「くう、ねる、ごっこ遊び」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:小岩朋紀(ライティング・ゼミ2月コース)
男女を問わず、子どものころに何かしらの「ごっこ遊び」はしたことがあるのではないか?
どちらかというと「ままごと」のイメージが大きいので女子の遊びと思われがちだが、「戦いごっこ」昔風に言うとチャンバラから始まり、テレビで放映されているヒーロー戦隊になりきって今もなお、主に男の子たちの間で盛んに遊ばれている。
実はこの「ごっこ遊び」がwell-beingにつながること、すなわちSDGs達成の一助になることを知っておいた方がよいと思う。
深夜のバラエティに出てくるには似つかわしくない7歳の女の子、人気ドラマで高い評価を得た有名な子役が女性芸人と女性アイドルの番組に登場した。女の子がこの2人と番組内でやってみたいことをフリップに箇条書きにし、そのひとつに「科捜研ままごと」とある。彼女は小さなジュラルミンケースを持参し、このケースからは犯行現場の遺留品をつまむピンセットや、収集用のジップロックなどはもちろん、そのごっこに使用する犯人用のサングラスや、紙のお手製の下足痕(げそこん:犯人の足跡)など小道具が次から次へと出てくる。
ここで言う「科捜研」それはドラマ「科捜研の女」である。沢口靖子演じる榊マリコ、科学捜査研究所の法医研究員が活躍する1999年から続く人気ドラマ、本放送は終わっているが昼間の再放送が続いているため、刑事ドラマ「相棒」と共にお年寄りを中心に高視聴率を記録しているらしい。それがコロナ渦の休校の影響で視聴し、夢中になるこどもたちが増え、沢口靖子には小学生からのファンレターがくるようになったとのこと。
説明ゼリフが多いので子どもでもあらすじが追いやすく、ミステリーの割にドキドキハラハラも少ないことで恐怖心を抱くこともなく、研究所の仲間たちが協力しながら証拠品を科学的に検証して事件を解決するのが子どもにとって痛快に感じるのだろう。
女の子も夢中になったひとりか、番組の2人に犯人と被害者の役をあてて、さらにはフロアディレクターを自分の助手にして殺人事件を解決するごっこ遊びをリードしていた。大人たちは指示に従いながらも辟易、苦笑気味なところで視聴者の笑いを誘う中、放送ではカットされていたが女の子は30分間これをやり続けたそう。一人っ子で、友達の中には科捜研の楽しさを共有する友がおらず普段はこれをひとりでやっているそうで、自分のプランで動く共演者がいることが心から楽しかったようで喜色満面だ。
ドラマで子役が人気を博したのは脚本・演出力もあるが、子役本人がその意図を理解した熱演だったのは常日頃、このごっこ遊びを自作自演していた賜物ではないか?
さらには科捜研へのあこがれが強くなり、昨年のクリスマスプレゼントはサンタさんに顕微鏡をリクエストしたそうだ。女優だけでなく、リケ女への道も開いたということ。
民族学者の柳田国男が「ままごと」の方言からこの遊びの起源を研究しており「まんまごと(食事ごっこ)」「まねきごと(お客様をもてなす)」などから「炊事」と「接待」が大きくクローズアップされたようで、そもそも「ごっこ」という言葉の語源は定かではないが「交互に」が変形し「ごっこ」と言い始めたとも言われている。
経験したことのあるシチュエーションを別のメンバーで互いに再現してみる、その際に使用する道具は本物ではなく見た目が似たようなものを見立てる。あるいは見聞きして憧れたシチュエーションを同じように再現してみる。平安時代から紙人形遊びをしていたというから、いにしえの時代から人間だけがやってきた高度な遊びのひとつ「ごっこ」。
立場を交互に入れ替えることで、お母さんになったり、戦隊ヒーローになったり、事件を解決する法医研究員に誰でもなれる。性別だって変えられる、ひとりひとりが想像上の世界の脚本家兼演出家だ。
別の人間の立場を想像し、相手の気持ちや意図が汲めるようになるという他者へのメリットもあるが、一番に自分がポジティブに生きるための作用があるのではないか。
多くの人が日常生活において自分ができる範囲という見えない境界線をどうしても引いていないか?自分役というものを全うしようとして。だからもし、その範囲で失敗してしまった場合はショックが大きいと感じるであろう。したがって、さらに安パイを取ったり、冒険的なことは絶対に避けたり、そしてそんな生活に閉塞感を感じるようになる。
そこで「ごっこ思考」を大人でも日常生活に取り入れてみるのはどうだろう?朝起きたら、昨日と生まれ変わっている自分、しかも夕方には活動限界時間を迎えてしまう実はロボットだ!
こうなれば夕方までの時間を有効に使うために大胆な発想や行動に出るかもしれないし、本当に好きなことだけやりたいとなると何をしだすか、その立場にならないと自分自身でも想像できないのではないか。
ひとりだけでなく、職場仲間で、家族でと役割を交互に入れ替えることで、視点が変わり
閉塞感を抱くこともないのでは。また様々な人物を演じることで万能感が出てくると思える。今日はどんな設定でいこうか?毎日が楽しくなるに違いない。
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