たこ焼き好きのなれの果て
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:金城まみ(ライティング・ゼミ9月コース)
うちの彼はたこ焼きが好き。小腹がすくと決まってコンビニでたこ焼きを買ってくる。猫舌だから、と他の食べ物は少し冷めるまで待つのに、たこ焼きだけは、ハフハフ言いながら嬉しそうに食べている。
関西人でもなんでもない。本番のたこ焼きを食べたのは30代になってから。子供の頃からお祭りの屋台で食べるタコ焼きが大好きで、お祭りシーズン以外は食べられないから、コンビニのたこ焼きで手軽に楽しんでいるそうだ。
そんな彼とお祭りに行くと、真っ先に探すのは
もちろんたこ焼き。花火大会の「花火」よりも確実に楽しみにしているのはたこ焼きなのがわかる。
ところがここ数年、屋台からたこ焼きが消えつつある。
みなさんお気づきだろうか?
屋台と言えば、焼きそば、焼き鳥、じゃがバター、牛タンの串焼き、リンゴ飴。
粉物系のお好み焼き、モダン焼きはある、
たこ焼きだけが、ない。(あってもかなりの減少率で1つのお祭りで1ブースあればいい方)
厚木花火大会も、平塚七夕祭りも、たこ焼きがない。たこ焼きだけがない。
どうやら、たこの値上がりが原因らしい。
ここで、たこ焼きのルーツに触れておこう。
(※以下、OSAKAたこ焼マーケットより引用)
日本のたこ焼きは昭和10年(1935年)会津屋の初代当主遠藤留吉氏の屋台から始まりました。彼は福島県会津の出身で、大阪に来て昭和8年にラヂオ焼きの屋台を始めました。ラヂオ焼きはたこ焼きと同じ作り方の食べ物ですが、タコではなく牛スジとこんにゃくを入れて焼いたものでした。※中略
ところが、昭和10年にラヂオ焼きを食べたお客様から、明石では、タコを入れた玉子焼きという食べ物があると聞かされ、牛スジとこんにゃくの替わりにタコを入れて、たこ焼きとして販売を始めました。元祖たこ焼きの誕生です。
当初は牛スジとこんにゃくが具材だったんですね。さて、話をうちの彼のたこ焼き話へ戻そう。
たこ焼き目当てにお祭りに行くも
たこ焼きを買えず残念そうにしている彼。
銀だこでどう? と聞いてみると、
もちろんおいしいんだけど、「揚げた感じ」じゃないたこ焼きが好きで、とのこと。
その年のクリスマス、彼にたこ焼き器をプレゼントすることにした。
さっそく、たこ焼きを作って食べた。お店で買うよりちょっと小ぶりに焼けたたこ焼き。見た目のインパクトには欠けたが、それなりにおいしかった。
自宅で作れば、入れるタコの大きさも自由自在。大ぶりに切ったタコを入れてみたり、チーズやエビ、ちくわなど、アレンジも楽しんでみた。まぁまぁ楽しい。が、2回目には私の方が飽きてしまった。
今一歩届かない、一線を超えられないおいしさ。原因は何だろう。
私「あぁ、わかった!ソースだ!!ソースがなんかねぇなんかちょっと惜しいかも」
彼「でもさぁ、市販のソースってそんなにバリエーションないし、何個も買って試すまではしなくないよね」
私「確かに……」
彼「うーん、じゃあ明石焼きとかどう?」
私「そうだね、たこ焼きちょっと飽きて来たし、来週は明石焼きにしてみよう」
タコ、たこ焼きミックス、そして白だし、青ネギ、とシンプルな材料費をスーパーで揃えた。
様々なレシピを見比べて、わかったおいしく作る秘訣。生地(液)はけっこうシャバシャバがいいらしい。
いざ、シャバシャバの液をたこ焼きプレートに投入。こんなにシャバシャバで固まるのか?
ハイボール片手に半信半疑ながら見守った。
グラスのハイボールを半分くらい飲み終えた頃、くるっと返す。綺麗な焼け目にお〜いい感じ♪
その間に小皿に白だしを水で割って、青ネギを散らして用意した。
そろそろかなぁ? いってみよう♪
ふわふわぷるっな明石焼きを出汁の入った小皿へ。
出汁に浸してすぐ、口へ運ぶ。
ハフハフ、じゅわーとぅるっ。
わぁおいしい。
「おしいしね〜〜〜!!」
顔を見合わせ、同じ感想だった。
「たこ焼きより明石焼きがおいしいね?」
「家でやるならこっちだね」
二人で頷いた。
私「やっぱさぁ、たこ焼きはタレがさぁ屋台みたいにならないってなると、明石焼きの方がおいしくできるよね」
彼「そうだねぇ」
私「てかさぁ、私タコ無くてもいいかもしれない。この生地と出汁の感じで食べたいかも。」
彼「わ〜か〜る〜、タコの食感なくふわっとぅるって感じおいしいね!」
私「ね〜! いいよね〜! よかった、言ってみて。でも、たこ焼き好きのタコへのこだわりってないの?」
彼「そこはね〜、たこ焼きはたこ焼きでおいしいんだけど、このタコなしの明石焼きは相当おいしいよ」
そんなこんなで、たこ焼き好きの彼に喜んでもらいたい気持ちから始まったウチでのたこ焼き作り。最終的に、タコ無しの明石焼きに着地した。しかし、このタコなしの明石焼きは明石焼きと呼んでいいのだろうか。
最近では、出汁につけなくても、いやその方が表面のカリっと感が損なわれなくておいしいと言い出して、きっともうこれは明石焼きでもなくなっている。たこ焼きミックスを焼いた明石焼き風(タコ無し、つけ出汁なし)
タコ焼き好きの彼と始めた
家でのたこ焼き作りの果て。
おいしくする為に、具を変え品を変え(たこ焼きから明石焼きへ)アレンジしてみるも、結局たどり着いたのは、
タコすら入っていない、出汁にもつけない
明石焼き風。(たこ焼き好きは何処行った? 笑)
せっかくなので最後まで読んでくださったみなさんに「おいしい具なし明石焼き風」のポイントをご紹介してこの話を締めくくりたい。
ポイントは2つ。
①タコ焼きミックスを水だけで割るのではなく、白だしを加えること。出汁の風味がアップする。
②たこ焼きミックスに書いてある表記よりもシャバシャバ気味に生地を作ること。この時の目安はこんなんで本当に固まるのか? ぐらいにすること。それによって、カリとぅるっふわっが実現する。万が一シャバシャバ過ぎて固まらなかった場合は、固まらないことをネタにハイボールを多めにいただきながら、気長に待つ。過去に一度だけ、固まるのにすごく時間がかかったことがあるが、その時の生地ほぼ水だった。笑
固まらない時の対処法を端的にまとめると、「気長に待てば、水分が蒸発していつか固まる」……以上。
***
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