店は畳んでも、人生は畳むな! 最期の瞬間まで天寿を味わいつくすために必要なこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:777(ライティング・ゼミ11月コース)
「年齢には勝てず閉店することに致しました」
かれこれ十年近く利用している近所のコインランドリーに、一枚の張り紙が出ました。閉店のお知らせです。
五十年以上にわたって経営してきたが、高齢のため閉店を決めた––利用客への感謝とともにそう書かれてありました。
私はしばらく張り紙の前から動けませんでした。
「年齢には勝てず」という言葉に、人生の深みをのぞいたような、もっと言えば自分の未来を見せられたような思いがして、不安になったのです。
そこは老夫婦がご自宅の一階で営んできたコインランドリーでした。五十年以上というと、私が生まれる前から営業なさってきたことになります。
洗濯機四台と乾燥機三台の小さく古いお店でしたが、いつも清潔にされていて、壁際には一輪挿しの花が飾られていました。
朝や夜に店の前を通りかかると、準備や後片付けをする店主ご夫妻を見かけたものでした。
閉店の数日前も、高齢のお体ながら立ったりしゃがんだりして店内の掃除をなさっているおふたりを目にしていたので、なおさら張り紙は唐突に感じられました。とはいえご年齢を考えれば、引退もやむを得ないのだろうとも思いました。
体力や気力は、年齢を重ねるにしたがって衰えていくものです。かつては力が漲っていた肉体も、中年をすぎればあちこちに問題が出てきて、老いを自覚せざるを得なくなります。体力の低下は、気力にも響きます。
ですが、こうした心身の衰えは、日々の運動や生活の仕方次第で遅らせることができます。
肉体と精神。このふたつの健康を長く保てれば、それだけ活動的に生きられる時間も長くなります。
私自身、人生の折り返しを迎えて、健康面で気になるところがちらほら出てきました。老後というものがはっきりと視界に入ってきたいま、定年後も働きつづけるにせよ、隠居するにせよ、少しでも長く、できれば寿命が尽きるそのときまで、人生を謳歌したいと願うようになりました。
それを実現するために、私がこれまで以上に大切にしたいと考えるものが、三つあります。
それは、「運動」「食事」「時間」です。
「運動」については、さまざまな方が具体的な方法と効果を紹介しています。
女優で現在九十一歳の黒柳徹子さんは、毎日五十回のヒンズースクワットが健康の秘訣だと語っています。
同じく女優で七十九歳の吉永小百合さんも、週一回ジムでトレーニングを行い、六十回スクワットをこなしていると言います。
また、九十二歳で逝去された往年の名女優である森光子さんも、晩年まで毎日スクワットを一日百五十回行い、百グラムのステーキを食べるなど元気な生活を送っていたことは有名です。
このお三方のお話とご活躍は、運動の効用と素晴らしさを示す好例だと言えます。
「食事」については、自分に合った分量と栄養を、毎日過不足なく摂取することが肝要だと考えます。若いときと変わらない食生活は、中年以降では確実に「食べ過ぎ」になるので気をつけなければなりません。
一日三食とよく言われますが、人によっては一日二食のほうが体に合っている場合もあります。年齢や体の大きさによっては、一日一食が適量の方もいると思いますし、実際に以前の私の上司がそうでした。
ちなみに私がいまの自分に合っていると感じるのは、一日二食です。
適度な「運動」と適切な「食事」で健康を維持できれば、つぎはその体でもってなにをするのか、ということになりますが、ここで重要になるのが「時間」の使い方です。
恥ずかしながら、私は三十代まで人生と時間の関係についてきちんと考えたことがありませんでした。時間は掃いて捨てるほどあると浅はかにとらえていたのです。だらだらと過ごした日がどれほどあったことでしょう。
しかし四十代になってからは、人生という時間には限りがあることをさまざまな場面で意識するようになり、ときには大きな焦りを覚えるようにもなりました。やりたいこと、やらなければならないと考えていることが、まだまだたくさんあるからです。
ここ数年、時間の有効な使い方について書かれた書籍が非常に売れていると聞きます。高齢化社会にあって、いかに多くの人たちが、時間をうまく使って人生を充実させようと考えているのかがよくわかります。
休息や気晴らしも含めて、しっかり時間を管理して有効に使っていけば、日々の生活はとても生産的になります。反対に、時間を意識せず漫然と浪費すれば、自ずと生産性の低い生活になってしまいます。
人生の残り時間を逆算できるような年齢になれば、一分一秒が貴重。無駄にできる時間はないのです。
私の父は、八十歳をすぎたいまも元気に働いています。数年前に大病を患って手術を受けてからは、食生活を見直し、ウォーキングを日課にして健康維持に努めています。余暇は以前にも増して、好きな読書や旅行を楽しむようになりました。残りの人生を自覚して積極的に生きようとしているのだと思います。そういう父はたしかに老いは進んではいますが、とてもはつらつとしています。
毎日を充実させることは気持ちに張りを与え、心身の健康を増進させます。そして健康な心身は生活をいっそう充実させることになり、それが好循環を生むのです。
コインランドリーの閉店後、一度、店主ご夫妻をお見かけしたことがありました。ご自宅の前でお孫さんらしい小さなお子さんが元気に駆けまわるのを、穏やかに見守っておられました。
微笑ましい生活を送っていらっしゃるそのお姿に、素敵な人生のひとつのかたちを見せていただいた思いがして、心が温かくなりました。張り紙を見たときの不安は、もうありませんでした。
人生百年時代。
運動、食事、時間を大切に、末長く「現役」を楽しんでいきましょう。
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