湯治においでよ戸越銀座
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田口志郎(ライティング・ゼミ11月コース)
初めに断っておく。
もちろん、戸越銀座は文字通りの湯治場ではない。
戸越銀座商店街。
東京都品川区にある、全長1.3kmの東京一の長さを誇る商店街だ。その長さに恥じぬ店舗数を誇り、その数400以上。店揃えも多様で、よく見る種類のお店があるのは当然の事。カプセルトイ専門店といったニッチなお店や、目立ちすぎぬようにガールズバーがあったと思えば、某有名チェーンのホテルが堂々と建つ。ライバル大手古着屋2軒が道を挟んで向かい合って建ち、お金は無いけど夢は有るって人には奢ってくれるラーメン屋、なんて店もある。
種々雑多。
なかでも飲食店が一番種類も数も多い。美味しいものの定番、ラーメン屋は当然の如く何軒もある。他、コロッケ、焼き小籠包、たこ焼き、カオマンガイ、ジーパイ、鯛焼き、団子や、クレープ、米粉パンケーキ、フルーツ飴、プリン、うなぎいも………etc.
食べ歩きに持ってこいな商店街として有名である。
休日は訪れる人で溢れ、戸越銀座ブランドのお土産品もあり、ちょっとした観光地の趣がある。
また、日本に300以上ある銀座の名を冠する地のはしりでもある。単にあやかって付けたというものではない。関東大震災時、銀座ではレンガ通りに使われていたレンガが破損し、処分に困っていた。そのレンガを譲り受け、水はけの悪かった戸越の通りに敷き詰めたことに由来する。いわば、正統な銀座継承地である。
キャッチコピーは「遊びにおいでよ戸越銀座」
私は最近、戸越銀座界隈に引っ越してきた。
戸越銀座商店街は、生活する上で非常に便利。たいていのお店はあるから困らないし、お得なお店もある。アウトレット品を激安で売ってくれるスーパー。定価200円以上のグミを賞味期限間近といえ30円で売っていた。ペット用品店なのに、スーパーに対抗するが如く人様の食料品を格安で売ってくれる店。これらはもうすでに行きつけだ。通りの雰囲気も良く、昼夜問わずよく散歩する。そんな商店街のある街を私は非常に気に入っている。
そして、この前ふと思った。
「戸越銀座は都会にある湯治場だ」
湯治とは、温泉に浸かって体を癒すものである。温泉での治療は時間のかかるものであり、必然、長期療養のために、温泉宿に泊まることが多い。
私のイメージでは、温泉宿といえば旅館。旅館といえば豪勢な食事が付き物で、毎食美味しい食事でお腹を満たすこともできる。
温泉にゆっくりと浸かり体を癒す。
美味しい食事に舌鼓を打つ。
そう。
体が癒され、お腹が満たされ、幸せな気分になる。それが湯治。
だとすると、それは戸越銀座に行くことと同義なのである。
戸越銀座は食べ歩きで有名な地として名前が挙がるほどであり、お腹が満たされて幸せになる場所、ということには異論がないだろう。
では、なぜ体が癒されるのか?
それは私がこの商店街を散策し、気づいた事から導き出したものである。
先ほど、戸越銀座は食べ歩きで有名と述べたが、本当に飲食店が多く、何か食べようと思ったとき、目移りして悩んでしまうほどである。どんなお店があるのかちゃんと把握していれば、そういった迷いも減るかと思い、ある時、商店街を端からじっくり眺めて歩いてみた。
そして、気づいたのだ。
「整体・マッサージ系のお店、ずいぶんと見かけるな」
数えてみれば、その数なんと15(私調べ)。
100mに1軒以上ある計算になる。戸越銀座商店街にあるコンビニ8軒、ラーメン屋7軒(いずれも私調べ)より断然多い。
戸越銀座は食べ歩き天国であると同時に、体メンテナンス天国でもあったのである。
整体、カイロプラクティック、リフレクソロジーと、種類の違いはある。しかしこれらの共通点は、施術によって体の不調を改善することが出来るもの。つまり、戸越銀座に来て、これらの店で施術を受ければ、体が癒される、ということなのである。
これは温泉に行くのに似た効用と言えよう。
ということを踏まえ、先の私の発言。
「戸越銀座は都会にある湯治場だ」
体も癒され、お腹も満たされる幸せの地、戸越銀座。
お分かりいただけただろうか。
なにかと忙しい現代、日常生活はストレスの宝庫。日々奔走し、気づけば、
「ああ、自分、疲れてるな……」
そう感じる機会も少なくはない。
そんな時、この言葉を思い出して欲しい。
「戸越銀座は都会にある湯治場だ」
疲れたら是非、戸越銀座まで、おみ足運んでいただければ。
補足。
実は「戸越銀座温泉」は実際に存在する。ただ、商店街にある温泉はこれ一つ。なので、戸越銀座は湯治場と言えるほどではない、ということでご容赦。
と、言うよりも。
お越しの際はここに立ち寄って、本当の温泉体験を加えてみるのもまた乙なもの、では?
***
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