金融商品を売る時に投資の本質がわかる
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記事：岩瀬憲一（ライティング・ゼミ 2024年9月開講コース）
今月も株を300株売却した。別の投資に回すための資金を調達するためだ。ただ、投資といっても、トレーダーや金融機関で働く人が取り扱う金融商品ではない。ChatGPTをはじめとした生成AIや、スマートフォンなど最先端のテクノロジーや読書するための本などに投資している。今回はiPhone 16 Proを購入するために売却した。
最近の私の大きなイベントとしては、投資の配分を見直すことである。投資商品で持つよりも生成AIやスマートフォンなどのテクノロジーを体験する方が効果は高いと判断し、段階的に株や投資信託などの金融商品から最先端のテクノロジーに移行している。そのため、サブスクリプションサービスでの購入額が過去最高額になっており、金融商品からお金を回すことにしている。株による資金調達をしているとは言え、火の車状態になっており、毎月の資金調達をどのようにするか常に悩んでいる。
会社員になってから投資を始めたので、投資歴は20年近くになる。自社株を積立で買うところから始めて、10年前から積立による投資信託を始めた。つみたてNISAというしくみが登場してから一部をつみたてNISAに回している。リスク分散を考慮し、生命保険の年金や企業型年金も始めた。その甲斐もあって、金融資産の額は順調に増えてきている。株や投資信託を売却することなく資産を増やしてきた。貯蓄もしていて、貯金を使いながら生活をしていた。読書と時々旅行に行くことで人生は充実していた。このままの生活を維持すれば充実した人生を過ごすことができる、そう思っていた。
ところが、生成AIが登場したことによりその考え方は変えた方がよいことに気づかされた。それにより、投資の対象を変えた方がよいと判断し、180度方向転換を図ることにした。
生成AIを活用するうちに、自分が実現したいことや達成したいことを短時間で実現できることがわかり、方向転換を図るリスクをとる方が金融商品のリスクをとるよりもよいのではないか、と考えるようになった。
はじめは画像生成AIツールを使った。コマンドウィンドウ欄にプロンプトを打つと自分がほしい画像が生成される。絵を描くのが苦手な私にとっては最強のアイテムが降臨したのである。30ドルで自分が必要としていたツールが手に入ることを考えれば悪い投資ではないと考えた。
それから、生成AIが登場するたびに生成AIへの投資を拡大している。そのため、サブスクリプションサービスの課金額は増えていく。それでも、生成AIを活用することで自分が実現したいと思ったことが実現できるようになった。人生の質が向上していることを考えれば生成AIへの投資は効果を発揮していると言える。
金融資産を持つよりも最先端のテクノロジーを使いながら体験価値を向上させる方が今は苦しくてもトータルで見れば人生の価値は上がるのではないか、ということを頼りに毎日もがきながら進んでいる。毎月株や投資信託、あるいは外国株価を購入していればお金は増えていく人生をたどることができるかもしれない。だが、お金を増やすためにお金を投資するだけの人生が良いと言えるのか。少なくとも生成AIが登場してからはそうとは言い切れなくなった。人生の質を上げるためには体験に投資する必要があり、そのためには金融商品以外の選択肢も用意した方がよい。
投資は買うときよりも売るときの方が難しい。実際に金融商品を売るときになってこのフレーズがわかるようになってきた。
私が社会人の頃は買うことすら難しいときだった。周りに金融商品を購入している人がいないので、もしかしたら破産するかも、とドキドキしながら買っていた。一方、今の時代は金融商品が充実し、積立を活用しながらカード会社や銀行でも購入できるようになってきているので、買うことに関するシステムや情報は充実していて、ハードルは下がってきている。
金融商品を売る時に関してはハードルは下がっておらず、相対的に上がっている状態だ。売る時に関する情報はそろっておらず、自分で取得しない限り手に入ることはない。損切りという言葉はあるが、毎日モニターに向かって見ているトレーダーでない限りサラリーマンでできる人はいないだろう。また、今後もこの商品は伸びていくだろう、ということを思ってしまうといざ売る段になってためらってしまう。そのため、売るときに関しては買うとき以上に慎重になる。そのため、売る時には買う時以上に投資をすることの目的を意識することになる。
金融商品を売るということを通じて私は目的を意識するようになった。人生を充実させること、そして体験価値を最大化すること、それが私の目的である。投資という身銭を切った行為を通じて目的を改めて考え、自分がこれからする投資は妥当なのかどうかを振り返り決断することで、私の中で決意表明をすることができた。そして、最先端のテクノロジーや体験に投資することは妥当であると決断した。
生成AIにお金をつぎこんで無駄遣いをしているように思っていたが、実際に書き出してみると自分の中で大きな決断を下していることがわかった。その決断が正しいのかどうかはわからないが、今後も金融資産への投資を続け、リターンをテクノロジーや体験に再投資する、ということは継続することになるだろう。
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