あまあま人間がプロを意識した瞬間
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:陣(Jin)(ライティング・ゼミ4月コース)
とあるライティングゼミでの話。
「人は、自分がなにかを提供する時は30~50%くらいでいいと思うけれど、提供される側は100%を求めている」という話を聞いたとき、たしかになと思った。
人は自分に甘い、他人には厳しい。
それがわかる話だった。
ボクもそうだ。
人に文章を読んでもらうという仕事を目指しながらも、心の何処かで「これくらいなら良いだろう」「自分にはここまでしか出せない」と甘えていた。
書けば良い、書けばうまくなるだろう。
そんな思いでライティングパスポートを取った。
金額はかなり高かったが、この一年で、文章で稼ぎたいと思ったのだ。
それと同時並行で写真の方でも稼げればと思い、そちらも並行して行っている。
写真も文章も楽しい。
二兎追うものは一兎も得ずという言葉があるが、何故か自分にはできるのではないか、という変な自信があった。
(実際のところ二兎と言わず本職やその他を含めると四兎五兎ほど追っている気もするのだが)
しかし悪い癖が出ている。
ただ書くだけになってしまっている。
そしていつしか、提出もしなくなってしまった。
これはまずい、と思いながらもがきながらも書いてみると、文章のレベルの低いこと! 人に読ませられる文章じゃない、こんなの読んでも面白くない、添削してもらうのも申し訳ないと思うレベルの文章が出来上がってしまった。
だが提出期限も迫っているから仕方なく出してしまう。
評価は散々で、当然のことながら掲載を見送りされるが、やっぱり凹む。
第一期のときは不掲載でもへこたれず書き続けることが出来たというのに、第一期よりもレベルも、気持ちも、書く量やペースも全て落ちてしまっていた。
そんなときに受けていた写真の講座。
モデルさんとしてカップルの方々に来てもらった撮影会。
その時ボクは、やらかしていた。
「生暖かく見守ってください」とか、言ってしまったのだ。
いくらポートレートの講座で、練習で撮っているとはいえども、相手はこちらをプロと思っているのだ。
そんな言葉を自己紹介時に発してしまったのだ。自らを下げる発言をしてしまった。
もし自分が逆の立場だったら? 「帰る!」とまでは言わないにしても、気分は良くないだろう。
幸いにも本日の撮影者はボクの他にも自分でスタジオを持っている方や、写真でお金をもらっている方々など私以外のカメラマンもいたおかげで何事もなく進んでいったのだが、もし一対一だったら? もしそうだったらそんな事言わなかったかもしれないが、プロとして、そんな発言をしてはいけなかったはずだ。
と猛省した。
何事もなく進んでいた撮影だったが、ボクとカップルとの1対2という場面が現れた。
その時相手から掛けられた言葉を受けて、「やばい」という感情しか残っていない。
後日、撮影した写真データを見ても、その時に撮った写真は、カップルの方々の表情を引き出せておらず、良いと思えるものが一枚もなかった……。
撮影した後はその撮った写真を何枚か自分なりにセレクトして見てもらうという講座もセットになっている。
その時に講師のプロカメラマンの先生から言われた一言。
「みんなプロ。同じ土俵で戦っている。歴どうこうより、いい写真が撮れたもん勝ち」
その言葉を受け、一旦気持ちが盛り上がったものの、撮影会のことを思い出すうちに次第に落ち、それから少し、写真から離れてしまった。
だが、1ヶ月後にはアーティスト撮影会が残っていた。
これが最終回となるのだが、モデルの方は以前にも撮影させていただいた方だった。
顔を知っていてどんな方なのかもなんとなく掴めていたので、少しほっとした状態で臨むことが出来た。
撮影会当日、モデルの方が話された、「お互いアーティスト同士」という言葉に、心臓をなにか太いものでぐさっと刺されたような衝撃があった。
そうか、自分もアーティストなのだ。
相手はプロの音楽家、こちらはプロのカメラマン。
相手の要望にしっかり答えねばならない。
そんな思いでシャッターを切った。
絶対捉えて魅せる。
そんなふうに思っていた。
そして撮れた写真を見返してみた。
「……ゔ~ん……」
かっこいいと思う写真がたくさんあり、外せないという写真がいくつもあった。
どうしよう……。
アーティストの方が演奏されている曲を聞きながら、そのイメージに合ったものや、アーティストの方から、撮って欲しい雰囲気などを聞いていたのでそれに合致しているかどうかを照らし合わせながら、どうにかこうにか決められた枚数の+2枚まで絞ることが出来たが、あと2枚が減らせない。
ゔーんと何度目かわからない唸り声を上げている時、ある2枚の写真が目に止まった。
似たような構図の写真で、どちらにも良さがあると思っている写真だ。
と言うのは建前で、アーティストの方が求めていた構図がどちらかわからなかったのだ。
なので片方はモノクロ、片方はカラーで提出しようと思っていたのだが、実はカラーの方はちょっと思うところがあった。
その写真をじっと見ていると、ふと「こんな感じでしか撮れなくてすみません」という言葉が浮かんだ。
ん? ちょっと待て。
……
自分が今瞬間的に出した言葉をもう一度反芻してみた。
”こんな 感じでしか 撮れなくて? すみません?”
ボクは、相手に許してもらうためにこの写真を出すのか?
ボクはこれしか撮れませんでしたごめんなさいって、そう言うためにこの写真を渡すのか?
はっとした。
首をブンブン振った。
違うだろ!
ボクが、いや、僕が100%良いと思った写真を出さなきゃだろ!
なにを甘えてんだ!
そんなんで良い訳ないだろう?
僕は、【アーティスト】なんだ。
ライティングの講座で言っていたのはまさにこれだ。
ライティングでは飽き足りず、まだ凝りてない自分の不甲斐なさに辟易しながらも、写真を選び直す。
……
100%だ……
目指すのは……
いや、もっと上……
……
そして講評会当日。
ドキドキしながら臨んだ。やるべきことはやった。提出したものは全て自信のあるものだ。
大丈夫……
僕の順番になり、講師の先生が僕のフォルダをクリックする。
「お!」
第一声がそれだった。
「ワールド出てるね~!」
個性が出ているということだ。
「これはどっちにしようか迷うなぁ……」
僕が迷っていた2枚のことだ。
「しっかり撮れた写真の中に、こういうインパクトのある写真が一枚あると良いよね」
猛省した後に選んだ写真だ。
良かった……
その後に提出したライティングの記事も見事掲載され、初めて「面白かった!」と言われた。
相乗効果が出ていると感じた。
両方する。
ライティングか写真か、本当は絞ったほうがいいのかもしれない。
でもお互いを活かすことで良いものが出来上がっていることを経験してしまった今は、まだまだ続けるのだろうなと思う。
お金が、続く限り……になるかもしれないが。
***
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