些細なことで勉強嫌いになった
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記事:藤村 和(ライティングゼミ・2月コース)
「勉強がしたくない」
私は何度これを思い続けただろう。
小学生の頃の話。
小学1年の時にたくさんの人と友達になりたいとワクワクして学校に行ってたことを今でも覚えている。
私は嬉しいことに幼稚園の頃から友達が多かったので、小学校に上がる前には既にたくさんの友達ができていた。
そんな友達と学校の遊具で遊んだり、給食を一緒に食べるのは楽しみで仕方なかった。
だが唯一の懸念点がそこにはあった。
そう、勉強である。
始めは授業を聞いていて、とくに勉強が嫌いだとかやりたくないと思うことはなかった。
だがある授業で僕をきっかけに勉強に対して嫌悪感を抱き始めたのである。
算数の授業。
今思い返せば、小学生の時に好きだったのは算数だった気がする。
あらゆる要素から1つの答えを導き出すプロセスが見ていて面白かったし、答えが出せた時は達成感があって楽しかったからだ。
なので、
算数の授業はとても熱心に聞いていた覚えがある。
ところが
その算数がある授業をきっかけに嫌になってしまった。
今でも覚えているのは
木になったりんごを数えて足したり、引いたりする授業。
その日は初めての参観日でちょうど母が授業の様子を見にきてくれていた時のことだ。
私は子どもの頃はとても活発的で、授業の発表も進んでするような子だった。
先生「この木に今なっているりんごはいくつあるでしょう?」
私「はい、先生!」
クラスメイト「はい、先生わかります!」
私のクラスはとても自発的な子が多かったのか、クラスのほぼ全員が先生の質問に対して手を上げていた。
先生「じゃあ◯◯ちゃんお願い!」
自分は当ててもらえなかった。
私は「答えは◯◯です」
先生「正解! 拍手!」
私たちのうしろで見守る親御さんたちは大きな拍手をして子どもたちを讃えていた。
私はそんな拍手の中、発表できたクラスメイトがただただ羨ましかった。
自分の親の前でいい姿が見せれて気持ち良さそうに微笑んでいたからである。
私もそれを見てますます親の前で発表したい気持ちが高まった。
次の発表のチャンスが来た!
先生「次わかる人!」
私「はい!」
次の「つ」という言葉が発せられた瞬間に私は手を上げた。
瞬発力をいかした戦法だ。
私「よし、これならいける」
誰よりも手を上げるのが早いと肌感で感じていた私は先生に猛アピール。
先生「じゃあ◯◯くんお願い!」
クラスメイト「答えは◯◯です」
また当てられなかった。
でもまだ発表のチャンスはたくさんある。
少し不安な顔になりつつも、見ててね母さんと言わんばかりにうしろを振り向いた。
そうすると、そこにはニッコリと笑う母がいた。
それを見て私はもっとモチベーションが高まった。
次の発表チャンス
先生「これはちょっと難しいかもだけど、誰かわかるかなー?」
私「はい、わかります!」
クラスメイト「先生、わかります!」
またもやクラスメイトのほぼ全員が手を上げる。
今思えば私のクラスはこの学年のレベルで考えると優秀すぎないか?
そう思うくらい活発的で勉強意欲が高く自発的な連中が勢揃いだ。
「そんなやつらに負けてたまるか」
この頃は何かと1番になりたい気持ちが強かった私はついに闘争心を発揮し始めた。
そのせいか、今まで以上に先生に対して発表者を決めてもらうための猛アピールをした。
しかし
またも当ててもらえなかった。
拍手が鳴り響く中、私は絶望した。
なぜ、こんなにも頑張っているのに母親にいい姿が見せられないんだ。
「なんて残酷な世の中なんだ」
私はまるで世界が終わったかのように大袈裟に落ち込んだ。
いや、でもあと1回くらいは発表のチャンスがある。
ここで諦めたらおしまいだ。
そう考えた私は以外とあっさり立ち直り、
もう一度発表をするために意識を取り戻した。
「よし、次は決めるぞ」
先生「次が最後だけど、誰かわかる子いるかな?」
私「はーーーーい! わかります!」
クラスメイト「はい! はい! わかります! 先生!」
発表をしたいやつらの声がこれまでにないくらい大きい声でクラス中を飛び交っている。
もはや誰が目立っているとか目立っていないとかもわからないくらいの状況だ。
先生もこの中で発表者を決めるのもなかなか難しかっただろう。
そんな中、私も負けじと発表したいと猛アピールを続けた。
そして
ついに、その瞬間が
先生「◯◯ちゃんで!」
終わった。
最後の発表も結局当ててもらえなかった。
「もう何頑張ってもダメじゃん、勉強なんて嫌いだ」
発表を当ててもらうまでに大きく燃えていた炎が一瞬で消え去った。
そして、授業が終わった後の親と先生の会話に入った時のこと。
先生「どうしてそんなに元気ないの?」
私「先生が発表を当ててくれなかったから」
その一言を発した途端に涙が溢れ出てきた。
母の前でいいところを見せたかったのに、自分は何もできないやつと思われているかもしれないと感じた。
母「すごい頑張ってたよ!」
母がそう声をかけてくれたが、私は涙が止まらず言葉がまったく入ってこなかった。
でもその時に見た母の顔はとても喜んで満足している顔だった。
今思えば私は主観でしか物事を見れていなかっただけだった。
母は発表をする姿を見れなくても、私が自発的に授業に取り組む姿や楽しそうに勉強をしている姿に喜んでくれていた。
それに発表をしたくてもできなかったのは私だけではない。
クラスメイトは30人くらいだったので、26人が発表できなかったのだ。
発表できなかった人も私の周りにいたが、まったく嫌な顔もしていない。
今思い返すと、たったこの1つの出来事で、勉強が嫌いになるのはもったいないことだ。
この時の私に今の私が伝える言葉があるとしたら
「発表を率先してしようとしている姿で君は一番だから大丈夫」
当時の私がこの一言で全ての意図を汲み取るのは難しいかもしれないが
大事なのは主観で物事を捉えすぎないことだと私は感じている。
自分がどんな影響を周りに与えたか考えると、率先して発表する姿に先生や母は喜んでくれていたかもしれない。
自分がどう働きかけるかを考えれば、結果がどうであれ関係ない。
そういった考えをもつことができれば
些細なことも好きになって、自分の本当の良さが見つかるはずだから。
***
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