腸内グラノーラ狂詩曲
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記事:村人F(ライティング・ゼミ9月コース)
流石にグラノーラのせいで病院に駆け込んだ人は少数派だと思う。
もちろんアレルギーみたいな体質的な理由ではない。
むしろ健康食品として効果が出すぎた結果の悲劇だった。
時間はコロナ禍前まで戻る。
僕は久々にグラノーラを買っていた。
当時は大盛のカップ焼きそばにモリモリマヨネーズをかけた上に追いオリーブオイルをしていたような凄まじい食生活だったから、たまには健康に良いものを食べようと思ったのだろう。
実際、食物繊維を1ミリも意識していないくらいだったから相当荒れていた。
だからデトックスしようという方向性はあっていた。
そして牛乳と一緒に食べる。
ザクザク食感を楽しんでいた子どもの頃を思い出す。
「あのときはなぜかチョコ味のコーンフレークが好きだったな」なんてノスタルジーに浸りながら味わっていた。
数時間後、早速効果が出始めた。
別に普段から便秘をしていたわけではないのだが、明らかに腸がよく動くのである。
ものすごく元気だってハッキリわかるレベルではしゃいでいる。
「そうか、久しぶりに食物繊維に出会えたからはしゃいでいるんだな」
最初はこの具合に微笑ましい気持ちでトイレに入っていた。
しかし、それにしても間隔がおかしい。
1時間に1回のペースで行っている。
当時は在宅勤務なんて制度はなかったから職場でこのザマだった。
頻繁にトイレ休憩を取る僕を周りも流石に変な目でみたに違いない。
でも何度行っても腸が静まることはなかった。
そして、この状況は3日間続いた。
もうシャレになっていない。
腸も明らかに出すものを出した先の何かを出している。
これはもう善玉菌が活躍しているというようなレベルじゃない。
逆に悪玉菌が「お前何してくれてんのじゃ!」と僕に特大クレームをカマしているかのよう。
それくらいの暴れっぷりだったので生活にも大きな支障が出てきた。
何より、門がもう限界である。
だから僕はワラにすがる思いで内科の門をくぐった。
休日で人も少ないクリニックにて、間抜けな症状を説明する自分がバカすぎて恥ずかしい。
しかし、先生の診察結果は「しばらく待つ」この一点だけだった。
考えてみれば当然だ。
健康にいいものなのだから本来は薬なんていらないのである。
結局それから数日を経て、ようやくいつもの腸に戻ってくれた。
もうしばらくグラノーラは食べない。
強く心に誓った約1週間の狂詩曲だった。
ただ今にして思えば、腸の猛抗議は本当に悪玉菌による嫌がらせだったのだろうか。
いやむしろ善玉菌が必死で僕に語りかけていたのかもしれない。
「ご主人様、ガチでまずいですよ!」と。
確かに相当ヤバい状況だろう。
グラノーラの効能が腸内環境の正常化だと考えると、普通の状態に戻すまで1週間の時間を有したというのだから。
つまり、それくらい当時の食生活がゲキヤバだったのである。
考えてみればカップ焼きそばにマヨネーズたっぷりも酷かったが、それ以外もコロッケなど油の多いものばかりで、本当に健康と無縁な食生活だった。
便秘こそしなかったものの、出すものは明らかに貧弱だったと思う。
だから腸がグラノーラでブチ切れるのも当然だろう。
普段は全然いたわらないくせに半年に1回の罪滅ぼしで満足するんじゃないと。
きっと、あの騒動は善玉菌の最後通告だった。
それから3年後、なんとなく僕はダイエットを始めた。
パーソナルトレーナーをつけて食生活を丸々改造する革命だったが、今思えばあの時の贖罪が理由だったのかもしれない。
始めてすぐに「マヨネーズ捨てましょう」と指示されるスパルタぶりだったが、和食メインの食生活による効果は体重以外にも明らかな効果をもたらした。
出るものが立派になったのである。
もう二度と拝めないと思っていた一本系を毎日のように量産しているのだから。
ああ、これが元気な腸の状態か! 気持ちがいいと毎朝気分がいい。
逆に言うと腸内グラノーラ狂詩曲が盛り上がった当時の状況がどれだけ酷かったかもよくわかった。
ごめんね、こんなアホな僕で。
でもおかげで助かったよ。
あの必死の抵抗があるから、絶好調な今があるんだから。
体重も10kg落ちたし本当、健康って最高だ。
もちろん、グラノーラを食べても1週間の大立ち回りをすることはない。
いつもより、ほんの少しはしゃいでいるくらいだ。
やっぱりこのスーパーフードは腸内環境にものすごくやさしかった。
健康食品を食べたって必ず健康になるわけじゃない。
逆に体に悪影響を与えることもある。
でも、もしかしたらそれは、身体からのSOSなのかもしれない。
お前は今それくらいヤバいぞと効果を異常に出すことでアピールしているのだ。
だから、この手の食べ物でどういう反応をしたかが、ある意味で通信簿になる。
あなたはどうだろうか。
子どもの頃に戻って、食べてみては?
***
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