メディアグランプリ

苦手を積み重ね続けたら武器ができあがった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田実香(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「最近はまっていること、好きなことはなんですか?」
よく聞かれるこの質問が、私はとにかく苦手でした。
理由は簡単で、自分に自信がないから、自己肯定感が低いからでした。
よほど昔からの友だちだったら自分の話ができますが、知り合ったばかりだと、私の話を本当に聞きたいですか? 私が興味あることに興味なんてないですよね? などと思ってしまって、なかなかうまく自分の話ができませんでした。

でも、今は、聞かれたら答えることができます。
今年はコーチングとライティングを学び直していて、ひすいこたろうさんと崔燎平さんの本とYouTubeにはまっていて、子どもの頃からカエルが好きでついついカエルのYouTubeを見続けてしまって、最近また宮部みゆきさんの本を読み返していたらそれが面白くて……等々。
自己肯定感が低いから自分の話をするのが苦手だったわけですが、それならば自己肯定感が上がったのかと言われると、以前よりは上がったとは思いますが、それが決定的な理由ではありません。
 
私はもともと、子どもの頃から自分のことを語るのが得意ではありませんでした。
それは、家庭環境のコンプレックスだったり、軽いいじめにあった経験だったり、人間関係のいざこざだったり、人の顔色を窺って自分の言動を変える性格だったり、さまざまな要因があったと思います。
大人になって多くの経験を積んでも、根本的な性格は変えられないままでした。
私なんて、私の話なんて誰も喜ばないし、楽しんでもらえない……、根底には常にその考えがありました。
だから、自分について尋ねられたら当たり障りのない話をしたり、考えているフリをしつつ「ところで、あなたはどうなの?」と話の主導権をすぐに相手に渡したりしていました。
自分の話をするより、そうやって人の話を聞いたほうが楽しいし、話している相手も楽しそうでした。
でも、それを積み重ねていくことで、「やっぱり私には語るようなエピソードもないし、相手を楽しませることはできないんだ」と自己肯定感を下げ続けるという、負のループの中で生きてきました。
 
しかし、今年、いつの間にか負のループから抜け出すことができました。
きっかけは、いつも通り、自分の話をするよりも相手の話を聞いていたときに、その方が言ってくださった言葉でした。
「そうやって、うんうん、て人の話を聞けるのはすごいことだよ。みんな自分の話をしたくて、聞いてほしい人ばかりで、話をちゃんと聞ける人はほんの一握りの人だけだから」
言われたときは、あまり意味を深く考えず流してしまいました。
しかし、その後、同じようなことをほかの方にも言われました。その力は武器になる、もっと伸ばしたほうがいい、とも。
そこでようやく、言われた言葉の意味を深く考えました。
 
話を聞くことが、武器になる? 私の長所である?
人の話を聞いているのは、自分には話すことがないから、楽しい話ができないからであって、そもそも人の話を聞くなんて、誰にでもできることではないのかと思っていました。
でも、よくよく考えてみたり周りを観察してみたりすると、たしかに話を聞けない方はたくさんいます。
私はケアマネジャーをしているので、仕事でも話を聞く場面が多いですが、相談援助が仕事のはずの福祉業界の方々でも、人の話をしっかり聞けず途中でかぶせて話したり、すぐに相手の発言を否定して持論を展開したり、話が脱線したままずっと話し続けたり、そういう方も多くいます。
友人関係でも一方的に自分の話はするけれど、相手の話はあまり真剣に聞いていなかったり、隙あらば自分の話をしようとしたりする人は多いのです。
今まで、自分の話をするのが苦手だから人の話を聞いていただけだったので、それが武器になるなんて、伸ばすべき長所だなんて、まったく考えが及びませんでした。
 
多くの人が自分の話をしたい、話を聞いてほしいから、うんうん、と相手の話を一生懸命聞けばいい。聞くことが大切で、自分の話をしなくてもいい。
そうわかったら、構えずに誰とでも話ができるようになって、今まで以上に人の話を聞くのが楽しくなりました。
すると、あるとき、冒頭のような自分に関する質問をされて、今までだったらすぐに相手に質問で返していたのに、自然と自分の話をしていることに気づきました。
不思議なもので、「自分の話をしなくていい」とわかったら、気持ちが楽になって、自分の話ができるようになったのです。
もちろん、自分の話ができるようになったのは、コーチングを学んでコミュニケーションスキルが上がったこと、メンタルを整えられるようになったこと、さまざまなことにチャレンジして経験値が上がったことなど、多くの要因があります。
でも、いちばんの要因は、やはり「自分の話をしなくていい」とわかったことが大きいのです。
 
長所と短所は紙一重。
昔からよく言われていて、短所も長所となりうることはわかっていたけれど、子どもの頃から苦手だったことが自分の長所であり武器になるとは思いもしませんでした。
これは、今年のいちばんの収穫であり、嬉しかったことです。
これだけ長年に渡って苦手だったことが武器に化けたのですから、ほかの苦手なことも長所や得意に変わる可能性を秘めていると思います。
だから、来年は、もっと聞く力を伸ばす努力をしつつ、ほかの苦手も長所に変換できないか模索していきたいです。
そして、自分の長所に気づかせてもらえたことに感謝し、私も誰かの苦手を長所や得意なこと、できれば大切な武器に変えるお手伝いができたらと思います。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「名古屋天狼院」

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「湘南天狼院」

〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00



2024-12-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事