実家のコンビニでは店長とバイトがノリノリで女子会をするらしい
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記事:村人F(ライティング・ゼミNEO)
私の両親はコンビニを経営している。
もしかしたら「なんて過酷なお仕事を……」と思われたかもしれない。
確かにアルバイトの中では作業が多くハードな業種だと言われている。
そのため経営する側もキツいというイメージを持たれがちだ。
しかし実家である東北の田舎では、同じコンビニでも都会とはだいぶ毛色が違うらしい。
だから帰省時に話を聞くとひっくり返ることがある。
「この前、バイトのみんなと女子会をしたんだ~」
夕食時に店長である母が、そう言っていた。
女子会?
店長(60代)とバイト(20代)が??
近所のおしゃれなレストランで???
はい????
いやいや、ありえるのかそんな状況?
だって新宿のコンビニで同じ光景を想像してほしい。
店長のオバサンが突然バイトの女子学生に対し「これから女子会しよ!」と抜かすのである。
ストライキ確定だろうこんなもん。
仮に無理やり連れていったところで主催者以外の全員が殺気に満ちたオーラを充満させることは間違いない。
それくらい都会ではありえないことだ。
しかし実家の田舎では、バイト全員がノリノリで参加しているらしい。
だから結構盛り上がっているとのことだった。
もちろん母が勝手にそう思いこんでいるだけじゃないのかと思った。
だが参加している人がシフトの1時間前に「暇だから」という理由で来たという話もあったから、どうやらマジで盛況らしい。
そうでなければ職場へ早く行こうという発想になるわけがない。
一般的には不快指数MAXの場所なのだから。
いやはや、おそるべしである。
しかしこの話を聞いていると、田舎の人間関係もいいなあと改めて思う。
私の住んでいる都会ではアパートの隣に誰が住んでいるのかすら知らないほど、他者との距離がある。
これによって煩わしさがない面もあるが、その一方で人に対する思いやりも同時に希薄になっていると感じる。
そしてコンビニなどの勤務場所が不快に思われるのも、そこに大きな要因があるのではないか。
この思いは従業員に対して、客や周りのスタッフと嫌でも付き合わなければならないと感じさせるからだ。
そして店長など管理職も、従業員に対して同じように希薄な印象を持っているように思う。
ブラックな働き方を強要するのも、そういう意識が原因ではないだろうか。
きっと、その積み重ねにより1秒でも早く去りたい職場が生まれるのだろう。
だが田舎では事情が違ってくる。
なんせ1km離れた家の息子の近況すら入ってくるほど人間関係が密なのである。
超絶ドライな都会とは真逆だ。
そして若者の中にはそれが嫌で上京する場合も多い。
しかしコンビニなどの職場で考えると、この密な関係性はむしろ都会にはないメリットと思える。
なぜ店長とバイトがノリノリで女子会を開けるほど良好な職場にできているのか。
それは従業員も同じ街の住人であると認識しているからである。
つまり、皆ご近所さんであり、仲間なのだ。
だからこそ快適に仕事をできる環境づくりを心がける。
シフトも子育てなどをしながらできるように組むし、声掛けも親身に行う。
その姿勢が徹底されているからこそ40歳も年の離れた店長とバイトが気兼ねなく話せるのだろう。
実家のコンビニに行くたび毎回思うが、店員が実に楽しそうに仕事をしている。
こんな光景、都会では見たことがない。
それを激務の業種で実現するこの経営は、田舎ならではの良さを全面に引き出したものだと言えるだろう。
そんな両親だが、今年の8月に第2号店を開くらしい。
だからお盆に帰ってきても何もできないと言われてしまった。
全くとんでもない人たちである。
60代前半は普通「もうすぐ定年、仕事しなくて済むぞ!」とウキウキする時期である。
そんな時に今後10年以上働き続けないといけないような新規店舗の開業を行うとは。
恐ろしいハードワーカーだ。
しかしバイトが楽しそうに働いているだけでなく、女子会にもノリノリで参加してくれるような雰囲気なのである。
きっと経営している両親は彼ら以上に楽しんでいるに違いない。
ぜひ満足いくまで頑張ってほしいものである。
都会と比べて人間関係が密すぎて嫌と言われる田舎。
しかし、だからこそ良い部分もある。
同じ職場の人間を思いやることができる心が当たり前に備わるのはその1つだ。
そしてこれはむしろ、都会が忘れてしまっていることでもある。
それらをうまく取り込んで、私も楽しく一生懸命仕事に取り組むことができる環境を作っていきたい。
***
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