メディアグランプリ

新しいことを始める人のエネルギーがつながっていく時


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木結美子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「これは一体なんというものなの?」
と、畳の間に入ってすぐ、友人と2人で目が釘付けになる。
 
ハスの実を思わせるような、上一面に溝(スリット)が入った黒い鉢。
お仏壇のおりんのようでもある。
 
「波紋音(はもん)」という日本の打楽器なのだそうだ。
 
中が空洞になっていて、上部の溝を叩くと共鳴して音が出る。
持ってみると、そんなに重くない。
 
「好きなように叩いてみて大丈夫だよ」というので、木バチをドラムのように交互に当てると、初めて耳にする何ともいえない心地よい音色。
日本庭園にある水琴窟(すいきんくつ)をご存知なら、それに近いように思う。
作家さんもので1つ1つ音がちがうのだと聞いて、その存在感に納得する。
 
まずは初めて見る楽器に心をつかまれてのスタートとなった。
 
その日は、友人宅に「中国茶」体験をしに訪れていた。
 
岐阜城のふもとの、平屋の一室。
築何年だろうか、子どもの頃に近所の大きなお家にお邪魔すると、こんな和室があったなぁなんて思い出す。
 
お行儀よく、中国茶をいれるための茶器類が並ぶ。
 
アルコールランプでコポコポと湯を沸かす。
青と赤の炎が美しく、透明のケトルの中の気泡が上がっていくのが綺麗だ。
すりガラスから入る日差しがやわらかく時がゆったり流れる。
 
まず茶葉の香りを楽しむ。
茉莉花茶(ジャスミン茶)を丁寧についでくれる。
お花のイメージがあるが、良いものにはお花は入っていないそうで、芽茶をいただく。
芽の部分と、お花を交互に重ね、5度香り付けされたというだけあって、お茶から立ち上る香りは格別だった。お味も品が良くて、体が整う感じ。極上の白湯を飲んだ気分だ。
 
途中、ヨガの呼吸法も取り入れながら、ゆっくり深呼吸をしてしばし瞑想をする。
その時、冒頭の「波紋音(はもん)」を奏でてもらう。
ティンシャ(ヨガの時に使う小さなシンバルのような楽器)の金属音で、元の世界へ。
 
「足は組んでもくずしても、とにかく座りやすく」とのこと。
中国茶ではお作法云々より、おいしく飲めば良いのだそう。
本人が心地よいスタイルでOKというのは楽ちんだ。
 
途中、パイナップルケーキなど、中国のお菓子を出してくれたのが、お茶によく合う。
二煎目ではライチの香りのお茶を、ヴィンテージの茶器でいただく。
 
日本のお茶のように、いただく側には決まりがないので、リラックスできる。
一方、お茶をいれる側には、1つ1つの手順があるようで、丁寧で動きが美しい。
 
外国暮らしの長かった友人がこれまで様々に学んで、中国茶とヨガを組み合わせて講師を始めることになった。
 
正直、気軽な気持ちで、体験にきた。
でも実際は奥深くて、どっぷり堪能させてもらった。
「わぁ! 」「おおっ! 」と声には出さないけれど(いや、出ていたかもしれない)心の中で幾度となく「初めて体験」に感動したから。
 
講師を始めたばかりの友人がキラキラしていて、心を込めてもてなしてくれたことも心が動く1つになったと思う。
 
「初めて」といえば、私も半年ほど前、結婚相談所をスタートした。
 
公的機関が開催している「新しく何かを創業したい人」「創業したばかりの人」を応援する場に参加することが続いた。
 
自分のできることを形にしたい、こんなことをやりたい、でも不安がいっぱい。
話をして、創業に対するその人ごとの想いを知るうちに
 
「この人とあの人のやりたいこと、もしかしたら合いそうじゃない?」というケースが出てくる。
 
「教えたい」と「教わりたい」
「作品を販売したい」と「委託元をやりたい」
「鑑定をしたい」と「ワークショップを開催したい」
 
などなど。
 
先の中国茶体験も「友人同士のやりたいことがつながるといいな」という想いがあった。
 
もちろんミスマッチも起こるけれど、ばっちり意気投合となることが多い。
 
私は婚活カウンセラー(仲人)だから、何かを創ったり売ったりしない。人の話を聴くのが仕事だ。話を聴くことで誰かと誰かがつながったら、婚活ではない別の形のご縁が結ばれて、やはりとてもうれしい。
 
そしてその後、地元の市主催で女性起業家の交流会があった。起業で成功した先輩と、起業したばかりの青葉マークの女性たちが年齢も事業内容も多種多様、15人ほど集まった。
 
その中で、起業して10年という女性がいた。
「ここまで走り続けて、事業がある程度形になった。次のもう1歩、何かちがうことをエネルギーのある人たちと始めたい」とおっしゃる。
 
会の終盤、その方が表情を輝かせて
 
「ここにこんなにたくさんいた!このメンバーで新しいことを始めたい!」
 
彼女の中で、皆のやりたいことの点が線になったのだと思う。
 
賛同者で「皆の何かがつながるようなイベント」を開催することになった。
数日中には6月の一粒万倍日(いちりゅうまんばいび、事始めに最適な日)に開催すると決まる。ゴールを決めて、動いていく。その行動力に目を見張る。
 
何か始めようとするエネルギーって強い。
そして、人と人がつながった瞬間がまた、たまらないなぁと思う。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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