「ありがとう」を伝えるということ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:羽富 都史彰(ライティングゼミ9月コース)
温かい料理が運ばれてくるたび、心がじんわりと癒されるのを感じたものです。その経験が、私の中にひとつの習慣を育て頂きました。それは、食堂や飲食店で働く方々に感謝の言葉をかけること。何気ない「ありがとう」だけれど、それがどれほど力になるのかを知っているからです。
いつものように、「ありがとうございます」と繰り返しながら声をかける私。「顔晴れ(がんばれ)」「学生さん?」「スポーツしてるの?」「感じいいね」「親御さん、厳しかった?」なんて、相手が答えやすいような問いを交えながら話します。それが当たり前になっていました。
先日、家族と一緒にファミレスでの会話です。その日は特に印象的なことがありました。私たちのテーブルを担当してくれた22歳の女性スタッフさんが、本当に気持ちの良い接客をしてくれたのです。その自然な笑顔、心配り、そして的確な対応――どれをとっても感心するばかりでした。私は嬉しくなり、食事中ずっとその彼女を褒め続けました。「素晴らしいね」「感心した」「本当に気配りが行き届いてる」と、直接本人に伝えました。
食事が終わったころ、私は思い切って店長を呼んでもらいました。店長がやって来て「何か不手際がありましたか?」と尋ねてきました。その言葉に、私はすぐさま答えました。「違います、そうじゃないんです。この女性スタッフが素晴らしい接客をしてくれたことに感動して、店長さんにもぜひお伝えしたくて。」そう告げると、店長の顔がぱっと明るくなり、こう続けてくれました。
「ありがとうございます。この子は学生さんで、来春に卒業して就職する予定なんです。実は、あと1か月で退職なんですよ。引き留めたかったんですが、旅行会社に就職が決まっていて。3年間もアルバイトとして本当によく頑張ってくれました。」
その話を聞いた直後でした。目の前にいたその女性が突然泣き出したのです。ぽろぽろと大粒の涙を流しながら、彼女は私に向かってこう言いました。「ありがとうございます。この言葉、きっと一生忘れません。」そして、震える手で私の手をしっかり握りしめてきました。その手の上に、彼女の涙がぽとり、ぽとりと落ちるのを感じました。
その瞬間、私も胸がいっぱいになりました。たった一言の「ありがとう」や「素晴らしい」という言葉が、こんなにも人の心を動かすことがあるなんて。自分が伝えた感謝の気持ちが、彼女の中で大切な思い出となり、未来への力になれば、それ以上の喜びはありません。
その後、店長がアイスクリームを差し出し「ぜひ召し上がってください」と言ってくれました。感謝の気持ちを込めて、ありがたくいただきました。感謝の言葉を面と向かって言うことが珍しくなっている現象に
なった現在に、違和感を抱くようになっていく私が、いました。娘と妻は、冷ややかな目で、私を観ています。
「お父さん、恥ずかしいから! もう止めてよ~」と言われました。(トホホ)
● 恥ずかしさと社会的な圧力 感謝の言葉を面と向かって言うことは、感情を表現することになります。日本の社会では、感情をあまり表に出さずに控えめでいることが美徳とされる文化がありました。そのために、感謝の言葉を直接伝えることが恥ずかしいと感じる人が多くなったのかもしれません。
私の実父は、剣道家でしたので、躾には、厳しい人でした。食堂や、レストランでは、「ご馳走様でした」と必ず、言います。そして「ありがとうございます」を子供の頃から、言われ続けてきました。
● 慣れと日常化 日常生活において、家族や友人、同僚などと接する中で、「ありがとう」という言葉が
長い時間を共に過ごす相手には、感謝の気持ちを言葉で表現する機会が減ってしまう傾向が出てきたかと思います。
● デジタルコミュニケーションの普及 現代では、メールやSNS、メッセージアプリなどのデジタルコミュニケーションが普及しています。このようなツールを使うことで、面と向かって感謝の言葉を伝える機会が減少している可能性があります。デジタルメッセージでは、スタンプや絵文字で簡単に感謝の気持ちを表現できるため、直接言葉で伝える機会が減り、寂しく感じるのは、私だけではないかと思います。
● 忙しい生活 忙しい現代社会では、感謝の気持ちを表現する時間や余裕がないことも一因です。仕事や家事、育児などに追われ、感謝の言葉を伝えることが後回しになったのかもしれません。
(まとめ)
感謝の言葉を伝えることは非常に重要です。「ありがとうは口から出る宝石」と感じていている私です。
感謝の言葉は人々の心を温かくし、良好な人間関係を築くための鍵です。感謝の気持ちを持ち、それを言葉で表現することで、相手との絆が深まっていきます。小学校、中学校や、家庭内で、
「ありがとう」運動が、必要だと思います。私が学生時代の新聞配達に抱いていた感謝の記憶。
それが、今の私の行動の原点になっています。「ありがとう」を伝えることで、その人の一日を少しでも明るくすることができるなら、こんなに素敵なことはありません。そして、その「ありがとう」が、相手の心に刻まれることで、未来のどこかでまた新たな感謝の連鎖が生まれるかもしれない。そう考えると、この習慣は決してやめられません。継続していきます。
日々の忙しさの中で、忘れがちな感謝の気持ち。だからこそ、それを言葉にして伝えることの価値は、これからも変わらないと思います。
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