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アウトレットと海外旅行は迷ったら買え


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記事:アウリの寝言(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
休日の二度寝をさせまいと携帯が鳴った。
「誕生月の割引があるからアウトレットモールに行かへん?」
友人Kが開口一番こう言った。
 
初めて会った時からグイグイ来るなぁと思いながらもどこまでが本気なのか掴めない性格だったので、正直ここまで友達付き合いが続くとは思っていなかったが縁とは不思議なもので…
付き合いはすでに10年を超えてしまった。
 
何も予定を入れずにのんびり過ごそうと思っていた矢先の誘いに戸惑いながらも、楽しそうだったのでOKの返事をして夕方に集合することが決まった。
類は友を呼ぶのかと思いながらショッピングの段取りを進めた私も私だ。
 
数時間後、アウトレットモールの一角にあるカフェで落ちあうと、昨日の夜にオンラインショップを見て候補はすでに選抜済み、あとはお店にいって実物を確認するだけとのことだった。しかし、ここからが本当のショッピングである。旦那さんは既に荷物係になっている。
 
夕方とはいえ、お目当てのお店の店内はセールの熱気でムンムンしていて、さあ行くぞと気を引き締める。先頭は友人K、そのあとに旦那さん、最後に私。
そして、お店に入ると同時に戦闘開始の鐘が頭の中で鳴り響く。お目当ての商品と鏡の前を行ったり来たり、この鞄はあの服とあの靴には合うけど、これには合わない、靴のサイズの在庫はあるかどうか、この金額から割引だからいくらになるか…
 
旦那さんは後ろで黙って見守っている。その様子を見た私が声をかける。
「こっちの鞄が本命らしいけど、あっちの鞄もかわいいから迷ってるみたいやなぁ」
「俺は後からあの時買えばよかったって言われると困るから、本命を買ってほしい」
 
友人Kは自分の買い物にはとても厳しい。デザインも使い道も想定して自分にとってコスパが良いかどうかを考え、オンラインショップで在庫を確認して本命を絞ってからお店に来ているので、買わない理由を探す方が難しいのだ。
 
最終的に本命だった鞄と今まであまり買わなかったデザインの白いローファーの革靴と、少しつま先がシェイプされた黒いかかとが折れるタイプの革靴に決めたようだ。
 
その買い物姿を見て私は、ショッピングとは後悔しない人生を送るための修行の場だと、いつも思う。目指すところは自己評価の向上と自己承認の円満な着地点である。自己承認を他人に求めると精神的に依存してしまうが、それを自分に求めるということは自分を認めることであり自分を理解して愛するということになるので、私は、それは正解だと思っている。
 
自分の満足の行く物を買おうと思えば、まず自分の好きな色や形、デザインを知らなければならないし、さらにモノの質や良し悪しを見極める目を養わなければならない。使い道を想定することは想像力を働かせることになる。そして、限られた予算の中で何を買って何を買わないかを決めることになるので、いざという時の判断力と決断力が鍛えられる。その取捨選択を繰り返すことはすなわち自分と向き合うことに他ならない。
 
そしてあれこれと時間をかけて買ったものを所有する満足感は、ブランドのイメージと相まって、それを身に着けて外を歩く自分の立ち位置が以前より上がったような、くすぐったい自信のような、なんとなく嬉しいような恥ずかしいような気持ちの高揚感を与えてくれて、自己評価があがりまくる。
もちろんいつも自分に似合うパーフェクトなものが買えるとは限らない。自分が欲しい物と似合う物は必ずしも一致しないからだ。しかしたとえ失敗しても、その時欲しいと思って買ったものはその時の自分の判断の結果である。その失敗を次のショッピングに活かせば、それは失敗ではなく自己評価を高めるための糧になる。
 
これは人生における挫折や失敗と同じだと言えないだろうか。失敗も次に活かせばいつか成功する。ショッピングでの成功体験は、人生の成功体験を積み上げていると考えると、やっぱり買い物は人生における修行だ。
 
毎日がセールのようなアウトレットで買うということは在庫数との戦いであり、気に入った本命を手に入れることは一期一会の出会いだといえる。一期一会の出会いといえば、海外旅行での買い物もそうだろう。これこそいざという時の連続であり、判断力と決断力が試される絶好の機会でもある。
 
「アウトレットと海外旅行は迷ったら買え」
 
これは友人Kのショッピングで後悔しないための買い物術から生まれた迷言であるが、同時に後悔しない人生を送るための名言だと、私は思っている。
 
旦那さんと一緒にレジの人混みから少し離れて待っていると、向こうから会計を済ませて晴れ晴れとした顔の友人Kが歩いてきた。今日もショッピングを思い切り満喫したようで何よりだった。この後は楽しみにしているおすすめの韓国料理屋に直行だ。
 
 
それから数週間後の休みの日、溜まった洗濯物を洗って干していると不意に携帯が鳴った。名前を確認して私は、ふっと一瞬笑って携帯に出る。案の定友人Kからだ。
 
「やっぱりあのかわいい鞄も欲しいから、またアウトレットモールにいかへん?」
 
 
 
 
***
 
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2022-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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