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家系図がもとであやうく洗脳されかけた私


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記事:小林利幸(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

Hiroって誰だ。
 
EXILEのHIROのことか。
私の頭の中のHiroは、EXILEのHIROだ。
 
今日(2024年10月13日)に、何気なく、今日のキーワードトレンドを見ていた。
急上昇キーワードに、「森進一」、「森昌子」が出ていた。
 
まさか、二人がまた結婚か。
いや、違った。
 
記事の内容はこうだ。
ロックバンド「MY FIRST STORY」のボーカル・Hiroと女優の山本舞香の結婚が発表された。
 
記事を読むと、ボーカル・Hiroは、歌手の森進一と森昌子さんの息子だった。
 
そういうことか。
 
森進一、森昌子さんと言ってもピンと来ない人も多いかも知れない。
時代は昭和。二人とも一世風靡して、絶頂期で結婚した。結婚を契機に森昌子さんは、歌手を引退した。しかし、2005年に離婚してしまった。
 
二人の子供のうちの一人がロックバンド「MY FIRST STORY」のボーカル・Hiroということだ。
でも、二世タレントの宿命か、ボーカル・Hiroの前に有名人夫婦の子供という修飾がついてしまう。
 
もうとっくに独り立ちしていても、しかりだ。
 
でも親を含む家系は、本人の意思に関係なくついてきてしまうのも事実だ。
 
二世から話は、発展するが、家系をヒストリーとして扱い、その人の家系の歴史をたどって、感動を呼び起こす番組もある。
そういう私も自分の祖先がどんな人なのか、家系図にしてみたいと思う一人である。
 
私が家系を意識したのは、父親が亡くなった際に父親名義の郵便貯金をおろす際に、いくつかの書類を渡されて、父親、祖父までの戸籍を取り寄せることを要求された。それが、家系というものを実感した最初だった。
 
いつか、叔母さんに聞いた話では、私の先祖は、江戸時代には米屋で相当繁盛していたらしい一家だった。その繁栄は、私の曽祖父まで続いた。
 
しかし、私の祖父は、アルコール中毒だった人で、お酒が大好きだった。そして、奥様なのか、そうでない人なのかが見わけがつかない人が年中家に出入りしていたらしい。
 
「しんしょう」という言葉を聞いたことはありますか。
簡単にいうとその家の財産です。
昔は、誰に「しんしょう」を渡すのか渡さないのかと、よく揉めたらしい。
 
私の祖父は、酒に溺れて「しんしょう」をつぶしたと聞いた。
それで米屋はつぶれたとか。
そう、今でいう自己破産。
 
なんともったいない。
 
その後、父親が自転車屋の小僧(昔の丁稚奉公)から地道に働き、現在の母親と結婚して私が生まれた。
 
もしかしたら、祖父がちゃんと米屋を継いでいたら、今頃は米屋の息子だったのかと想像した。
しかし、母親いわく、もしそうだとしたら、お父さんは別の人と結婚していただろうから、お前は生まれていないよ。
 
そりゃそうだ。といういつものオチ。
 
婚活サイトへ登録したことがある。
 
何人か紹介された。
 
何番目かに紹介された人との出来事だった。
 
その時、私は仕事に疲れ果てていた。半分病んでいたのかもしれない。
それを相手に相談したのが事の始まり。
 
いい人を紹介するわ、一緒に行きましょうと、彼女は言った。
連れていかれたところは、マンションのとある部屋。
ヒーリングスタジオと書いてあった。
 
暫くすると、お見合い相手の女性は帰っていったのか居なくなっていた。
そこで、ヒーリングの先生の登場。
私は、施術料として1万円を支払い、ベッドに横になり目をつぶっていた。
 
施術の開始。と、言っても身体を揉みほぐすのではなく、体の上で先生の手が舞っている。
気は、心からというが、なんだか疲れが飛んでいくような気分がした。
何か呪文を唱えている。
 
そもそもヒーリングなんて知識ゼロ。
 
施術は、30分くらいで終わり、畳敷きの別間へ通された。
 
その部屋には、お釈迦様を墨絵で作成したような絵が飾ってある。
冗談にも美しいお釈迦様には見えなかった。はっきり言うと下手。
先ほど施術してくれた先生が、白装束で入ってきた。
 
何か、念力を発しているようだ。
 
「見えました! あなたの祖先が見えました」
「あなたの祖先は、徳川家光です」
「そして、家光は、輪島のお城の姫君と結婚したのです」
 
何分か沈黙が続いた。
 
私は、以外と冷静だった。
洗脳とはこんなことから始まるのだろうか。
 
私の祖先は、米屋のはずだ。
 
さらに言うと、私は歴史が得意分野で、徳川家光の正室は、「鷹司孝子」(たかつかさたかこ)であるし、輪島の当時は能登国で、その姫が家光に嫁いだという話は聞いたことがない。
嘘だとすぐに分かった。
でも、ここでいうのは怖かった。
 
そして、先生の本性が出てきた。
「このお釈迦様は、ご高名な絵師にも書いて頂いたの、あなたは私にとって大事な人よ、10万円で譲るわ」と、先生は言った。
 
私は、持ち合わせがないので、銀行でおろしてくると言ってその部屋を後にした。
というより逃げたというのが正しい。
部屋から出るまえに、玄関に近い部屋に数人の男たちがいた。
見るからに、普通の人ではない。ヤバい。
 
私は、怖くなって履いてきた靴の片方を忘れたが、逃げるようにその部屋を出た。
なるべく遠くへ走った。そして、外からその先生に電話をかけた。
 
「先生、ヒーリングというのは嘘で、ご商売で悩みのある人に対して、高価な絵を売っているのですよね」
 
先ほどまで優しかった先生の声がかわった。
言葉にならないほど怒声を電話口から浴びせられた。
 
私は、先生に言った。
「嘘のお釈迦様の絵を売りつけるにしても、もう少し上手に描いたほうがいいですよ」
 
先生の怒声はヒートアップした。私の家に押しかけると言っている。
ビビった、でも来たら警察を呼びますといったら、電話がガチャンと切れた。
 
足が震えていたのに気が付いた。
 
自分の家系に興味がある人は覚えておいて欲しい。
・戸籍は、飛鳥時代の670年に作られた「庚午年籍」が最初と言われている。
・その後もその当時の権力者によって戸籍はつくられてきたが、対象は権力者の地域や高貴な人などが中心であった。
・明治4年4月に戸籍法が制定され、戸籍が全国的に統一された。
 
従って、一般人として正式にさかのぼれる戸籍いわゆる家系は、明治からと考えたほうがよい。
もし、それより前に家系につながる資料があったとしたら、先祖代々を管理しているお寺か、代々続く商家などに存在すればラッキーだ。
だから、いわゆる祈祷師などが知るはずはない。
 
それと一番大事なことを忘れていた。
歴史は、よく勉強しておくことをおススメします。

 
 
 
 
***
 
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2024-10-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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