「あれ、なんだっけ?」問題に見る原体験の偉大さ
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記事:村人F (ライティング実践教室)
「あれ、なんだっけ?」という疑問はAIがどれだけ進歩しても消えないだろう。
なんとなくは覚えているけどタイトルがわからないアレである。
誰にでもそういう作品は必ずあるはずだ。
そして、もう一度見てみたいなと思ったことも。
現代はかなり探しやすくなってはいる。
曲もスマホにメロディを歌えば出してくれるし、有名な映画ならChatGPTにあらすじを言えば答えてくれるかもしれない。
しかし、マイナー作品でそれらの力を借りることはまず無理だ。
そういう場合は昔ながらの力技を使う必要がある。
以前、試してみたことがある。
探したのは初代プレステのシューティングゲームだ。
小学生のころに遊んだのだが、ラスボスが倒せなかったことやステージの演出が印象的だった。
そいつのタイトルがわからなかったので探したのである。
とはいえ、検索サイトに頼れる情報はない。
覚えているのは映像だけだから、キーワードがないのである。
ゆえに取っ掛かりがほぼない状態だ。
そして仕方なくとった方法は、発売されているプレステのシューティングゲーム全てを確認する原始的な手法だった。
約200本もあるからしんどかった。
確か『サンダーフォースⅤ』という答えにたどり着くまでに30分くらい探していたと思う。
見つかったときの感動は結構あったが、もうやりたくない作業である。
もっとも、この泥臭い作業に踏み込めたのはプレステのシューティングゲームであることまで絞れていたからである。
当時だと作品数もたかが知れているので、まあやってみようと思える。
それを今の大量にソフトが販売している状況でやるのは不可能だろう。
ましてB級映画など、さらにマイナーかつ量が多すぎるジャンルだとなおさらである。
つまり現代で忘れてしまったタイトルを探し出すことは限りなく不可能に近い。
そのうえ触れているコンテンツが多すぎるから「あれ、なんだっけ?」化する作品も大量生産されている。
さらに老化による記憶力の低下と苦難が重なる。
そうなると名前まで言える作品は本当に貴重である。
『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』、『BACK TO THE FUTURE』に『ハリー・ポッター』
パッと名前が浮かんだものを書いてみたが、こうやって挙げられる時点で偉大なのだ。
知名度も高いし、いずれも名作である。
これらから受けた影響も計り知れない。
ただ改めて考えると、名前が思い出せない存在から得たモノも偉大である。
誰かから聞いた言葉がずっと耳から離れない。
美しかったどこかの風景。
実は何回も思い出すのはこういった光景だったりする。
それはマイナー作品も同じである。
小学生の時に遊んだだけのゲームなのに何回も思い出す。
その理由は宇宙に飛ぶときのワクワク感やラスボス前の演出など、強い影響を受けたからだ。
さらにタイトルがわからないからこそ、思いを馳せる。
「あれ、なんだっけ? もう一度遊びたいな」と。
そして数百本ある作品の中から見つけだそうとする力となった。
ここまでさせたのは、これが原体験だったからだ。
確かに当時は名前を覚えられない程度に思っていた。
しかし時を重ねるうちに、知らぬ間に増幅されていくのである。
あのとき1時間くらいラスボスと戦ったけど勝てる気が全くしなく諦めたこと。
でも敵の動きや背景がカッコよくて好きだったこと。
そうやってよい思い出として膨らんでいったのだ。
こうして大事な作品になっていった過程を振り返ると、タイトルがわからないのに覚えていたことが重要だった。
もしかしたら本当に大事な思い出は、そういう所に隠れているのかもしれない。
とはいえ最近はこういった作品も少なくなってしまった。
そもそもタイトルどころか見たことすら忘れてしまうことも多くなった。
年齢によって記憶力がなくなったくせに、触れるコンテンツが多すぎるのだから当然だ。
逆に言えば、こういった状況でもなお「あれ、なんだっけ?」と気になる存在は想像以上に偉大である。
一部でも思い浮かぶ時点で、かなりの影響を受けていると言っていい。
だからこそ、その正体を探そうとする道筋には金脈が眠っている。
同じジャンルで知らなかった傑作に触れることもあるだろう。
そして再び出会えた時の感動は他に変えようがない。
名前がわからない存在は、それくらい偉大なのである。
もちろん名前を覚えるようにするのが一番なのだろう。
しかしタイトルがわからないのにずっと残っているのも結構、素敵な思い出なのである。
皆様も一度、探してみてはいかがだろうか。
その過程は、かつてのまぶしい青春時代の追体験になるはずだから。
***
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