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んまぁ!……ワタクシ、大真面目ですのよ!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:むぅのすけ(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「あ、なんか、普通にしゃべる声は違うね。ちゃんとした大人だ(笑)」
 
オンラインを選んで受けた講座の冒頭にて
音声を繋ぎ、初めて講師に挨拶した私は、現地で登壇している講師の第一声に面食らった。
思わぬ展開でアワアワと焦る私に、講師は意外そうに続ける。
 
「いやぁ、いつも動画では破天荒だからね~(笑) 普通の大人だ、ってビックリしたー(笑)」
 
この講師は、私が趣味で通信受講している朗読ゼミの先生である。
 
さまざまな経歴と指導経験をお持ちで、私より十歳以上若く、いつも弾けるような魅力に溢れた女性の先生だ。
先生のご指導のおかげで、地に落ちていた自己肯定感が上がったことがある。
いわば、私の心の恩人である。
 
 
 
ひょんなことから、私が朗読を始めて二年になる。
 
そこでの受講生は、約二ヶ月間、毎週決まった〆切までに課題を動画にて提出する。
受講生は、皆それぞれの場所で、それぞれに選んだ5分~10分程の題材を、朗読と言えども顔出しで定点録画するのだ。
そして講師である先生が、またそれぞれの受講生にたっぷりと愛のあるフィードバックを下さる。
 
フィードバックは通信で生中継され、全ての受講者が、画面越しで先生のお顔を拝見しながら他の方へのお言葉を聞きつつ、自分の番を待つのだ。
当日の受講が無理でも、アーカイブで見ることができるので、安心して自分のペースで受講できるのも助かっている。
最終提出したものは、音声のみに編集されて動画サイトYouTubeにアップされることになっているのだ。
 
 
私に課題動画なんて撮れるのかしら……?
初めは見切り発車の如く、おっかなびっくりスタートした。
でも思い切ってやってみると、先生のフィードバックが嬉しくて、すっかりハマってしまった。
すぐに講座も先生も大好きになっていた。
 
 
冒頭の講師の言葉は、初めて主催された朗読の1DAY講座にて、これまた初めて私が言葉を交わせる機会があった時の第一声だったのだ。
私は前々から、この日をとても……本当にとても楽しみにしていた。
 
普段の朗読ゼミは通信受講のみなので、大阪に住む私でも参加できている。
でもこの先生は、他に演劇系の講座をいくつも受け持ってこられた。
それらは全て、当たり前のように、東京にある店舗で行われている。
私は新講座の情報を見つける度に、握ったハンカチを噛みしめる思いで、参加できずに諦めていたのだ。
 
いつか先生にお目にかかりたい、現地で受講したい……
それは叶わずとも、せめてオンラインで直接お話できる機会がやってこないかしら……
あぁ、いつの日かオンラインで受講できる講座を主催してくれないかなぁ……
そう思いつつも、期待し過ぎずに待つ日々であった。
 
そこへなんと、とうとう通信で直に指導を受けられる、朗読ゼミ1DAY講座の存在を知った。
即、申込みしてからは、多少浮かれ気味で過ごしていた。
それほどまでに待ちわびたのだ。
いざ、話す機会がやってきたら、まずは、挨拶するに決まっている。
 
私は緊張しながらも、感謝を込めて挨拶した。
「よろしくお願いします」
そう
私はただ「よろしくお願いします」って言っただけなのだ。
そこへ返す刀での冒頭のお言葉だ。
 
ちゃんとした大人、ってどういうことだい!
破天荒だなんて! 楽しみにしていたのに先生ったらぁ~!
私の浮かれた気持ちは、刀で切られたように散り散りに……までは、ならなかった。
 
 
実は、心当たりが大いにある。
 
通常の朗読ゼミの期間内、同じ課題に取り組む途中で、最近の私は、必ず一回だけの限定で、自己流の『ぶっ壊し回』という取り組みをして提出するのだ。
 
『ぶっ壊し回』とは
作品の世界観や、それまでに作りかけたイメージ等を文字通りぶっ壊し、一回限りとして、全く違う読み方をすることである。
 
太宰治のエッセイに取り組んだときは、無理やりのように令和の現代風の感覚を用いた上で、太宰っぽさを度外視して、知っている作家先生をイメージして読んでみたくなったり
林芙美子の物語の時は、これまた無理やりのように、NHKのコント番組で見たことのある設定を用いて読んでみたくなったり……
 
一回限りとはいえ、毎度こんなことをしているので、破天荒と言われても仕方ないだろう。
だがしかし、である。
 
ふざけているように見えるかもしれないが、課題作品をより理解することや、想像していたより相応しい表現を見つけたい、という意図なのだ。
とはいえ、実際は思いついてしまったことを、やってみたいだけだったりもする。
とにかく、やり過ぎなのは認めるが、決していい加減な気持ちでふざけているのではない。
こう見えて、いつも私は、大真面目に取り組んでいる。
 
先生はこんな私のやり方を、とてもよく理解してくださっているらしい。
 
課題を朗読の作品として作っていく途中では、思いつくことを、目いっぱいやってみたらいい、そんなことをいつも言ってくださる。
積み上げた読み方を壊すことも、別の解釈を思いついて違う読み方に変えることも、作品のイメージからかけ離れていなければ、概ね肯定してくれる。
そして、私の気が付いてない部分や、見えてなかったイメージ等を、私の作品への解像度が上がるようにわかりやすく教えてくださるのだ。
 
そうやって作品に取り組み続けて最終提出を終える頃には、選んだ作品のことが、なんだかとても愛おしく感じられる。
先生への尊敬と感謝もますます増していって、次回の開講を待ち遠しく思うのだ。
 
 
あの日の冒頭の先生の言葉について、今はこう思う。
 
課題を通してだけだが、こんなやり取りを二年も続けていたのだ。
私が、多少いじられることで思い詰めて凹むタイプでないことは、ご存じだっただろう。
その日は一日だけの1DAY講座だ。
思い切って初めて参加なさった方もいただろう。
ただでさえ、人前で朗読を披露する講座なのだ。
きっと先生の中でも、序盤に場が盛り上がって他の受講生の皆さんもリラックスできるかもー、なんて意図があったかもしれない。
 
真相はわからないけれど、もしそうだったら役に立ててよかったんじゃないか。
笑ってくださった方もいらしたので、本望だ。
違ったら違ったで、かまわない。
私が先生を信頼して、ご指導を賜り続けたい気持ちは変わらないのだから。
 
私の提出する課題は、これからも傍目にはふざけて見えることがあるかもしれない。
それでもなお、やり過ぎながらも、私は大真面目で趣味となった朗読に取り組み続けるつもりである。
 
 
 
 
***
 
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2024-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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