メディアグランプリ

空き家は、地域に眠る財宝だ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川瀬健二(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

少子高齢化や人口減少を背景に、日本の空き家問題が深刻化しています。2018年のデータによれば、日本の総住宅数のうち約13.6%が空き家となっており、2040年には2000万戸に達すると言われています。
 
空き家は放置されると、地域にさまざまな悪影響をもたらします。不法投棄や異臭などによって地域の景観が損なわれるだけでなく、老朽化した空き家は倒壊や火災の危険性が高まります。また空き家が不審者の隠れ場所や犯罪の温床になることがあり、治安が悪化する可能性もあります。
 
経済的な悪影響も見逃せません。空き家があることでその地域の地価が下がり、資産価値が低下します。結果的には地域全体の経済活動を停滞させ、自治体の税収にも悪影響を与える要因となります。
 
しかし見方を変えれば、こうした空き家は負の遺産ではなく、地域に眠る財宝になり得るのです。伝統的な木造の古民家や築100年以上の洋館は、地域の過去を語り継ぐ「生きた文化遺産」としての価値を持っています。こうした建物を活用することで観光資源としての価値が生まれ、観光客や地域住民が集う場ができます。歴史的建築物をカフェや宿泊施設として再利用するプロジェクトは、全国の地方都市で成功事例が出てきています。
 
空き家を活用することは、地域経済の活性化にもつながります。リノベーションを通じて建物が新たな価値を持つようになると、そこに観光客や新たな住民が集まり、地域の消費が増加します。京都市や鎌倉市などの観光地では、空き家を改装した宿泊施設が増え、街に新たな交流が生まれています。空き家が新たな交流や経済活動の拠点となることで、地元の商店や飲食店も恩恵を受けて、地域全体に活気が戻るのです。
 
実際に、空き家が地域資源として活用されている事例は全国に存在します。富山県南砺市では、築100年以上の古民家を宿泊施設やカフェ、地域住民と観光客が交流できるスペースに改装した「南砺シェアハウス」というプロジェクトが成功を収めています。廃れていた地区が再び人々で賑わうようになり、地元の文化や工芸品にも注目が集まりました。移住希望者が地域の特色やコミュニティに触れる場として役立っており、若い世代の移住が進んでいます。
 
兵庫県篠山市の「篠山里山再生プロジェクト」では、空き家をリノベーションして新規農業者向けの住宅を提供し、農業振興に貢献しています。移住希望者が安心して住み込みで農業を学び、篠山の自然と共存しながら農業に取り組むことができる環境が整いました。このように空き家を地域資源として活用する取り組みが、地域活性化を促進しています。
 
一方で、空き家を財宝として地域に活用するには、いくつかの課題も存在します。特に所有者が不明であったり、法的な手続きが複雑であったりする場合、空き家の管理や利活用が滞ることが多いです。老朽化が進んだ建物は改修に費用がかかり、個人での負担が大きいことも課題です。
 
このような課題に対しては、地域や自治体が支援する仕組みが必要です。「空き家バンク」制度のように、自治体が空き家情報を提供し、移住希望者とマッチングする取り組みは一定の効果を上げています。自治体が空き家のリノベーション費用を一部負担する補助金制度や税制優遇も、空き家活用を進める上で重要な施策です。このような制度があれば、空き家所有者にとっても手放しやすくなり、地域に新たな住民が増える好循環が生まれる可能性が出てきます。
 
NPOや地域企業と連携し、空き家の再生事業を支援する仕組みも効果的です。地域の力を活かして空き家を管理し、新しい価値を生み出すことができれば、個人の負担を軽減し、持続可能な再利用が可能となります。特に若い世代の移住や、起業希望者に向けてリノベーションした空き家を提供することは、地域経済にも新しい風を吹き込むことが期待されます。
 
空き家を地域の財宝に変えるためには、地域全体が一体となった取り組みが不可欠です。地方創生を目指す各自治体や地域コミュニティが手を組み、空き家の活用方法や地域の魅力を再発見していくことで、新しい価値が生まれます。空き家を単なる不用品ではなく地域に眠る宝物と考え、未来を見据えた活用が進めば、少子高齢化が進む日本においても豊かな地域社会が築かれるでしょう。
 
都市部での生活に疲れた人々や、働き方の多様化を求める若者にとって、地方の空き家が「自分らしい暮らし」を実現する場になるかもしれません。テレワークやリモートワークが普及した今、自然豊かな場所で仕事をしながら地域に根付いた暮らしをしたいと考える人も増えています。空き家が新しいライフスタイルの受け皿として生まれ変わり、新たなニーズに応えることができれば、移住者が増えていくでしょう。
 
空き家は日本の過疎化や少子高齢化の象徴のようにも思われがちですが、実は地域の個性や歴史、そして新しい可能性が潜んでいます。あなたの街の空き家を豊かな未来を創るための資源として活用していけば、地域の再生と発展へ新たな道を照らしてくれるでしょう。
 
 
 
 

***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00

■天狼院書店「名古屋天狼院」

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「湘南天狼院」

〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00



2024-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事