天狼院書店「Esola池袋店」に突撃してきたら真っ赤になって帰ってきた
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:鈴木 あゆみ(ライティング・ゼミ4月コース)
「天狼院に行ってみよう」
池袋に予定があったので、池袋のエソラにある天狼院に突撃してきた。
4月から天狼院のライティングゼミを受講し始めたのだけど、ネット上のやりとりしかしたことがなく、授業も動画で見ている。店舗には行ったことがない。
ライティングゼミに続いて、3ヶ月講座をあと2つ受講することにもしたし「本屋としてはどういうところかな」と行ってみることにした。
店舗があるエソラは、池袋の駅から直結のビルで、雨に濡れず行ける。
エスカレーターで登ると、降りたところから1番離れたところに店舗があった。
まずびっくりしたのが外観と映像。
リーディングノートをがっつりアピールしている。
お客様が書いたノートだろうか。書き込まれたノートのコピーが壁一面に貼られている。
このノート、人気なんだなあ。
一緒に行った家族が「これ、こないだ買ってたやつ?」と聞いてくる。そう、持っている。
その隣のモニターからは店主の三浦さんの映像が流れていた。店舗で店主のムービーを流している本屋って濃いなあ。初めて見た。
中に入る。壁沿いに棚があり、ぐるっと見渡す。
あっちの棚は読書会もあった著者さんの本かな、あっちは何かな……。
うろうろしていたら「いらっしゃいませ」と聞こえた。
ん? 私、この声、知っている。
振り返ってレジの位置を確認。おひとり、男性がいる。
あ、平野さん……。
平野さんは天狼院のスタッフさんで、セミナーの進行役やYouTubeの配信などもしている。
平野さんを見た瞬間、私に浮かんだのは「知っている人!」という戸惑いと恥ずかしさだった。びっくりしてとりあえず挨拶もせず一旦逃げる。
もちろん平野さんが私を知っているわけはない。
講座に参加しているとはいえ、私はオンラインで受講しているので、リアルにスタッフさんにお会いすることがないからだ。私はあくまでも名簿上の記号である。
急に入口でうろうろしている私を見て、家族は「もうお店はいいの?」と言う。
いやあ、だってびっくりしたもん。
ちょうどそのとき、目の前に、三浦さんの『駆け出しクリエイターのための時間術』があった。これ読んでみたかったんだ、と手に取る。
よし、買おう。もう1回中には入りたい。
レジに向かうと、「店主が書いた本なんですよー」と話しかけられた。選書ミスったかもしれん。つい「あ、はい。ライティグゼミを受けてて……」と白状する。
そのまま会話をしていたら、テンパリすぎてクレジットカードの暗証番号を忘れてしまった。
サインに変えてもらったら、
「あ、鈴木さん。さっきメールを返しました。特講の。」
?!
「スピードライティングも申し込んでくれましたよね。」
その一言一言が、私をますます恥ずかしくさせる。真っ赤だし汗をかくし、それに自分で気づいているからもっと汗が出る。名簿の記号から人間になってしまったよ……。
なんでライティングゼミしてるって言ったんだ私! と心の中でつっこみつつ、ペコペコとお店を後にする。
それにしてもなぜこんなにテンパったのか、あらためてふりかえってみると、ある可能性に気付いた。
平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』という本がある。この中で分人主義という考えが紹介されている。
例えば、母親の前の自分と仕事中の自分を思い描いてみてほしい。家族の前と職場では、キャラが変わる人が多いのではないだろうか。全く別人のようにならなくても、リラックスの程度や言葉遣い、態度などが変わるだろう。
小学校の同級生と高校の同級生の前での振る舞いも、人によって違うかもしれない。
分人主義では、このように人との関係性によって出てくるキャラクターを「分人」と定義している。そして分人は、自分で選んでいるのではなく、相手との関係性によって自動的に決まる。
相手との関係性ででてくるキャラクターの集合体が「自分」なのだ。
また、友達や恋人といる自分を家族に見られると気まずかったり、恥ずかしくなったりしたことはないだろうか。
それはその関係性の人に見せないキャラが、見えてしまったかららしい。
今回の天狼院、私は完全に家族と過ごすモードだった。家族とは普段から手を繋いで歩いていて、片手が暇だとお腹をつまんだり、「ねえねえ」と意味もなく話しかけたりしている。
そんな家族と過ごすキャラモードで天狼院に行ったら、突然(私にとって)知っている人が現れたので、恥ずかしくてテンパってしまったんだなと思った。
また、実際には関係性がないところも、テンパった原因だろう。
スタッフさんは、画面の向こう側にいる人なので、自分の目の前に現れるという意識はない。お会いすることはないだろうと思っていた人が、思いがけず現れたことで、バグってしまったように思った。どの分人を出すかも決まらず、挙動不審になったかんじがする。
分人というのはバグることもあるようだ。
もちろん頭ではわかっている。間違いなくスタッフの平野さんは気にしていないことを。
しかしそんなことをおかまいなしに、恥ずかしいし、真っ赤になるし、墓穴は掘るしで散々だった。
次に天狼院を訪れるときは、もう少し心づもりをして行きたいと思う。
***
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