メディアグランプリ

家電が次々ダメになるリレー「よーいドンっ!」じゃないんですよ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:パナ子(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

ピピピピピッ! ピピピピピッ! ピピピピピッ!
リビングにまで響き渡るほどの大きな声で私を呼ぶやつがいる。洗濯機だ。
 
このところ、回し始めて10分ほど経過すると必ず洗濯機が私を呼ぶようになっていた。子供がまだ小さかった頃、毎晩必ずしていた夜泣きを思い出しながら私は近づく。
 
どうした、うまく回れないのか?
私は一旦洗濯機の蓋を開け、再度閉める。こうすることで上手く再起動するからだ。
やれやれ、まったく、手のかかるやつだと思いつつ可愛く感じていたのも時間の問題だった。
 
騙し騙し使っていた洗濯機が、ある日反抗期を迎えた。
この日も無事(?)、再起動してまわしていた洗濯機が「洗濯終了」の合図を鳴らした。
 
ピーッ! ピーッ! ピーッ!
蓋を開けて洗濯物を取り出すやいなや私は違和感を覚えた。そこには「はいはい、これでいいんでしょ」とでも言わんばかりのすこーし湿らせたような洗濯物たちが転がっていた。
 
お、お前……全然、洗濯できてないじゃないか。
母さんはそんな風に育てた覚えはないぞ!
 
実は、毎回エラー時に表示されていた暗号によると、原因は「給水異常」だった。なんとなく登場した夫が「どれどれ」といった感じでホースのあたりを眺めたり押したり引いたりしてみたが、全然意味がない。どうやらこのエラーが頻発する時は「内部のコンピュータが故障している可能性がある」らしい。
 
まじかーーーーーー。
君もかーーーーーー。君も寿命かーーーーーー。
 
というのも、我が家ではつい2週間前に電動自転車のバッテリーが逝ったばかりなのだ。前後に子供を乗せて走った期間も長かっただけに、私の子育ての「相棒」という気持ちが強かった。その分、サヨナラする時は秋の夕暮れみたいな少し物悲しい気持ちにもなったのも事実だった。
 
しかし、綺麗事だけでは語れないのが家電の宿命。
まだ幼稚園に通う次男を乗せて走る事を考えると、次の案の決定が急がれた。
電動をやめて自力で走らせる子乗せ自転車を新しく買う、中古のバッテリーを買う、新品のバッテリーを買う、の3案が出された。
 
自力で走ることの足腰の負担や、中古のバッテリーがもしかして火を噴いたらどうしようなどの懸念を払拭するため、最終的に新品のバッテリー購入が決まった。だが、これがなかなかの値段なのである。
 
新品のバッテリー、およそ四万円!
たっ……高い!!
 
しかし背に腹は代えられぬということで、新品のバッテリーをお迎えすることにした。よって電動自転車は無事に爽快な走りを取り戻したのであった。
 
と、ここで、また一つ私は恐ろしいことを思い出す。
そういえば、少し前にはなるが、トースターを買い替えたのもここ2ヶ月くらいの話だ。なぜこうも続くのか。
 
前日までこんがりおいしいトーストを提供してくれていたのに、ある日突然焼けなくなった。「チンッ!!」と軽快な音を出すから取り出しに行ったら、生のままの真っ白い食パンがどーんと鎮座していて笑った。
 
おいっ! どんなイリュージョンだよっ!!
しかも、君、さっきじーーーーーーー……とか言っていかにも「焼いてますよ~」感を出してたじゃないか。
 
結局、まるで焼くことを忘れたトースターに別れを告げ、新しいトースターを家電量販店にてお出迎えしたのであった。
 
電動自転車もトースターも我が家の生活には必要不可欠なものだから、その後の方針について早急に決定することが望まれるのである。
 
さて、件の洗濯機についてだ。
家族4人暮らしの我が家としては、洗濯機を回さない日はない。自転車よりもトースターよりも最重要課題だ。
 
実は、この洗濯機の調子が悪いのは今回が初めてではなかった。
数年前、脱水時に「キィエーーーーーーーーー!!」と奇声を発するようになってしまい、その時は修理屋さんを呼んだ。
 
その時はじめてわかったことだが、我が家が使っていた乾燥機つき自動洗濯機は、少々故障が多い事がわかった。
 
まず、修理屋さんに言われて衝撃だったのは、よかれと思って使っていた「赤ちゃんにも優しい無添加の洗剤」の類が、節水を謳うドラム式とは相性が悪いということだった。少ない水で洗いたい洗濯機 VS 多くの水を必要とする溶けにくい洗剤 という戦いが見えない所で起きていたようで、詰まりを加速させていた。
 
また、縦型洗濯機に比べ、歴史の浅いドラム式洗濯機を魔術師のように修理したり分解洗浄したりできるプロがまだ少ないとの事だった。
 
育児休暇明け直前に、仕事との両立に震えた私が夫に懇願して買ってもらった乾燥機付きの洗濯機には、当時それはそれは夢のような時間を与えてもらった。子供と転がるように家を出発する時、家じゅうの洗濯物を放り込んでおけば、「ただいま~」の頃にはフワフワのいい香りの洗濯物たちが私を待っていてくれた。
 
不安でいっぱいの新生活に十分恩恵をもたらせてくれたよね。ありがとね。
でも、もうお別れみたい。
 
こうして我が家では約8年ぶりに新しい洗濯機を迎えることになった。
やんちゃな子供たちが汚してくるたくさんの服を、たっぷりの水でジャブジャブ洗うべく、今度は縦型にする予定だ。
 
あと2日でおNEWの洗濯機がくることが決まり、安堵の私は掃除機を手に取った。
洗濯機まわりを入念に掃除しておくか。
掃除も終わり、スイッチを押して消そうとするがなかなか消えない。
手元にぶいー――――――――んと延々鳴り響く掃除機くん。
試行錯誤の末、やっとスイッチが切れた。
 
えっ……ちょ、待って……。
まさか、次は、君が……。
なぜに君たちはこうも次々リレーのバトンを渡すように逝ってしまうのか。
 
頼む、お前はもう少しもってくれ。
私は懇願するような悲哀の気持ちで、しばらく掃除機を見つめた。

 
 
 
 
***
 
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2024-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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