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東寺の散歩と思い出と


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記事:服池板(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
少し前に、京都の東寺にお客さんを連れて行った時の話です。
「東寺はどこ?」
「ここが東寺です」
「東寺はどれ?」
「ここが東寺です」
「あれ(五重塔)は、東寺じゃないの?」
「あれは五重塔です」
「じゃあ、あれ(金堂)は?」
「あれは金堂です。東寺には東寺という建物はありません。例えるなら、アイドルグループ嵐には、桜井君、松本君、相葉君などがいますが、嵐君はいません。SMAPにもSMAP君はいません。AKB48にもAKB48ちゃんはいません。これと同じです」
「じゃあ、カルロス・トシキ&オメガトライブには、カルロス・トシキがいて、前川清とクールファイブには前川清がいるじゃない。これは違うのか」
「そういう例外はありますが、例えば、大リーグのマリナーズにイチロー選手がいましたが、マリナーズ選手はいません。巨人軍の中に原監督はいますが、巨人監督はいません。それと同じことです。」
「じゃあ、ますだおかだ、おぎやはぎ、宮下草薙は、それぞれ、ますだ君、おかだ君、おぎ君、やはぎ君、宮下君、草薙君はいるでしょ」
「私が負けました。私の認識不足でした。ですが、東寺には東寺という建物はありませんので許してもらえますか?」
こんな、どっちでもいい話をしたことを思い出しました。
 
千年の都と言われる古都京都の中でも、東寺創建の歴史は古く、平安京草創期と言われています。東寺の主要構成を成すのは、金堂(江戸時代)、講堂(室町時代)、食堂(昭和時代)、そして、五重塔(江戸時代)です。
 
もし東寺に行くなら、私が是非ともおすすめしたいのは、国宝の御影堂(南北朝時代)です。この建物では、毎朝6時から生身供というお勤めが行われていて、20名弱の方がお参りされています。このお勤めにはだれでも参加可能です。この建物は、弘法大師がお住まいだったそうで、茅葺き屋根の色も見た目にも落ちつきある建物です。御影堂は、3年前にリニューアル工事を終え、茅葺き屋根が大変美しく生まれ変わり、そして柱や扉、屋根のこげ茶の中にきらりと光る金細工がとても美しく光っています。作家の司馬遼太郎は、 知人と京都の神社、仏閣を回る際、櫛笥小路を通り、御影堂の前で待ち合わせたと著書に記載があるほど、魅力的な建物です。
 
東寺の朝はちょっとしたコミュニティ広場になっています。朝6時からのお勤めに参加する人もいれば、朝6時半からのラジオ体操に参加しているお年寄りたちもいます。それぞれ、活動が終わったその後は、境内の神様仏様のお参りに。そして、ラジオ体操をした人はそのままお家に帰るというそれぞれのスタイルで、それぞれの朝を始めています。私は、そんな人たちとすれ違いながら散歩を楽しみ、歴史と清々しさを感じています。
 
東寺の4月は、桜がきれいです。古い建物と、新鮮なピンク色の花びらとのコントラストの美しさに目が釘付けになってしまいます。
 
5月になると、今までどこに隠れていたの? と思うほど一挙に新緑が境内全体を彩ります。新緑の朝の東寺は、酸素が吸い放題。とっても気持ちがいいですよ。
 
東寺名物といえば、弘法市です。弘法市というのは、弘法大師の命日(3月21日)にちなみ毎月21日に開催されている東寺の縁日です。弘法さんとも呼ばれ、東寺内の駐車場や空いている場所にたくさんの屋台や出店が立ち並びます。そこにはいわゆるガラクタと言われる骨董品を始め、野菜、漬物、ちりめん、鯖寿司など地方の物産から、 工芸品、皮用品、古着、古着物、植木などなど、色んなものが陳列販売されています。販売しているモノが、多岐に渡りますので、子供からお年寄りまで楽しむことができます。それぞれの人が、それぞれのお宝探しを楽しんでいるような雰囲気が感じられます。
 
私は散歩がてら、朝早く行きます。すると、それぞれの商店主が一生懸命開店準備をしている時間から、お客さんが並んでいるお店があります。 それはお漬物屋さんです。そのお店は毎回、行列ができていて、並ばずには漬物を買えません。名物は、大きなすぐきというお漬物です。あまりにも人気があるので、私も一度だけ、思わず買ってしまいました。喜んで家に持って帰りましたが、家族ですぐきを食べられる人がいない為、すべて自分1人で食べたという苦い経験となっています。だから、それ以来、買っていません。
 
弘法市のおすすめは、縁日だけではありません。金堂は通常、有料エリアから入らないと、金堂内の薬師如来、日光菩薩、月光菩薩を拝むことができません。ところが、弘法市の日だけは、扉が開放されていて、無料で拝むことができます。これはとてもお得です。そして、金堂だけではなく、他の建物でも扉を開放しているところがあり、仏像を直に見ることができます。この日だけの特別感を味わえます。
 
しばらくは、コロナで開催ができなかった弘法市ですが、最近は、毎月無事に開催されています。今はもうすっかり、コロナ前の賑わいが戻ってきました。
 
東寺の初夏で楽しみなのは、何と言っても宝蔵(ほうぞう)の周りの堀に咲く蓮の花です。ここには、蓮の花がたくさん栽培されているようで、毎年、たくさんのそして豪華な蓮の花を見ることができます。私は、東寺に来るまで、これだけたくさんの蓮の花を見たことがありませんでした。宝蔵をバックにした、蓮の花はとても見ごたえがあります。それはもう、その蓮の花の多さにびっくりです。これだけの蓮の花を大量に見ることができる場所は、あまりないと思いますので、是非東寺で、こちらでご覧になってください。
 
蓮の花は朝、ととても綺麗に咲いていますので、朝にご覧いただくのがおすすめです。 私は、大きくなったつぼみが今にも開花しそうな瞬間が大好きです。毬のように丸く大きくなったつぼみがゆっくり、ゆっくり開花していく瞬間は、なんとも言えない心地よさです。これは、東寺創建当時と同じ風景なのかもしれません。ちょっと贅沢な時間です。
 
 
 
 
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2023-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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