スマホゲームに多様性を感じる
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記事:辻村 佳代子(ライティング・ゼミ2月コース)
ついに沼に入ってしまった。これまで自分とは無縁のものだと認識するようにしていた。手を出してはいけないものだと強く自分に言い聞かせてきた。その正体は、世の中にこんなにも普及している「スマホゲーム」だった。時間がもったいない。目にも首にも支障が出そう。もちろん、そんな理由もある。しかし、私の場合はただひとつだけ。うまく出来なかった場合は、負けず嫌いが発動する。うまく出来た場合は、さすが私と調子に乗る。どのみち、途中で止めることができなくなるのは目に見えている。きっとリフレッシュどころではない。自分との戦いを自ら挑んでしまう。そんな分析が十分にできているつもりだった。
これまでも、何度か面白そうなゲームをダウンロードしてみたことがあった。案の定、時間がスルスルと流れていく。なぜクリアできないのだ! クリアできた、私すごい! 感情の起伏とともに肩が凝る。これはマズイことになる。そこでスパっと切り替えて、ゲームをアンインストールする私がいた。「私も冷静な大人になったのだ」自分への分析は、幼い頃の自分のままだったのかもしれない。冷静になった私なら大丈夫だ……。ここで悪い癖が出た。調子に乗ってしまった。ふとダウンロードしてしまったゲームが、現在進行形でどんどん進んでいる。この2週間あまり、見る見るうちにすっかりはまってしまったのだ。
今やっているゲームは、ばらまかれたカードを3枚ずつ揃えていくという、いたって簡単な内容だ。しかし、ばらまかれたカードのどこに何が隠されているかがわからないので、それが鍵となってくる。ゲームに取り掛かる前に、カード全体を見渡してみる。それとなく、作戦を立ててみる。こういうところから攻めていくとクリアできるのではないか。思い切った方法をとってみることも必要だ。自ら鼓舞してゲームを進める。もうアウトかも、と思うところで起死回生の一手が出る。そしてクリアできた時の達成感。「やればできるではないか」自己肯定感が急上昇する。そうか、誰に見てもらっているわけではないが、これはクリアすることで承認欲求が満たされている疑似体験をしているのだ。こんなに簡単に、こんなに手軽に。ゲームにはまる自分への分析が深まった。
ずっと昔から、褒められたことではないが、残業が多くなってしまうタイプの社員であった。ふとしたことを疑問に感じる。なぜAなのか、調べてみる。AはBだからなのかと答えを見つける。では、BはなぜBなのか。そこが気になり始めて、どんどんと深堀してしまう。深さと比例して理解が深まる時もあれば、すっかり迷子になってしまうこともある。時に想定以上の成果が出る時もあれば、決して大きい声では言えない、時間のロスもしょっちゅうあった。
仕事は趣味ではない。タスクはたくさん目の前にあって、それをクリアしていかなければならない。スマホゲームのように、ただクリアすることだけを目標にして、淡々と進めていけばよい。それだけで、自己肯定感が上がることがある。承認欲求が満たされることだってあるのかもしれない。
ただ、私がかつてこっそりと、色々掘り下げて調べた時間は、結果はともあれ、自分なりに納得感のある面白い時間だった。今よりも時間の流れが緩やかで、彩り豊かだったのは間違いない。
今、私は部下を持ち、労務管理をする立場となった。部下にはワークライフバランスを大切にして、仕事もプライベートも充実させてほしいと願っている。ただ、その願いを形にするとなると、残業時間の削減という数値で測られることが多くなっている。会社の社員数が減りつつある状況で、今まで以上に社員一人にかかるタスクはたくさんあり、業務の効率化を求めざるを得ない。社員はそれぞれに無駄を省き、目指すゴールにどれだけ最短で効率的に到着できるかが必須の能力となる。業務に取り掛かる前に論理的に進め方を組み立てて、取り組んでいくように……。そんなことを部下に伝えている自分を、ふと振り返る。仕事は趣味ではない。お給料をもらっている。しかし、企業人の人生は、その大部分を会社に費やすことになる。そうであるならば、スマホゲームをクリアするような働き方もよいけれど、時に気になることを追求して仕事の面白さを感じられるような働き方があってもいいのではないか。多様性というほど大それたことではないが、社会全体に効率化だけではない、少し余白のある、彩りを足せるような豊かなゆとりが戻ってきてほしい。スマホゲームと真剣に対峙しながら、そんなことを感じたのであった。
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