メディアグランプリ

朗読を始めて発見した、本当の私の声


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:izmy(ライティング・ゼミ9月コース)

 
 

とにかく自分の声が嫌いだった。
授業中に返事をすると「オカマか?」とからかわれることが度々あった。
小学校5年生頃からハスキーな声に変わっていき「可愛くない」ことが大きなコンプレックスだった。自他ともに「声が低い=女子失格」という評価をしていたように思う。女性らしくなることを諦めた私は、サバサバと話し、男子のような言葉遣いをするようになった。
 
そんな私が大好きなのは、松田聖子さんをはじめ、アイドルたちのようなキュートで高い声。彼女たちの愛らしいラブソングを聴きながら「カナリアのような美しい声で歌ってみたい」と憧れを抱いていた。
 
声を発することが恥ずかしいのもあって、自分からはあまり話さなくなった。すると、悪しき習慣になってしまったのか、滑舌が悪くなり、流暢に話すことができなくなった。
しかし、職場では、話すことは避けられない。普段の報連相はもちろん、プレゼンテーションもかっこよく話せるようになりたい。最低でも、話がかみかみで終わり、落ち込むことは繰り返したくない……。
 
堂々と明るい表情で自信を持って話す自分になってみたい、と思い始めたころ、天狼院書店さんの講座で出会った友人が、朗読ゼミは発声や滑舌の訓練になるとアドバイスをくれた。講座の詳細ページを見てみると、「自分の声の魅力を発見し、活かせるようになりたい」人にもおすすめらしい。自分にも声の魅力はあるのだろうか? と淡い期待を抱き、取り組んでみることにした。
 
朗読ゼミでは、毎週課題文を読み、自分で録画したデータを提出すると、次回の講義で先生からフィードバックをいただくことができるのだが、初回で私は心を掴まれてしまった。
自己紹介で「自分の声が嫌いです」と投稿したところ、その気持ちに寄り添いながらも、私の声をたっぷりと褒めてくださったのだ!
 
「低い声だけど、丸みを感じて安定感や上品さを感じる。響いて伝わる声。個性的だけど、芸能では他の人と異なっていれば異なっているほど良いから、とても良い声ですよ」
なんと! プロの演出家の先生から、中高生の頃にこんなふうに褒められていたら本気で芸能界に入ろうと思ってしまっていたよ。大人になって褒められると心躍るほど嬉しい! 手帳の「大切にしたいことリスト」に先生からいただいた言葉たちを追加したほどだ。
先生は豊かな表現と言葉で、ゼミのみなさんの声の魅力や特徴を満遍なく伝えていて、自分以外の方へのフィードバックを聞くのも楽しかった。
 
講義が終わった後、ゼミ仲間から「izmyさんの声、好きなんす。めちゃかっこいいよ!」とメッセージをもらった。飛び上がるほど嬉しかった! あれ? 世界が180度変わっている? もしかして、声の魅力、発見か?!
これまで、周りのネガティブな評価とともに、「女性の声はこうあるべき」とレッテルを貼っていたのは、他でもない自分だったのかもしれない。
思えば、声優や歌手も、はじめは「変わった声だな」と思う人が、レジェンドになっていたりする。世代を超えて愛されるキャラクター『ドラえもん』に声で命を吹き込んだ大山のぶ代さんは、子供の頃に声がきっかけでいじめられて、でも、お母さんは「弱いところはうんと使いなさい。そうすれば強くなるのよ」と声を積極的に出すよう励ましたそうだ。
これまで居た環境からちょっと飛び出して、新たな世界に入ってみると、コンプレックスが「魅力」に転換されることもあるのだ。「嫌い」が「好きかも」にガラッと変わった。
 
ここからの私は、積極的に声を出した。
売れっ子営業職の元同僚が、車の車窓から見えるものは看板でも何でも読み上げていたのを思い出して、日常生活でも目に入った文字を手当たり次第、声に出して読んでみた。すらすらと目では読めるのに、声に出すとつっかえる。目で読むのと、声に出す、では、大きなギャップがあることを実感した。
 
さらに、朗読ゼミでは、滑舌と流暢さだけでない、深みがあることを知った。
その物語や文章の言葉ひとつひとつを丁寧に解釈し、声の大小、声色で立体的に伝えていく。一音を大切に発して、意味を乗せる。聴き手をどんな気持ちにさせたいか、考え抜いて表現すること……スピードと効率が優先の普段の生活で、忘れてしまっていた感覚が彩りを加えてよみがえる。
ああ、子どもの頃、母が絵本をたくさん読んでくれて、言葉を覚えるのが楽しくて、いろんなことを空想しながら歌ったり、おしゃべりしてたな。いつから、画一的なレッテルに縛られたり、小手先だけ取り繕ってうまく話そうとするようになったのだろう。
言葉をもっと大事にしたい。世の中の美しい作品をもっと知りたい。自分のことを好きになったことで、周りにずっと寄り添っていたものが見えるようになり、それらの大切さと尊さを感じられるようになった。そして、奥深くに沈めていた心の声に気づく。
私は、自分をもっと表現したい。

 
 
 
 
***
 
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2024-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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