メディアグランプリ

長年の占い好きが占いに興味をなくした出来事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山形ゆか(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
「あなたには、占いは必要ありません!自分でもそう思ってるでしょ」
 
60分1万円。
ネットで探して、当たると口コミが多かった占い師。
「この人の力は本物」「何もかもが見えているようでした」どれも大絶賛だった。
ご本人曰く、占いではなく神様の声が降りてくるそうだ。
 
相談内容を聞くと、彼女は軽く目を閉じて手を合わせブツブツと何かを唱える。次の瞬間言い放ったのが、このセリフだった。
 
「えっ? 私、占い大好きですが……」
「だって信じてないでしょ、占いなんて。いつも自分で意見を持っているし、間違っていないのよ。自分で考えて決めれば、それでいい。あなたは、正しいから常に自分が思う通りに進みなさい」
15分程度でメインは終了。その後、子供たちの近い将来について聞いた。娘は今おつきあいしている彼と来年くらいに結婚。息子の結婚は当分ないだろう。まさに当たり障りのない内容だった。最初から最後まで、彼女は自信に満ち溢れていた。
 
後日この話を友人にすると、こう言われた。
「その占い師に1万五千円も払ったの?」
確かに……。何のために高いお金を払ったんだろう。
 
転職を迷うとき、恋愛がうまくいかない、家庭でトラブルが発生したときなど、占いという選択肢はないだろうか?
 
私の職場では、退職するか否かの結論を出すために占いに行く人が意外に多い。その結果、退職を決めた例もたくさんある。
「占いでものごとを決めるなんて、優柔不断な内向的な人でしょ」と思うかもしれないが、そうでもない。普段テキパキと仕事をこなし、的確に判断ができる人物であっても占いで退職を決めていた。男女問わずだ。
経営者や政治家などの中には相談役としてお抱えの占い師がいる、なんて話もよく聞く。
 
歴史を遡れば、占いの起源は占星術で発祥は紀元前2千年期メソポタミア。日本でも時の権力者が、占いや呪詛などを利用していた。
科学的に物事が解明されていなかった時代だったからこそ、占いが必要とされたのかもしれない。けれど、これほど科学が進歩しても占いを頼りにする人は多い。
なぜ、それほどまでに占いは人の心を惹きつける力があるのだろう。
 
現代では、ネットの普及で簡単に無料占いを楽しめる。それで満足できなくなれば、課金をしてさらに占う。
電話占いやチャット占いなら1分あたり200円以上は当たり前。占い師と1時間話せば、軽く1万円を超える。顏も知らない相手に個人情報を晒し、多額のお金をつぎ込む。
占いを全く信じない人から見れば、不確かな情報に課金するなんて信じられないだろう。
冷静に考えれば、ありえない。けれど占いに依存し、借金するケースだってあるのだ。
 
私もどれだけ課金してきたかわからない。
不思議なもので、悩みが深刻になればなるほど占いに頼りたくなる。相談する相手がいるにも関わらずだ。さらに、不思議と単価の高い占い師に心惹かれてしまう。
より高いお金を出せば本物に会える。「高い方が当たる」に違いないと、根拠なく思ってしまうものだ。
 
四柱推命や占星術よりも、タロットカードのように占い師の力量が影響しそうなもの。さらに、霊感や霊視占いと付いていれば、特殊能力を持っていると錯覚してしまう。未来を見通して問題の解決方法を示してくれるのではないかと過度な期待が膨らむ。
芸能人など度々話題になったが、占いには依存性がある。占い師が意図していなくてもだ。
 
色々な占いを試してきたが、結局のところ「すごく当たる」と記憶に残っている占い師はいない。断片的に当たっていたとしても、その占い師がどこのどんな占い師なのかまでは覚えていない。私のような占い好きであっても、本物に辿り着くのは難しい。
 
「あなたに占いは必要ない」と言われてから、占いに以前のような期待がなくなってしまった。私の考えに間違いはないなら自分で決めればいいか、と思うと気持ちが落ち着いてしまうのだ。占いに使っていたお金を、もっと有効に使おうと考えるようになった。そういう意味では、あの占い師には良い方法を教えてもらった気がする。
 
占いは何だがワクワクするし、良い事を言われれば満足感もある。もちろん、役立つアドバイスをくれる占い師もたくさんいるだろう。一方で、価格に見合わない占い師がいる事も忘れてはいけない。「誰でもなれる!顔出し不要の在宅ワーク」と、占い師講座のメタ広告が上がってきたときには心から興ざめしてしまった。
 
いつの時代にも、人々の心を捉えてきた占い。うまく活用すれば、きっとものごとを良い方向に運んでくれるに違いない。使い方次第で、何倍ものリターンが望めるのも確かだ。
占いは占い。当たるも八卦、当たらぬも八卦とはよくいったものだ。大げさな広告には要注意。占い師が問題を解決してくれるなんてことは、ありえない。占いにお金をつぎ込んだ私が言うのだから、間違いない。
 
例の60分1万円の結果はどうだったか……。お察しの通り、何一つ当たらなかった。
結婚すると言われた娘は彼氏と別れ、結婚はまだ先と言われた息子は先日入籍した。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2024-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事