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元書店員がIT企業に転職した。


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記事:shiho(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
私は元書店員である。様々な世界を垣間見ることができる本が好きで、大学卒業後に書店に就職した。商品の仕入れから店頭の陳列、お客様との会話や販売まで、本に囲まれた日々を約4年間過ごした。
 
私が勤めていた書店での仕事は、非常にアナログなものだった。メールよりもFAXが主流で、在庫は指差し確認で数を数え、手書きで管理表に記入していた。お客様や同僚、さらには出版社の方々とも、対面でのやりとりが中心だった。
 
 
そんな「超アナログ」な私が、IT企業に転職した。
 
 
不安だらけだった。書店で在庫管理システムに携わっていたわけでもなければ、プログラミングやデザインのスキルも皆無。タイピングさえも満足にできず、社内で飛び交うカタカナ用語には戸惑うばかりだった。今振り返ると、そんな私がよく採用されたものだと感心する。
 
転職後、まずはシステムの導入企業からの問い合わせに対応するクライアントサポートの部署に配属された。その後、マーケティングチームに異動し、気がつけば早くも転職から3年が過ぎようとしている。
 
「書店員時代の経験はほどんと役に立たない、ゼロから学び直そう」
そう思っていた私にとって、意外な発見があった。それは、書店員時代の経験が思った以上に役立つ場面が多かったことだ。
 
例えば、クライアントサポートの仕事では、お客様に本を案内するときの工夫が活きた。書店でお客様に本を紹介するとき、私は必ず「どのような目的で、どんなことが知りたいのか」を最初に伺うようにしていた。これにより、お客様が本当に求めているものに近い一冊を案内でき、時には想定していなかった別の本を提案して喜ばれることもあった。
 
同じアプローチはクライアントサポートでも有効だった。問い合わせ内容を単に文面で判断して形式的に回答するだけでは、すぐに別の質問が寄せられる。そこで、「どのような目的で、どのようなことが知りたいのか」を最初に確認してみると、次に起こり得る問題を先回りしてサポートすることができ、効率よくお客様の困りごとを解決でき、安心いただくことができた。
また、マーケティングの仕事においても、書店員時代の経験が意外に役立っている。本のタイトルや帯に込められた言葉のセンス、目を引く工夫に触れてきたことで、いつの間にか「言葉の力」が鍛えられたのだと思う。書店の棚に並ぶ数々の本の中から、どのように手に取ってもらうか。そのために洗練された言葉の選び方は、広告のキャッチコピーにも通じるものがあった。
Webには広告があふれるようになった今、適当な言葉を並べても他の広告に埋もれてしまう。誤解を招いたり、理解しにくかったりする表現では、お客様の関心は得られない。だからこそ、言葉一つひとつにこだわり、目に留まりやすい表現を心がけることが大切だ。しかし、実際にはそう簡単にはいかない。広告を作る現場では、日々様々なアイディアを出し合い、試行錯誤を重ねている。たとえ「言葉の力」が以前よりも鍛えられてきたとしても、まだ十分に磨かれたわけではない。良いアイデアがすぐに出せるわけでもなく、時には壁にぶつかることも多い。それでも、「もっとこうした方がいいのでは」と提案できるよう、今も言葉の磨き方を日々学んでいるところだ。
こうして振り返ると、「書店員時代の経験は無駄になってしまうのか」と不安だった私も、今では胸を張って「活かされている」と言えるようになった。昨年、半年に一度全社員から選ばれる「社長賞」を受賞することもできた。学ばなければならないことはまだ山ほどあるが、書店員時代の経験が無駄ではなかったと心から実感している。
 
転職当初は、全く異なる世界に飛び込むことに大きな不安があった。「自分は役に立てるのか」「軽んじられるのではないか」「ちゃんと給料に見合う貢献ができるのか」そんな心配が頭を過って仕方なかった。しかし、実際には業界が違っても、どこかで過去の経験は活きてくる。むしろ全く違う環境に身を置くことで、思わぬ形で役立つこともある。そして、足りないものは学べばいい。その考え方が、今の私の自信となっている。
 
一緒に働いているメンバーからすると、私は「意外な視点を持ち込んでくる人」らしい。そう思ってくれる仲間たちに感謝しつつ、これからも書店員の経験を糧に、言葉に強いマーケターとして成長していきたい。
 
 
 
 

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2024-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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