長宗我部元親プロジェクト 始動
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記事:山岡達也(ライティング・ゼミ9月コース)
この週末は、飛行機でとある場所に旅行していた。高知に帰ってきて感じたのは、高知空港の正式名称が「高知龍馬空港」であることだ。今の名称になってからずいぶんと長い時間がたっているので、何を今さらという話になるが、筆者はこのことに改めて違和感を感じた。観光資源としては、坂本龍馬はうってつけのコンテンツだ。その風貌、言動、そして明治維新を目前に散っていった人生などは、多くのひとの共感を呼んでいる。もしも龍馬が暗殺されなければ、明治政府のあり方も変わっていたとすら言う人もいるほどだ。いったい、龍馬のどこがそこまで人を惹きつけるのだろうか。
明治維新が成功した一因には、仲の悪かった薩摩藩と長州藩が薩長同盟を組んで幕府に対抗したことがあげられるが、二つの藩を仲介するために奔走したのが坂本龍馬とされている。このことが、坂本龍馬の名が後世に広く知れ渡ったきっかけとされている。
しかし、これは後世の誤解が含まれているようで、薩長同盟の主役となったのはあくまでも両藩の藩士であり、坂本龍馬の役割は世間でいわれているほど大きなものではないようだ。それにもかかわらず、龍馬は幾度もコンテンツにされている。NHKの大河ドラマでも、彼を主人公とした作品が2本も作られており、そのほかに映画作品にも龍馬を題材にしたものが複数ある。ここで一つ一つ取りあげていたら、それだけで原稿が終わってしまいそうだ。
その一方で、坂本龍馬と匹敵する、あるいはそれを超えるような業績を上げながら、知名度は龍馬よりもずっと低い人物がいる。
長宗我部元親という戦国時代の武将をご存知だろうか。
こんな質問をしても、返ってくる返事は知らないというのが大半だろう。日本史を勉強した人なら、豊臣秀吉の四国征伐の相手くらいの認識があるかもしれない。しかし、元親がどこの生まれで、どんな生涯を送ったのかは、知る人ぞ知るというレベルだ。彼が土佐の生まれなのかを知っている人は、四国に関係ある人をのぞいたら、10人に1人もいかないだろう。残念ながら、高知にゆかりのある著名人とはとても言い難い。
それでは、長宗我部元親にはどのような業績があるのだろうか。彼は四国をほぼ統一という偉業を成し遂げたのだ。この史実を知って、元親の一生を掘り下げてみたところ、意外な事実が出てきたのだ。幼少期の元親からは、のちに四国を統一できるような武将のイメージが湧いてこないのだ。
元親は幼初期に「姫若子」と呼ばれていた。その理由は、容姿もそうだけど、性格も内気で、のちにとても戦国武将になるとは思えなかったからだ。今の時代に元親が生きていたなら、いわゆるビジュアル系の好青年で、体育会系というよりはむしろモデルをやっていそうに思える。実際、当時の長宗我部の家臣は、彼の武将としての素質を疑っていたそうだ。しかし、初陣となると、評価は一変する。その奮戦ぶりをみた家臣は、元親のことを「鬼若子」と呼ぶようになった。このように、内気に見える美少年が覚醒して、勇者への道を歩んでいくストーリーというのは、コンテンツにするにはうってつけの題材だ。
そして、元親の人生は波乱に満ちたもので、最後は悲劇に終わる。豊臣秀吉との戦いに敗れた元親は、死罪を免れ土佐一国を治めることになるが、1599年に病死する。家督は次男の盛親に継がれたが、その翌年の関ヶ原の戦いで西軍に加勢した盛親は、敗戦により領地を取りあげられた。その後、盛親と一部の家臣は流浪の生活をおくったが、豊臣家に抱えられ、大坂冬の陣、夏の陣を戦った。結局、盛親は捉えられて処刑された。
事実だけ追っていけば、時代の流れに長宗我部家は翻弄されたということになるが、実は、内部ではいろいろと問題が起こっていたらしい。その根本原因は、おそらく勢力を急拡大したことの歪みと思われる。もともと、土佐国は石高二十四万石とされているが、平地がすくなく、農耕が非効率的で、実際には二十万石あるかないかというのが実態だそうだ。しかも、土佐は四国山脈で周りから隔絶されており、隣国へ移動するのも一苦労だ。このような不利な条件にもかかわらず四国をほぼ統一したのは、後世から見ても偉業なのだが、それが家臣や領民に負担を強いることになり、内部でのいざこざが出てきてもおかしくはない。仮に、豊臣秀吉の四国征伐がなくても、内部分裂は避けられなかった可能性は十分に考えられる。
以上のように、長宗我部元親の人生は、ジェットコースターのように乱高下したが、このようなストーリーは、大河ドラマ化しても十分に耐えられると思う。元親の人生を大きく4つにわけて、幼少期から初陣まで、その後の四国統一、豊臣秀吉との戦い、そして失意のままに終わる人生を描けば、いい物語になると思う。もしも、元親をコンテンツに仕上げたいひとがでてきたら、筆者は喜んで協力したい。
ここに、長宗我部元親プロジェクトが始まった。
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