同世代が発した新語に、思わず噴き出して仕舞った
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記事:山田THX将治(天狼院 ライティング・ゼミ9月コース)
みうらじゅん氏を御存知だろうか。
彼は、私の一歳年長の、1958年生まれで、現在66歳だ。
みうら氏の肩書は、『エッセイスト、小説家、ミュージシャン、(各界に亘る)評論家、ラジオDJ、(多岐の分野の)評論家、編集長、ライター、(数々の)解説者』と、数限りない。
御当人に依ると、正式には『漫画家、イラストレーター』らしい。
一般的には、“マイブーム”“ゆるキャラ”といった新語を、流行らせた人物として知られている。
知られているだけではない、みうら氏は、自らが率先立って自作の新語通りの言動を発信し続けているのだ。
私も見習いたいものだと、常々思ったりする。
私は、みうら氏程、多趣味では無いが、仏像と怪獣が好きという点が共通している。
よく冗談で、
「もし、現実の世界にゴジラが現れたとする。逃げ惑う群衆の中に何人かは、ゴジラに向かっていく者が居る筈だ。少なくとも、みうらじゅん氏と私は、ゴジラが来る方向へ、群衆を掻き分けて進むだろう。
どちらが先に、ゴジラに踏まれるかを争って。
折在らば、ゴジラに登る機会も狙って」
と、語ることが有る。
それ程迄に、1960年代中期の怪獣ブームは凄かったのだ。
その時に小学生だった男の子の頭の中は、還暦を過ぎた今でも大差ないのだ。
もう一つの仏像好きに関しては、みうら氏に一日の長が在る。何といっても彼は、京都の御出身だ。しかも子供の頃から、仏像の絵を描いたりしていたらしい。
その点、東京生まれの私は、身近に仏像が無かった。正確には、有名な仏像(例えば国宝の)を所蔵する寺院が無かったのだ。
しかも、私の絵心の無さは幼少期からなので、仏像の絵等は望むべきも無い。
何と云っても、みうら氏の自称は『漫画家、イラストレーター』なのだ。しかも、美術大学出身だし……
更に、みうら氏と私の共通点に、収集癖がある。これは、高度成長期に育った者の特徴で、物が溢れている状態を佳として仕舞うのだ。
もう、高齢者の領域に達しているので近い将来、収集品は負の遺産と為る筈だ。
もし、我々が亡くなった際には、残された遺族が、その収集品の保管又は廃棄を担わなければ為らないからだ。
しかし、我々世代はどうしても、断捨離をすることが出来ない。出来ないだけでなく、手放す決断が付かない物を、
「これは、収集ではない。熟成させているのだ」
「アンティーク品やヴィンテージ物だって、熟成されたから価値が有るのだ」
と、真顔で言ってみたりする。
周囲には迷惑この上ないだろうが。
みうらじゅん氏には、“新語”を生み出す、正確には作り続ける稀有な才能が有ると、私は常々思っている。
最近私が知った、みうら氏発の“新語”は、自らの年齢からか、心身の老化に関するものが多い。その中で、私が思わず噴き出して仕舞ったのは、
『オイルショック(老いるショック)』
と、云うものだ。
これは、若い方達には理解が難しかろうが、本当に、昨日迄躓いたことが無かった僅かの段差を切っ掛けたりして仕舞うのだ。
昔の事は、いつ迄でも覚えているし思い出せるのに、つい10分前の事が綺麗に記憶から抜け落ちたりするのだ。
こうした状態に為った時のショックは、筆舌に尽くし難い。
そんな衝撃をみうら氏は、中高生時代(1973年)の流行語を使って笑い飛ばしてくれたのだ。
これは本当に、我々同世代の老人には有難い限りだ。
もう一つ、最近のみうら氏の新語に、
『アウトロー(アウト老)』
と、云うものも有る。
これは本当の‘悪’(法律の外)を意味するのではなく、‘老い’の外へ出ようと誘う造語だ。
例えば、老人は苦手が定番のPCを使いこなすとか、若者よりも生成AIを理解し、むしろ指導したりすることだ。
要するに、老人が得意な経験がモノ云う事柄ではなく、若者とも同じスタートラインに立つ事柄で勝負しようと云うことだ。
老人は滅多にしない新しい挑戦を、これからもし続けようと云う、実に前向きな提言だ。
私は、『アウト老』の文字を目にした瞬間、同世代のみうら氏に負けぬ様に活きて行こうと決意した。
正確には、みうら氏発の新語に、現在の気の緩みを気付かされたのだ。それで、決意を新たにしたのだ。
多分、今こうしてキーボードを叩き続けられるのも、みうらじゅん氏の新語の御蔭だろう。
私も、みうら氏を見習い、残りの人生に於いて、もう少しだけ目線を上げて活きようと思う。
私は幸いなことに、経済的に尽力しなければ為らない状況だ。
そう、もう少し、
『オイルマネー(老いるマネー)』
を、稼がねば為らないのだから。
***
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