メディアグランプリ

近くても必ずあるわけではなく、離れていてもある、家族の絆


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記事:みやび♪(ライティング・ゼミ9月コース)

 
 

「自分自身がしあわせじゃないのに、仕事で他の家族のしあわせなリフォーム・リノベーションが、提供できるの?」
 
子どもたちを抱えての経営は苦しく、そんな中でかけられた上から目線のこの言葉。
自分の心の奥深くに刺さり、弱り切っていた私は、言い返す気力すらなかった。
 
私の事をよく知るその人のその言葉は、時間とともに、私の中で、腹立たしさを増幅させていった。
その後も、その悔しさは、年単位で、膨れていった。
 
 
そう、それは今から10年ほど前の事です。
私は、晴天のへきれきで、離婚をしました。
親の後ろ盾など何もなく、私が創業した建設業のリフォーム・リノベーションの会社を引き続き営みながら、子ども2人を育てる生活を送っていました。
仕事は、下請け工事を請けるのではなく、すべては私が営業をし、直接お客さまからいただくスタイルです。
そして、お客さまのしあわせを形にすることをモットーとしているつもりでした。
 
が、そんな時に受けたのが、冒頭の言葉です。
当時、売上げがなかなかなくて、苦戦していた時期でした。
 
シングルマザーは、貧困率が高く、2人に1人以上が貧困であるという統計があります。
また、その子どもたちは、塾にいける環境が整いにくく、低学力化率が高いとも言われています。
まさしく、私もその例外ではない状態でした。
 
私はいったい、自分の人生、どこへ向かっているのだろう?
得体の知れない、大きな不安に襲われていました。
 
でも、私には、2人の大切な子どもがいる、まずは、どんなことがあろうとも、この2人をちゃんと社会へ送りだすことが、私の役割だ、がんばろう。
それが唯一、私の原動力でした。
 
中学1年生の時は、偏差値35くらいだった長男が、何を思ったのか、まじめに勉強をはじめ、高校受験では、担任の先生から無理だろう、と言われた公立高校に合格しました。
 
高校に入った長男は、家庭の台所事情をよく理解してくれて、アルバイトをしながら、図書館で独学を続けていました。
内心、アルバイトをつづけられるのだろうか? と心配する母でしたが、反対に、アルバイト代から、私にお小遣いをくれました。
 
そして、アルバイトのお金をためて、高校2年生の時に、単身で1か月間、南アフリカに行きました。
コロナが世界中を駆け巡っていた頃でしたので、さすがの私も心配しました。
ですが、この時の経験が彼の視野を大きく広げてくれました。
 
高校3年生の時、大学受験のため、予備校に通わせてほしいと言ってきました。
私「ごめんね。あなたも、高校受験のために塾に通っていたよね。次は、次男の番。次男の高校受験のために塾に通わせてあげてほしい。
なので、これ以上はお金が出せなくて、あなたを予備校に行かせてあげられない。」と。
 
長男は、それを素直に受け止めてくれました。
そして、その後、長男は、独学で、東京の私立のK大学(偏差値70超え)に合格しました。
(現在、大学の交換留学生として、スイスに1年間の予定で滞在中です。)
 
長男が大学生になった次の年、次男が小学1年生から続けていた野球で、甲子園出場を目指したいと、自らの意志で親元を離れ、寮生活での高校生活を始めました。
 
長男は、勉強で、次男はスポーツで、自分のしたいことを実現していきました。
 
家族3人なのに、3人とも違うところに住んで、バラバラになって寂しく感じた私でした。私にとってそれは、予想外の事でした。
私は、子どもたちに何をしてやれただろうか。
いや、何もしてやれなかった、と深く落ち込みました。
 
でも、しばらくして、気づいたのです。
私は子どもたちを育てていたのではない。
彼らが、私を育ててくれたのだ、と。
 
家族の形は、いろいろあることを、身をもって知りました。
いつも一緒にいることだけが、素敵な家族じゃない。
家族が、離れ離れでも、それがたとえ、外国であっても、家族の絆はつながっていて、お互いを大切に思い、労わりあいながらそれぞれが、自分の人生を生きていく。
それでいいんだ、と。
 
そのことに気づいたとき、私は一人で感動の涙を流しました。
そして、今まで私たちにかかわってくださったすべてに対して、感謝の気持ちがあふれてきました。
ようやく、私の長い間のもやもやした思いが一気に吹き飛んでいきました。
 
お陰さまで、自分自身の家族との気づきから、その時以来、私の仕事も、信念が固まりました。
そして、自信をもって、ほかの家族のしあわせを実現するお手伝いをさせてもらうことができるようになりました。
 
冒頭のことばは辛かったですが、今なら言われたことに対して、しっかりと対応することができます。
また、その時の自分に対しては、大丈夫だよ、子どもたちがそれぞれ立派に成長してくれるよ、と言ってやりたいです。
 
私は、子どもたちから、人生の道の切り開き方を教えてもらいました。
次は私が、経験した中から、社会に対して恩返しをしていく番です。
 
どんな人も、どんな境遇にいても、自分を信じて、一度しかない大切な人生を、自分の望む生き方で、生き抜いていってもらいたいと思います。
 
特に同じ立場から、社会への恩返しのひとつとして、私は、家族の中心でもあるお母さんの味方になって、お母さん自身が、本来の力を発揮できるようサポートしていきたいと思っています。
 
そして常に、感謝を胸に、これからも私は、歩み続けます。
 
 
 
 

***

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2024-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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