メディアグランプリ

優雅な時間が心に癒しを与えてくれた


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記事:ぬもさん(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
コロナ禍でストレスを感じていると答えた人は、コロナ前の約2倍らしい。
私もその一人だ。
まだまだ遠くには出かけられそうにないけれど、ほんの少しでもどこかへ出かけたい。
非現実を体験したい! そう思って私はあるホテルを予約した。
 
イギリスのヴィクトリア朝様式のデザインを取り入れたホテル。ウォルト・ディズニーがビクトリア時代の末に生まれ、その時代の価値や理想を大切にしてきたと言われている。
ここまで言えば、私がどのホテルに行こうとしているのかお分かりであろう。
そう、「ディズニーランドホテル」だ。
 
ディズニーランド入り口にあるそのホテルは、舞浜駅からも良く見える。日本とは思えないような外国風の外観は、ひときわ異彩を放っている。
京葉線の電車を乗るたびに、窓から見えるその建物にいつかは泊まってみたいと思っていた。
今回はホテルの宿泊のみ。1泊だけ非現実感を味わおうという計画だ。
 
いざ、出発!
自宅から約1時間と比較的近くにあるため、旅行感はほぼないものの、「ディズニーホテル」というだけでワクワク感があった。他のホテルと比べてもちょっぴり価格が高いというのもあり、どんなホテルなのだろうかと楽しみだった。
舞浜駅につき、ホテルへと歩き出す。
近づくにつれて、ホテルの大きさと豪華さにテンションが上がる。
ミッキーの形に刈られた木々、ホテルの庭にはティーパーティができそうな場所がちらほらとあり、今まで私が宿泊したホテルとは違っていた。貴族が住む洋館と言えば伝わるだろうか。
ホテルに入ると、さらに現実感がなくなる。まるでタイムスリップした感じだ。ヴィクトリア朝時代を実際に知らないが、世界史の教科書で見たことがあるような豪華な装飾とピカピカに磨き上げられた大理石、ホテルの上まで見渡せる吹き抜け構造。圧巻である。
もう少し派手な洋服でくるべきだったかなと若干後悔はしたものの、気分は上流階級のお嬢様になっていた。
 
ロビーへ行くと、時間がとてもゆっくりと流れているように感じた。
私と同じようにチェックインの時間を待つ女性グループや家族づれの方、本などを読みながら雰囲気を楽しんでいる年配の方など様々な方が思い思いに楽しんでいた。
もうすぐ15時になる頃合いだ。本来なら、ミーティングや資料作り、メール対応など、せかせかと働いている時間だ。スマートフォンをつければ、仕事の着信だらけであろうことはわかっていたが、我慢した。私は今、貴族のお嬢様の魔法にかかっている。下僕になるのはもうちょっと堪能してからにしよう。
 
「ようこそ、ディズニーランドホテルへ」
「お客様のお名前を教えてください」
受付にいくと、丁寧に手続きをしてくれる。
「本日お泊まりになるお部屋ですが、ワンランクアップしたお部屋はいかがでしょうか?」
いきなり営業トークなの? と疑問を持ちつつ、追加料金を気にしてやや現実に戻される。
「あの、追加料金いくらでしょうか?」
「いえ、追加料金は発生しません。お一つお部屋に空きが出たのでご案内をさせていただきました」
少々驚いてしまったが「お願いします」と伝えた。こんなことがあるのだなと思いつつ、身を任せることにした。
 
お部屋に着くと、広いとしか言いようがないくらいの広さだった。
フカフカのベッドが2つ、ソファとテーブル、自宅よりも広いお風呂場。窓からはディズニーランドの象徴であるシンデレラ城が見える。なんて豪華なんだ!
特にホテルでやりたいことはなかったが、紅茶を飲んだり、ホテル内をウロウロした。それだけで満足だった。
 
「はぁ〜、まったり幸せだなー」
そう思った途端、コロナで忙しかった出来事がブワッと脳裏に浮かんできた。
私の会社は医療機器の販売をしている。体温計やパルスオキシメーターなどコロナがきっかけで一気に家庭に普及した。
この1年半、膨大な数の注文対応に心は疲弊しきっていた。プライベートの時間でも対応せざるおえない時さえあった。終わりの見えない状態に嫌気もさしていた。
でも、頑張ったからこそ「幸せだなー」と言えるのかもしれない。
あの時、販売した体温計やパルスオキシメーターは、どのくらい人々に役立っているのだろうか。コロナそのものを治療するものではないが、手助けになるものであってほしい。
医療従事者も飲食関係者も子供を持つ一般の家庭もみんながコロナの被害者だったに違いない。だからこそ、コロナが収まりつつある状況がこのまま続いてほしい。
1泊ではあるけれど、一息つける時間は、とても大切なことだと気付かされた。
 
今回のホテル体験で、私に新しい目標が生まれた。
本物のヴィクトリア朝時代が存在したイギリスへ行ってみたい。今度はもう少し派手な服装でタイムスリップ気分を堪能するぞ!
 
 
 
 
***
 
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2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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