メディアグランプリ

前代未聞の修学旅行から知った影の努力のこと


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記事:後藤灯(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「実は通常通りの修学旅行って3年ぶりなんです」
金曜日の4時間目、LHRの時に来週に控えている修学旅行の説明を受けた。
 
私の高校では、2年生の時に3泊4日で沖縄方面に行くことになっている。しかし、一昨年は修学旅行が中止になり、去年は行けたものの1泊2日と短さに加え、場所も近いところに変更された。去年、私の1つ上の先輩が修学旅行のお土産を渡しに来てくれた時に、「行けたことが嬉しかったし、楽しかったよ!」と言っていたけれど、どこか残念そうな表情をしていたのを思い出す。誰にとっても修学旅行は特別なビッグイベントなのだ。今年、通常通り修学旅行に行くことができることが奇跡なんだと感じた。そしてその「奇跡」の裏では、先生や1部の生徒の「努力」があることを思い出した。私がその「努力」を知ったのは中学生のときの修学旅行に行ってからだった。

私の通う中学の修学旅行は普通なら、道後温泉を中心に四国方面に行くことになっていた。
しかし、コロナウイルスが日本で、そして世界で流行したせいで四国に行くことが出来ない事態になった。それどころか、修学旅行自体が中止になろうとしていた。「修学旅行が無くなるかも」ということを聞いた私たち中学3年生の教室はしばらく暗く静かな空気が流れていた。そんな日々が続いたある日、一筋の光が見えた。それは、四国には行けないけれど近い場所になら行けるかも、という先生の言葉だった。私は修学旅行が中止にならないだけですごく嬉しかった。場所が変わっても、お泊まりの行事が楽しいのは変わらないし、友達とももっと仲良くなれると思った。
それからはすごく早かった。すぐに修学旅行実行委員を決め、実行委員を中心に何をするか決めていった。肝心の修学旅行の内容は1泊2日の京都と滋賀へ行くことが決まった。京都と滋賀に行くのは、中学が開校して以来、始めてのことだったらしい。そのため、どこに行くかやそこで何をするかは生徒達である程度決めて良いということになった。修学旅行実行委員は毎日放課後、学校に残って話し合いをしていた。
そして、修学旅行の日がやってきた。まずは京都を自由に散策した。旅行に付いてくるクーポンが10000円分くらいあったおかげでお買い物も沢山できて、めちゃくちゃ楽しめた。その後はラフティングをしたときにちょっと冷たい川に落ちてしまったり、流れが急なところで流されそうになったり、色々あったがその日は滋賀県にある雄琴温泉で疲れを取った。そして、2日目は私が少し恐れていた、滋賀県のアスレチックに行った。地上から8m上にあるアスレチックは、スリルを味わうなんて言ってられないくらいに怖かった。その後は修学旅行最後の目的地、彦根城に行って謎解きを楽しんだ。
こうして、私の中学時代の修学旅行は終わった。行先が大幅に変わり1から生徒が作り上げる、前代未聞の修学旅行となった。この修学旅行は、先生や修学旅行実行委員の人に支えられていた。1番最後の彦根城での謎解きは、修学旅行実行委員の人たちが謎と答えを全て1から考えた完全オリジナル問題だったそうだ。謎解きの他にも、私たちが楽しめるレクリエーションが数多くあった。修学旅行を最初から最後まで楽しめるような仕掛けを、毎日私たちが知らないところで考えていたことに、心の中が感謝の気持ちでいっぱいになった。
 
私は中学の修学旅行から、「奇跡」の裏には必ず誰かの「努力」があることを知った。中学生のとき、中止になるかもしれなかった修学旅行が行けることになって、しかもたくさんの楽しい思い出が出来たのは修学旅行実行委員の人たちの裏の「努力」の証だった。
 
中学校では「前代未聞」の修学旅行に行った私は高校では「通常通り」の修学旅行に行くことになった。通常通りとは言え、裏で先生や修学旅行実行委員の人たちが「努力」しているのは変わらない。「通常通り」の修学旅行に行けることにたくさん感謝をし、思いきり楽しんで終わらせたいと思う。
 
 
 
 
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2023-01-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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