えているときにドアを開けてしまった男性が、ノックをし忘れた! となるか、カギかけとけよ! となるか」で判断すると書いてあった。前者はお姉さんで、後者がオバサンだ。
 
なるほど。なかなかに厳しい。異性にそんなこと言われるなんて、めちゃくちゃ厳しい。「カギかけとけよ、ブス!!!」なんて言われた日には、私は泣いてしまうだろう。世間よ、オバサンに対して厳しすぎないか?
 
そして私はどっちなんだろう? 「カギかけとけよ!!!」って思われてしまうのだろうか。それともまだ、ラッキーって思っていただけるのであろうか。聞いてみたいが、怖い。
 
異性にどう思われるかというのは、判断材料としてかなり有力なものではないかと思う。しかし、子どもの意見もなかなか馬鹿にはできないだろう。彼らには悪意がない分、大人の心をえぐる時の威力は凄まじい。「オバサン」と呼ばれるか、「お姉さん」と呼ばれるか。彼らは良くも悪くも嘘をつかない。
幸か不幸か、私の周りには子どもがいないので、確かめる機会はないのだが。
 
そしてここまで書いてみて思った。オバサンになるって、そんなに悪なのか? 歳を重ねるということは老けるということだが、それってそんなに悪いことなのか? 若いことだけが最強なのか?
 
人は生きていれば、誰もが平等に、必ず年をとる。そして「若さ」という武器を失う。「若いから」で許されていたことも、どんどん許されなくなっていく。他人の見る目も厳しくなっていく。いつから、何歳から、という明確な線引きはない。本当にいつの間にか、私たちは無意識のうちにその線を越えているのだ。今は、いつ初めてオバサンと呼ばれるか怯えて(?)いる私も、いつかはオバサンになる。そしてその線は知らぬ間に超えているのだろう。
 
でも歳を重ねることで得られるものも多いと思う。自身の努力や意識も必要だが、いろんなことを経験して視野が広がる。可能性も広がる。責任は伴うが、その分自由だ。人生の先輩方の経験値や視野の広さは、若さだけではなかなか太刀打ちできないものだ。
 
アザや傷が治りにくくなったり、疲れが取れにくくなったり、カラオケや飲み会でオールができなくなったり……。歳を重ねたという現実から目を背けたくなることも自然現象として起こるようになるが、そんなに悪いことばかりではないのだ。何かを得るということは、何かを失うことなのだ。……と、誰かが言っていた気がする。
 
なんや。オバサン、意外と悪くなさそうやん。
 
ということで、甥っ子か姪っ子か、正直どっちでも良いが、妹が元気な赤ちゃんを産んでくれることを祈っている。なんて呼ばせようかと考えていたが、オバチャンでいいや。呼ばせてやろう。好かれたいがためにいろんなものを貢ぐ、都合の良いオバサンになってやろうと今から張り切っている。
 
ただ、妹の子ども以外からの「オバサン」はまだ受け付けない。なんかそれは違う。もう少しだけ「お姉さん」と呼ばれたい気持ちも残っている。
 
結論、30歳女性は繊細で、複雑で、「オバサン」と呼ばれることに敏感な生き物である。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事