私がネットのレビューを一切見ない理由
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記事:田辺 哲(ライティング・ゼミ9月コース)
「やっぱお前は同じ目にあえば良いな。そうなることを説に願うよ。ブルブル小動物みたいに震えてれば良いよ」
「濃硫酸でさっぱりしようよ」
「やつの目の前で娘がうまれたことを後悔する目にあわせてやりてえ」
以上、ほぼ原文ままだが、これらは東海地方のある居酒屋の店主とその家族にネットを通じて向けられた脅迫や嫌がらせの言葉である。
こういうところこそ、私がネットのレビューを、もっと言えばレビューを含むネットの集合知というものを信用できない理由がある。
その居酒屋店主は元々、いわゆるオタクやオタクカルチャーに対しては好意的で、理解のある人物だった。いわゆる萌えキャラ、漫画・アニメの美少女キャラとのコラボ企画に参加し、関連イベントも積極的に開催して、多くのオタクや漫画・アニメの愛好者たちに楽しみと憩いの場とを提供していた。
ところが、ある有名なフェミニズム論客が、そのコラボ企画で使用されていた美少女キャラの設定に問題があるとして企画運営会社にクレームを入れたことから、事情が変わってくる。
その企画に登場する美少女キャラの一部に「毎晩夜這いされることを妄想する」「可愛い子を見るとスカートめくりなどいたずらをしたくなる」などの設定を持つキャラが居て、それが性差別や性搾取にあたるという抗議だった。
企画運営会社はこれを受けて、キャラの設定に変更を加えた。
これに一部のオタクやファンが激怒した。
全てのオタクや漫画・アニメファンがそうというわけではないのだが、彼らの中には、エログロ描写を含む表現の完全な自由化を強く望み、それに少しでも批判や抗議をすると、まるで自分たち自身が否定されたかのように怒り狂う者たちが少なからず居る。恫喝や誹謗中傷、集団での嫌がらせなどの過激な行動に及ぶ者も居る。
その時も、フェミニスト論客に対する批判や反論と、恫喝や誹謗中傷、集団嫌がらせなどが始まった。
コラボ企画の参加者だったその居酒屋と店主も、この騒動に巻き込まれることになった。
まずその居酒屋がコラボ企画で使用していたキャラが、嫌がらせに使用された。さらに一部オタクたちは、その居酒屋店主にもフェミニスト論客への抗議や嫌がらせに参加や賛同するように求めた。
居酒屋店主はそれを拒否し、過激な行動に出る一部オタクたちを諫めた。
しかし彼らは、店主のその言動を許し難い裏切り行為だととらえたようだ。
こうして始まったのが、店主本人だけでなく、店やその家族に対する凄まじい恫喝や誹謗中傷、嫌がらせの数々である。冒頭にあげられた言葉は、その時にネットで店主とその家族に対して行われた恫喝や嫌がらせのほんの一部だ。
他にも、立ち入り禁止場所への無断侵入、保健所への虚偽通報による営業妨害、さらに店を訪れた他の客への嫌がらせや誹謗中傷などが行われた。
レビュー荒らしという、ネットでの口コミ評価を書くレビュー欄に不当に低評価を付けるという嫌がらせもあった。
その為、その居酒屋のネットでの評価は今も低いままである。
元々私は、店や商品を探したり、調べたりする時は、あまりネットのレビューとか、他人の口コミ評価とかはほとんどあてにはしていなかったが。
この居酒屋さんの一件以来、一切見なくなってしまった。
「集合知」という言葉がある。
多くの人々の知識や経験を共有することによって、個人の知識や経験や洞察でできる範囲を超えた優れた発想・発見や問題解決が可能となるという概念である。
当初、ネットはその素晴らしい「集合知」を形成できる場所だとも考えられ、期待もされていたようだ。
ネットのレビューなども。
全世界のボランティアによって執筆されるネットの百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」なども、その集合知によって作られている……筈だった。
だが、そんなものは幻想に過ぎなかったと、今では思う。
何故なら、その形成に関わる人たちが、必ずしも公平で誠実な人間ばかりとは限らないからだ。
例えばWikipediaなどでも、学識経験者が書いた記述が、いつの間にか何者かによって改竄され、歪められているようなケースも少なくないという。
「ネットはバカと暇人のもの」という言葉があったが、むしろ悪意を持つ人間や公平さや誠実さに欠ける人間、あるいは偏った考えを持っているような人間ほど、暇ばかり持て余している場合が多い。そのような人たちほどネットでの活動時間や頻度が多いから、ネットでの影響力を持ってしまう。
本当に正しい知識や情報を得る為には、ネットの集合知などという幻想に頼らず、自分で学び、考え、経験することが、まだまた必要なのだろうな、と思う。
なお私も、昔から食べ歩きや買い食いなどが好きであるが、新しい店を探す時などは、レビューなどネットの情報は見ずに(見ても位置やアクセスなどのみ)、ほとんど行き当たりばったりで決めている。
それは単に正しい情報を得る為だけでなく、自分の舌と、目と、足と、カンを使って、お気に入りの店やメニューを探す楽しみは何物にも代えがたく、またそれでこそ真のグルメであると思うからだ。
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