メディアグランプリ

絶望感と「文章を書く目的」の間で


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:辰巳 まみ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
部屋の隅っこに陣取っている、お気に入りのソファの上で、私の思考回路はショート寸前に陥っている。
考えても考えても、なぁーんにも浮かんでこない。ABCユニットどころか、そもそも「文章を書く目的」から、一歩も前に進めない。苦しい。なにこれ。
真っ白のままのメモ帳と向き合いながら、気づけば涙がほほを伝っていた。
 
天狼院書店のライティングゼミに申し込んだのは、ライターという仕事にしながらも、まともに「文章」を学んだことがなかったから。
……というのは建前で、ある文章教室に参加したら「文学的で面白い文章を書くね。エッセイでも書いたら、どこかの賞が取れそうだよ」と言われたからだ。
その時の私は褒められることに飢えていたこともあって、思いっきり舞い上がってしまい「よし、エッセイでなんか賞をとるぞ!」と意気込んで、以前から何度か耳にしていたライティングゼミに申し込みをしたのである。
 
この時の自分に教えてあげたい。
「あれはリップサービスだよ。思考が安易すぎるよ。この後、あなたは高校3年のインターハイ予選で、フライングした時以来の絶望感を味わうよ」と。
 
最初にお伝えしておきたいが、ライティングゼミを受けていることに後悔はない。
「外で働くのはもう懲り懲り。家でできる仕事はないかな?」と勢いで始めたライターという職業。そのため、何もかも手探り状態で今まで仕事をしてきていたので、見聞きすること全てが新鮮で面白いし、納得がいくものばかりだ。
ただ、面白いと思うたびに、すごく勉強になると思うたびに、どんどん自分自身がどれだけ空っぽかが浮かび上がってくる。
 
例えば、事前課題にあった「手痛い失恋のエピソード」に取り組んだとき。
女物のカチューシャを見つけたときの映像も感情も、鮮明に思い出せるのに、うまく言語化できなかった。
唸りながら書いた文章は、よくよく読むとものすっごくペラペラ。空っぽな私がそのまんま文章になっているように感じた。
 
いや、講義中から自身の空っぽさには気づいていたので、課題を通して突きつけられた感じだ。だって、講義中にちょいちょい紹介される本を、ぜぇーんぶ知らなかった。
 
そして、今だ。
 
なぁーんにも浮かんでこない。
そもそも「文章を書く目的」が思いつかないのだから、スタート地点にも立てていないのだ。
厳密に言うと、書こうかなと思うことが浮かんではくるのだが、お客さまに読んでいただくことを考えると、私の脳内に浮かんでくること全てがただの自己主張だと気付かされるのである。
真剣に課題に取り組めば取り組むほど、明らかになるのは「文章を書く目的」や「ABCユニット」ではなく、自分自身がいかに空っぽか、なのだ。
 
外の世界に対しても、中の世界に対しても、表面ばかり見ている。物事を深く分析したり、考えたりして生きてきていないのだという現実を突きつけられている。
嫌になったらすぐ逃げることを繰り返してきたのもあるだろう。状況を好転させるために粘ったり、「これからが醍醐味だよ」というのを経験してきていない。
すらすら書いている同期の方は、上記に挙げたようなことをきちんと経験してきているのだろうと思う。
 
そんなことを考えていると、正直、もう書きたくない。逃げたい。
 
だけれども、今感じている絶望感や空っぽさは、まだ大丈夫。
365日24時間いつかかってくるか分からない上司の電話にビクビクしていたあの頃や、同じ部署の隣の席の人が電話口でものすごい剣幕で上司に怒られているのを聞いて自分も怒られている気分になっていたその頃に比べたら、なんてことない。
まだしっかり息は吸えているし、掛け布団が鉛のように重くて布団から出てこられないなんてこともない。
 
実際、こうやってキーボードを打っている。
 
だからといって、文章を書く目的やABCユニットが浮かぶ気配はびっくりするくらいゼロだ。
これもちゃんと提出できるのか、書いている今は分からない。
だけど、まだ心臓は一定のリズムで動いていて、呼吸も荒くなっていないから、もうちょっともがいてみようと思う。
 
ここまで書いていて、「もしかしたら伝えたいことが本当はあるけれど、そこに何かしらの老廃物がついてしまって自覚できないようになってしまっているだけ。なんてこともあるかも」と思えてきた。
そうなると、老廃物を削ぎ落とす作業をしながら、骨密度を4ヶ月でできるだけ高めればいいわけだ。月1万円も支払いながらただぽよぽよ太って不健康になっていくだけなんて、どMすぎる行為だし。
 
できる気配はまぁーったくしないけど、諦めなければ、それも叶うかもしれないので、もうちょっとこの絶望感と付き合っていこう。
 
脂肪や老廃物を削ぎ落として、空っぽの中にちょっとずつ経験や文章を書く目的などを詰めていって、ボン・キュッ・ボンBODYになっている4ヶ月後の自分をイメージして。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~21:00
TEL:029-897-3325



2022-02-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事