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初対面の相手でも推しを推せる会話術

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村人F(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「推し」がすっかり市民権を得ているから、きっと誰もが持っているだろう。
そして彼らの多くは思っているはずだ。
「推しを知っている人が周りにいない……」と。
 
私もこの悩みを抱えている。
「Sound Horizon」というアーティストを10年以上追っかけているのだが、知名度がほとんどない。
代表曲はちゃんとあるのだ。
リーダーであるRevoはアニメ『進撃の巨人』のOP『紅蓮の弓矢』で紅白に出場したことがある。
ただこれも10年以上前の話になるため、ピンとこない人の方が多い。
 
そのため「好きだ」とアピールしてもポカンとされてしまうことが多かった。
推し友達にもこの反応が嫌で職場などで話をしない人がいた。
そのせいで好きの共有ができない苦しみを抱えながら生活している。
おそらく他の推し界隈も同じ傾向ではないだろうか。
 
しかし私はかれこれ15年以上、職場だろうが趣味の場だろうが初対面の人への自己紹介で「Sound Horizon」が好きとアピールしている。
しかも結構な確率で興味をちゃんと持ってもらえた。
こうすれば職場で隠す必要がなくなるだけでなく、布教もしやすくなる。
私は5人以上を沼へ招待した実績がある。
これを可能にしたのはある手順に従って会話をしたからだ。
おそらくどの分野でも応用可能なテクニックだと思う。
こちらを紹介しよう。
 
まずは好きなことを聞かれた時に推しの名前を言う。
ここでポカンとされるのは仕方がない。
名前を知っているだけでも奇跡だと思うようにするべきだ。
私も同士のいた経験はこれまで1回しかない。
こんな会社の研修で同じグループの女の子が超絶ファンだったみたいな偶然は滅多に発生しないので期待しない方がいい。
 
続けて代表作を言うのだが、こちらも同じような反応だろう。
去年の紅白歌手すらあやふやな時代なのだから当然と言える。
 
ただここまでは全て「フリ」である。
ここでブッ込むのだ。
これまで使った金額を。
 
思い出してみてほしい。
結構、エグい金額を支払ったのではないか?
私はチケット代に今年だけでも4万円×1回、2万円×2回、1万円×3回の計9万円かけている。
自分で書いてみたがアジア旅行ならできそうな金額で若干引いた。
ただ、これは「Sound Horizon」だけの話ではないと思う。
今は業界全体で高騰しているので、どこも派手な金額を注ぎ込んでいることだろう。
そして、この金額の話を言えば高確率で相手に興味を持ってもらえる。
 
とはいえ「これは金を使いすぎた話をしただけで、推しのアピールにはならないだろう」と思われたことだろう。
それは否定しない。
実際、自分の失敗談という感覚で話しているところもある。
しかし色々試してきたが、この方向性でないと聞いてもらえないのだ。
 
これは上司との会話を想像していただければわかる。
誰だって自分の興味のない趣味の話を延々と自慢されたら「早く終われ」と思うだろう。
そして私たちの推しも残念ながら、ほとんどの方にとって同じ位置づけにある。
ゆえに真正面から好きと言っても嫌なエラい人と似た末路を辿ってしまうのだ。
 
ただこれが「コンサートに行き過ぎて2か月で20万円くらい使っちゃった」みたいな失敗談だと、興味を持ってもらえる。
人々はこういった「やらかし」を面白いと思うからだ。
だからアピールも同様にするべきなのである。
 
そして、ここで笑いを取れば勝ちだ。
相手は間違いなく質問するだろう。
「なんでそんなに金かけるんですか?」と。
 
こうなったら好きアピールも笑い話の延長として受け入れてもらえる。
よって「新しいガンダムの2大主役になった黒沢ともよさんと、石川由依さんが参加しているんですよ!!」とか「劇団四季以上のミュージカルを毎回してくるの!!」みたいな話もスムーズにネジ込めるのだ。
ここまでくればカラオケでも推しを選曲できる上に、もしかしたら調べる人も出てくるかもしれない。
私もこの流れでコンサートに行くレベルのファンを獲得した実績がある。
ぜひ新人歓迎会などで試してみてほしい。
 
現代は「大推し活時代」である。
これは逆に言うと「誰もがマニアックな趣味を持つ」ことを示している。
きっと「推し」という言葉も、「推薦しなければ」という意識から生まれたのだろう。
これはスーパースターが大谷翔平くらいしか存在しなくなった時代の弊害でもある。
 
だからこそ「同じ推しを持つ人はいない」と諦めて口を紡ぐ必要はないのだ。
コンテンツが大量に溢れている時代なので、みんな同じ悩みを抱えている。
ゆえに「好きなものを好き」と堂々と言っても受け入れられやすい時代なのだ。
 
そしてこの会話術はきっと、言えなかった言の葉を紡ぐ呼び水になる。
そうすれば無味乾燥な職場も少し楽しくなる。
推しを受け入れるだけでなく、もしかしたらファンになるかもしれないのだから。
この環境づくりの手助けになることを祈っている。

 
 
 
 
***

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2024-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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