自分は何をやってもうまくいかないと思っているあなたへ、人生が変わるたった一つのこと《週刊READING LIFE Vol.212 ライターとしての自己紹介文》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
2023/4/10/公開
記事:大塚久(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
「要領のいい人」を羨ましく思ったことはないだろうか?
側から見るとそんなにたくさん努力しているようには見えないのに、なぜが先輩から気に入られたり、目上の人から目をかけてもらったりしていつの間にか仕事を任されていたり、人気者になっていたり。そうやって目上の人から気に入られているので当然後輩からも慕われ、自然とその要領のいい人の周りに人が集まってくる。
「そんなに努力してないのになんであいつばっかり上手くいくんだ」
そうやって僻んでいるのが僕だ。正直、要領がいい人を「努力もしないで要領だけで人生うまくいっているやつ」と少し下に見ていた節がある。ただそれは自分がそうなりたいという憧れの裏返しでもある。
ただ、今は要領がいい人が努力をしていないなんて思っていない。要領がいい人は要領を良くするための努力をしているのだ。その努力の最たるものがコミュニケーションだ。
僕はとにかく人とコミュニケーションを取るのが苦手だ。初対面の人となんか何を話していいかも分からないし、会話なんて一言二言で終わってしまう。対して要領のいい人はコミュニケーションを取るのが得意だと思う。初対面の人でも会話が弾むし、何度か会っている人なら以前話した内容を覚えていてそこからまたさらに会話が広がる。要領のいい人はそうやって人とコミュニケーションをとるという努力をしているのだ。だから先輩や目上の人からも気に入られるし、後輩からも慕われる。
そりゃ誰だって、同じ仕事をしてくれるならコミュニケーションが取れない人より、取れる人と仕事をしたいに決まっている。僕だってそうだ。
でもだからと言って全員が要領よくできればいいかというとそうでもない。どうしても営業職のように人前で目立つ仕事もあれば、事務職や研究職のように目立たずコツコツやる必要がある仕事もある。要は適材適所なだけで必要なのだ。
とにかく僕は人とコミュニケーションをとることが苦手なでコツコツ裏方の仕事をしている方が向いているのだろう。今の仕事である理学療法士を選んだのもそのためかもしれない。
理学療法士とは平たくいうとリハビリの先生というやつだ。患者さんの横で連れ添って一緒に歩いている人ぐらいのイメージをしてもらうといい。病院で働いていることがほとんどなので患者さんを治していると思われがちだが、実は医師のように病気を治すような治療はほとんどできない。患者さん自身の自己治癒能力を最大限引き出すためのお手伝い的な役割がほとんどだ。しかも理学療法士が担当する役割は基本動作と言われる。歩く、立つ、座るといった基本的な動きの改善を目的としている。実はこの基本動作を習得しても日常生活で必要な動作の習得はできないことが多い。筋トレを繰り返しているだけでは野球が上手くならないように、基本の動作を練習するだけでは服を着替える、外を歩く、料理をするといった日常の動作は改善できない。それを改善するには日常の動作を練習してくれる役割がある作業療法士の力が必要なのだ。ただ、筋力がないと野球のパフォーマンスが上がらないように基本動作ができないと日常の動作も制限が出てくる。だから基本動作も大事なのだが地味でコツコツ続ける必要があるものなので正直目立たない。
だから理学療法士は裏方役で目立たない存在でいることが本来は望ましい。しかし、理学療法士の多くは割と自己顕示欲が強く、「実は治していなくて、サポートしているだけ」ということを認めたくないので「自分はこんな治療法ができます」や「こんな体の細かいところまで見ています」といった自分の技術アピールがとにかくすごい。僕も臨床に出て5、6年目ぐらいまではその傾向が強く、さまざまな研修会に出ては「ここでしかできない治療法」の習得に躍起になっていた。
ただそんな技術を学んでいるときに気づいたことがある。それは基礎の大切さだ。理学療法士は患者さんの体に触れて何かしらを行うことが多い。「より歩きやすくなるためにここの筋肉をリラクゼーションする」とか「肩がなぜ上がらないかを方の骨と動きを触って確認する」とか、沢山ある「ここでしかできない治療法」に共通することはそもそも基本である患者さんの体に触れることと、体の基本構造を理解していることが前提だった。
恥ずかしながら、僕は理学療法士の養成校にいるときは成績はいい方ではなかった。特に基本と言われる解剖学、運動学、生理学は成績が良くなく赤点を取るほどだった。
要領よく、目立つ存在になりたかった僕に足りなかったことは地味で目立たない基本だったのだ。
そこから基本である解剖学、運動学、生理学を学ぶことでそれまでの知識や技術が数段ブラッシュアップし、それまでバラバラだった情報も「基本」という土台の上に組み立てられるようになってきた。そこから人生がうまくいくようになってきたのである。もちろんコミュニケーションは相変わらず苦手だし、要領もよくはない。でもそれまで感じていた「頑張っているのになぜが結果が出ない、評価されない」といったことが減ってきた。やはり大事なのは基本だった。
おそらく要領がいい人もその基本ができているからこそその上にその人の個性が発揮され、要領よく結果が出て、評価をされているんだと思う。
確かに養成校にいるとき要領のいい人たちは基本の教科は成績が良かった。
技術を学んでいるときにもう一つ気づいたことがある。それは僕と同じように基本ができていないから技術が習得できない人が自分以外にも沢山いるということだ。
技術研修を主催して、講師をしている人は要領がいい人が多い。要は基本ができていて応用が効くから結果が出るのだ。結果が出るからその結果が出る技術を学びたい人は沢山いる。要領のいい人は基本ができているので、技術研修でも基本はできていることが前提で話すが、でもその技術を学ぶ多くの人は要領がよくないので基本ができておらず、同じようにできない。そしてやはり自分は要領が悪いからうまくできないのだと自己否定してしまう。
悪いのはその人自身ではなく、基本が出ていないということだけだ。
そこで僕は自分と同じように要領が悪い人達に向けた研修会を9年前に立ち上げた。その研修会は理学療法士、作業療法士といったリハビリ職向けの研修会で、他の研修会では教えないような学校でならう基本の部分を伝える研修会だ。ほとんどの研修会は有名大学の教授だったり、有名病院の名の通った理学療法士が講師を勤めることが多いが、僕の主催する研修会はそういった名前のある先生は呼ばずに、僕自身が講師を勤めている。内容は本当に基本的なことで教科書を開けば載っているようなことを教えているが、2013年に始めてから今年まで受講生が途絶えたことはない。
それは何より僕自身が基本的なことをきちんと積み重ねることで、病院で10年、開業して自身のお店で10年リハビリを続けることができている。その基本を積み重ねた20年の実績が支えているんだと思う。
僕は誰にもできないような特別なことは何一つできないし、人前で目立つような華もない。でもそんな才能もないし天才でもない僕でも基本的なことをコツコツ積み重ねることで、うまくいくことを伝えたい。
この記事を書くことをしているのも、特別な文章をかくさいのが無くても。文章は書けるし、思いを伝えられるということを知ってもらいたいからだ。
今は自身の整体院でウォーキングの指導をしている。歩くということは人間が一番効率よく移動できる唯一の手段だ。人間は直立二足歩行になって初めてと多くまで移動できるようになり、大陸間でも移動することができるようになった。
この歩くということは生きる上での基本中の基本なのだ。
しかも僕の指導するウォーキングは特別な動きをしない。以前流行したような体を捻りながら歩くわけでも競歩のように歩くわけでもない。ただただ歩くだけだ。ただその基本である歩くことを続けるだけでも人生が変わってくる。
人生の半分が見えてくる39歳になった昨年から毎日10,000歩歩くようにしている。本当にただ毎日歩いているだけだが、体重も減ったし、仕事の売り上げも前年比の170%になった。歩く時間を1時間以上割いているのに、自分自身の時間もなぜか増えている。読書は歩き出す以前から比べると20倍くらい読んでいる。歩くという基本的なことを毎日続けているだけで、生活するための要領が良くなってきたのだ。
だから要領がいい人を羨ましく思っている人に伝えたい。要領が良くなるのは基本の積み重ねだということ。それはいつから始めても遅くはない。その一歩が未来の自分を変える一歩になる。
□ライターズプロフィール
大塚久(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
神奈川県藤沢市出身。理学療法士。2002年に理学療法士免許を取得後、一般病院に3年、整形外科クリニックに7年勤務する。その傍ら、介護保険施設、デイサービス、訪問看護ステーションなどのリハビリに従事。下は3歳から上は107歳まで、のべ40,000人のリハビリを担当する。その後2015年に起業し、整体、パーソナルトレーニング、ワークショップ、ウォーキングレッスンを提供。1日平均10,000歩以上歩くことを継続し、リハビリで得た知識と、実際に自分が歩いて得た実践を融合して、「100歳まで歩けるカラダ習慣」をコンセプトに「歩くことで人生が変わるクリエイティブウォーキング」を提供している。
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