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映画「トランセンデンス」実現の日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:團 雅司(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
天狼院の講座は、映画「トランセンデンス」を思い起こさせる。 自分の文体で文章を描き、好みの写真を生成できるという環境は、 まるでその映画が描いた世界の一端が実現したかのようだ。
 
2024年11月も終わりに近づいたある日、 私は天狼院書店が開催する2つのセミナーを受講した。
 
最初に参加したのは「超」AIライティングという講座だ。 これは、自分の書いた文章をAIに学習させ、自分が書いたかのような文章を生成させる環境を作り上げる内容だった。 1日限りの講座ではあったが内容は濃密で、すぐに実践してみた。 驚くべき速さで文章を生成するAIを目の当たりにし、もはやそれに対抗する術はないのだと実感させられた。
 
同時に、私には「自分らしい文章」というものがまだ存在していないことに気づかされた。 「成果を上げたことのある文章を学習させましょう」という講師の言葉は的確だった。 誰にも読まれない文章を学習させても、生み出されるのはやはり、誰にも読まれない文章になってしまうだろう。
 
ネットでよく知られている文章上達法に「写経」がある。 自分が手本としたい文章を書き写すことで、文章力を磨こうとする方法だ。
 
試しに、かつて写経した文章をテキスト化してAIに読み込ませてみた。 確かに、元の著者が書いたかのような文章が生成された。 しかし、これは違う。
 
そもそも他人の文章を無断で学習させることは、許されることではない。 法律上の問題だけでなく、著者への敬意という観点からも、避けるべきことだ。 さらに言えば、できあがった文章は決して自分のものとは言えない。
 
 
そこで次に受講したのが、天狼院の看板講座であるライティング・ゼミだ。 自分の文章を磨くことから始めねばならないと悟り、 締切を過ぎていたにもかかわらず、特別に参加させていただいた。
 
自分という存在を打ち出して何かを伝えるという経験が乏しかったため、 当初から苦戦している。 それでも、誰かに何かを伝えるという行為は、人生を豊かにしてくれるはずだという予感がある。 後輩指導の場面でも、この経験が活きてくると信じている。
 
ここで思い出すのが、映画「トランセンデンス」だ。 この作品については賛否両論あり、私自身、傑作か駄作かの判断はつきかねる。 しかし今、この映画を思い起こしたのは、現在受講している講座が進んでいけば、似たような世界が実現するのではないかと感じたからだ。
 
映画では、脳から直接電極で思考内容を転送するような描写があった。 現実にそれが可能かは定かでないが、例えば自分AIの作成のように、過去の文章を学習させることで同じような文体の文章を生成できる。 そう考えると、将来的には映画に近い技術が実現するかもしれない。
 
現時点では、考えを文章化しないとAIに学習させることはできない。 しかし、もし脳の電気信号を直接取り出せるようになれば、 「考えているけど、文章にしていないこと」 や 「考えているけど、口に出していないこと」 まで取り出せる可能性がある。
 
技術の進歩は予測不能だ。 明日にも実現するかもしれないし、 数十年後も実現しないかもしれない。
 
自分で自分の複製を作る分にはいい。 しかし、これを他人が勝手に行ったら? そこには、映画とは異なる恐怖が潜んでいる。
 
映画では、主人公の天才科学者には考えを転送せざるを得ない事情があった。 彼は影響力のある存在で、技術革新に反対するテロリストから命を狙われていたのだ。 自身の死後も、その思想や未来への展望を実現させるため、スーパーコンピュータ内に自分のコピーを作り上げた。
 
では、私のような平凡な人間の思考が複製される価値はあるのだろうか? 他人が見たところで、何の得にもならないように思える。 そう考えると、先の恐怖感は自分とは無縁のもののように感じられる。
 
しかし、本当にそうだろうか?
 
もし自分の頭の中に、まだ気づいていない素晴らしいアイデアの種があり、 それがまだ実を結んでいないとしたら?
 
誰かがそれを見つけ、画期的な成果を上げたとする。 その時、私には何の見返りもないだろう。 なぜなら、気づいてさえいなかったアイデアを、実行力のある誰かが形にしただけだからだ。 考えだけでは現実は何も変わらない。 行動力や資金があってこそ、実績として結実する。
 
いわゆる集合知という観点から見れば、 アイデアの所有権を争うよりも、メリットの方が大きいはずだ。 その場合、最初の所有権などは些細な問題となる。 そのアイデアで解決できる課題が大きければ、世界のためになるのだから。
 
こうした大きな話は実感が湧きにくい。 もっと身近な例を考えてみよう。
 
例えば妻が、私の頭の中を覗き込む。 さっき通り過ぎた美人のことをどう思っているのか確かめて、私を責めるかもしれない。
 
恐怖を感じた自分の直感は、間違っていなかったようだ。
 
今、天狼院書店のゼミは、 「自分にトランセンデンスの機会を与えてくれる講座」であると同時に、 「技術の進歩の恐ろしさを教えてくれる講座」でもあるように思える。
 
 
 
 
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2024-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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