書くことは人生再生の旅路である
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:かず(ライティングゼミ・9月コース)
「せめて自分くらい自分の味方にならないとやってられない」
そういう風に思ったのが書くことを始めた理由の一つだったように思う。
20代の頃、当時の自分としてはかなり大きな悩みを抱えていたが、だれにも相談できずにいた。どうせまともに聞いてもらえない、自分が悪いと言われて怒られ、切り捨てられて終わりだろう。だったら言っても仕方がない、言って嫌な思いをするくらいなら黙っているほうがまし、そう思って全部ひとりで抱え込んだのである。
結果、誰にも会いたくなくなった。会ったときに、いろいろ聞かれたり、言われたりするのが嫌になった。何にもわからない人が、表面だけ見ていろいろ言ってくるのが辛かった。
精神状態はどんどん悪化、最終的には明確な理由もわからないまま、ひたすら一日何時間も泣き続けるという状態で、食事制限も運動もしていないのに体重はどんどん減っていった。
こうなるともう問題解決どころではない。足を骨折している人は徒歩5分のコンビニに行くのだって大変であろう。体のことは気を使う人は多いが、心に気を配る人はまだまだ少ないように思う。
そんな時に、
「せめて自分くらい自分の味方にならないとやってられない」
そう思うようになったのである。
それは、他人以前に、誰よりも自分が自分を責めていることに気づいたからである。何かにつけて自分で自分を責めて叱り飛ばす、そんなことを24時間し続けている状態である。疲弊しないわけはない。大体それをし続けても問題は全く解決しないどころか悪化、時間だけが過ぎてしまったのだ。自分を鼓舞するために多少厳しい言葉をかける程度なら、それもよいのかもしれない。だが疲れ果て、道に倒れている人に鞭を打っても立ち上がって歩き出せるわけはない。
それで「書く」ことにした。せめて自分くらいなんの否定もせずにただただ話を聞いてやろうと。元々、ネガティブなことを書くことには抵抗があった。自分しか見ることはないのが前提とはいえ、書けば形に残る、人の目に触れる可能性も0ではない。そんなことを考えていたので、少し躊躇していた。それでも書き始めたのは、とにかく自分の中にたまったものを吐き出したかったからである。
効果は、あった。
自分の状態をよくするために他にもいろいろしていたため、書くことだけが理由ではないかもしれないが。
ノートを作り、最初の頃は自分の状況、心の状態も含めての実況中継のようなことをしていたように思う。いま、何を感じているか。辛い、悲しい、苦しい。とにかく何でも聞いてやることにした。
ノートには特に何を書くか、いつ書くか、どのくらい書くか。そういった制限は何も設けなかった。ただ時系列で日付や書いた時間を入れて、タイトルをつけ、タグも一応つけておいた。何をどれだけ書いてもいいので、日記のようなことを書いている日もあるし、その時々で興味のあること、どう思ったか。何を考えているか、そんなことを書き続けた。一日何ページも書く日もあるが、一文字も書かないまま何日も過ぎるということもざらである。ただただ好きな時に、好きなように、好きなだけ書かせたのである。
割と精神状態が良くないときのほうがペンは進む。手書きであったのもよかった。筆跡からもいろいろなことが読み取れる。一つ一つの文章の内容だけではなく、あとからまとめて読み返すことで、その頃の状況がより読み取りやすい。
心は、徐々に落ち着いた。少し元気になれると、問題解決への余力が出てくる。少しずつ、少しずつ。それでもずいぶんと長い時間はかかった。
ノートは10年以上書き続け、今も続いている。現在10冊目。今後も続くであろう。現在の思いを書きだし、未来の自分が今の問題を解決できているように期待する。過去のノートを読み返し、過去の自分が残した記録を参考に今の問題に取り組む。さながら過去、現在、未来の自分との交換日記のような役割をノートは果たすようになってきた。
信頼する人に相談するのもいいことだと思う。自分とは違った視点からアドバイスをもらえるからだ。だが、自分のことを一番よく理解しており、死ぬまで唯一一緒にいられるのは、自分だけである。自分を人生で一番の味方にすることができれば、ずいぶんと生きていきやすくなる。
書くことはペンと紙があればだれでもできる。パソコンでもいい。問題が起こった時、辛い時、悲しい時、まずは自分との信頼関係を取り戻し、自分だけでも味方につけ、一緒に乗り越えていくというのはどうだろうか。
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