メディアグランプリ

幸せへの最適距離

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*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

絶対麗度ビューティー・レコーディング・ラボ

記事:伊藤美那(絶対麗度ライティング)
 
 
「居るよ」
そっけない三文字。でもそれが嬉しくてくすぐったくて、いそいそと自宅と反対方面の地下鉄に乗り込んだ。
 
少し気を張るお出かけのあと。緊張を解すためのワインが進んだせいか、ほろ酔いの頭は早く帰ってのんびりしたら、と冷静な提案をしてくる。それでも気づけば指が勝手に文字を打っていた。まだ呑んでる??
思ったよりも早い返信。どうやら向こうもだいぶ仕上がってるご様子。スマホの画面に映る短い返信に心が温まる。
 
最近読んだ本について。共通の知人の近況。そして少しばかり仕事の愚痴も。グラスを重ね、様々なことを話しながらしみじみとした幸せを感じる夜。
何年一緒にいても、会話が尽きない関係性を愛おしく思うと同時に、その先に【結婚】という言葉が全く浮かばないことを改めて不思議に感じる。
お互い、時によそ見をしたり距離ができたりしながらも、決定的な別れを選ぶことなく過ごしてきた10年以上の時間。
 
すっかり酔っぱらい、瞼が重くなってきた顔をじっくり眺める。この人がいない人生なんて考えられない。でも、この人の待つ家に帰ることもこの人のために家を整えることも必要ないと思ってしまう。イイトコどり?そうかもしれないけど、別にそれでもいいよね。
意識するより先に、言葉が唇から零れ落ちた。
「どっちかが余命宣告されたら、入籍しようね」
何度も何度も繰り返す提案。答えはいつも決まって「バカじゃないの」
笑いながら返される言葉が、時に嬉しく時に憎らしい。でも、この距離感が丁度良い。
生涯を共に過ごす気はないけれど、人生が終わる時には側にいたい。いさせてほしい。
逆に、私が先に旅立つなら最期まで見届けて欲しい。
だから、それまではお互い自由に生きよう。普段は縛らず縛られず、責任も取らず楽しもう。でも、一人で勝手にいくことは許さない。
 
10年以上に渡って常にこんな自由な関係でいたかと訊かれると、そうでない時期も正直あった。
離れているのが不安で、いつも一緒にいたくて、相手の視線の先を追っては勝手に思い悩んでいた。そんな状態では当然上手くいくわけもなく、意味なく不安定になる私を前に相手も苛立っていた。私がこんなに好きなのに、と理不尽な怒りを抱えていた。
今振り返ると、彼のことが好きだったから不安だったわけじゃないと気付く。
例えば、仕事で行き詰って逃げたかった。
例えば、親との関係に悩んで誰かに自分を全肯定してほしかった。
例えば、自分が嫌いでとりあえず何かを変えたかった。
全て自分勝手な理由。自分のせいで上手くいかないイライラを、好きという気持にすり替えて彼に押し付けていただけ。ただの甘え、ただのずるさ、ただの身勝手。
今思うと本当に酷い。この時に私を見捨てずにいてくれたことに、今はもう感謝しかない。
 
以前も書いた通り、何とかしなくてはという内圧が高まって私が選んだのはカメラの前で自分を解放することだった。秘めフォトで自分がただの女であるという事実を受け入れ、絶対麗度に参加することで多くの魅力的な女性と出会った。日々のジャーナリングや毎月のライティングを通じて思いを言葉にする大切さを知った。
少しずつ、自分で自分のご機嫌を取れるようになっていき、それにつれて彼の前でも自然に過ごせるようになり、彼の笑顔も増えてきた、ような気がする。
これから時が過ぎお互いが変わっていく中で、気持ち良い距離感も変わっていくだろう。その中でも、一緒にいることを選び続けることができるだろうか。
 
そんなことを考えた数週間後、私はウェディングドレスを身に纏っていた。湘南天狼院での秘めフォトウェディング。
ドレスを着てヘアメイクを整えた私は鏡の中、一人きりで幸せそうに笑っている。
この気持ちを大切にして日々を過ごしていきたい、と湘南の空に手を伸ばしながら強く願う。
自分一人でも満ち足りた時間を過ごせる、その確信がある限り私は大切な人と幸せに過ごすことができる。
相手に甘えることよりも、まず自分から。
写真の横に誰もいなくても、私の人生は楽しいし幸せなのだから。

 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。

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2024-10-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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