ご利益たっぷりの毎日を過ごして
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:かず(ライティングゼミ・9月コース)
「神様、どうか願いを叶えてください」
「志望校に受かりますように」
「恋人ができますように」
「世界が平和になりますように」
人の願いは尽きない。
それが大きなものであれ、小さなものであれ。
自分のためであれ、世界のためであれ。
まだ20代の頃だったと思う。読んだ本に寺社に参拝できること自体が有難いことなのだ、というようなことが書いてあった。当時の私は全然ピンとこなかった。だが今わかるのは、まず健康であること、時間があること、お金があること。少なくともこの3つが揃っていないと来られない、そしてそれはとても有難いことなのだということである。
健康は言うまでもない。参拝に限らずすべての生活の根幹をなすものである。寺社は山にあることも多いし、階段も多い。バリアフリーに配慮されている場合もないことはないが、まだまだ少ない。やはり、自分の足で歩けるだけの体力があるのが理想であろう。
本当にお金に困っていれば、少しでも時間があれば働かざるをえまい。少し時間ができても疲れ果てていて休むことを優先するだろうし、生活に困っているのであれば、食べ物や日用品といった生活必需品にお金を使うことを優先するのは当然である。
近所の寺社に隙間時間を使っていくことくらいはできるかもしれないが、わざわざ有名な寺社に交通費や時間を使って参拝、というのはなかなか贅沢なことなのである。
若い頃は私も寺社は何かお願いをしに行くところだと思っていた。寺社に参拝に行けば、何かしらお願いをする。そういう場所なのだと思い込んで、特にそれ以上何も考えることはなかった。
その後長い間、あまり人生が上手くいっていないと感じていた時期があった。そんなときも寺社には行っていた。神頼みしに行くというよりも、もう「願う」とか「望む」とか、そういうこと自体に疲れ切ってしまっていた。なんだかもうどうでもいいというか、諦めてしまったというのも違うが、行くが、特に何も願わなくなっていった。
何か望む、ということは、現在のその望みが叶っていない状態を否定し続けることに繋がる。現状を常に否定している状態は、かなり辛いのだ。そんなことが長期的に続けば疲れ切ってしまうのは当たり前である。
そんな状態の時に、願うとはどういうことなのか、ご利益とは何なのか、そんなことを考えるようになっていった。
例えば子供が問題を起こす。だから親は神頼みに来る。だが、そもそも親に問題があり、子供がそれに反発して問題を起こしているのだとしたら。その状態で神頼みに来て、神様は子供の問題を解決するというようなご利益を与えるだろうか。もしかしたら、親の問題を気付かせるために子供の問題というものを与えたのではないか。
家庭のことに限らず、例えば健康の場合もそうである。自堕落な生活を送っていた結果病気になったのに、病気だけ治せというのは筋違いであろう。
そう考えると、もしかしたらいわゆる「問題」自体がご利益なのではないか。取り返しのつかない状態になる前に小さい「問題」が起きる。その段階で自分の行いを振り返り改める必要があるところは改めると、それ以上大ごとにはならないで済む。いつしかそんなことを考えるようになっていった。
無論、自分に原因がない、降ってわいたような問題もあるであろう。それに、問題の渦中にあるときはただただ天や周りを恨むばかりで冷静な判断はできないかもしれない。なかなか自分の非を認めたくないかもしれない。だが、問題の原因が自分にあるというのは、自分で解決できるということでもある。そう考えると、解決の糸口は見えてくるのではないか。
悲劇のヒロインになって周りが解決してくれるのを待つのは一見楽なように見えるが、自分が自分のヒーローになって行動を起こしたほうがよっぽど楽で速いのだ。
現在の私は、寺社に行って得られる最大の御利益は、自分の現状を振り返り、解決の糸口を見つけるための時間を持てることなのではないかと思っている。今後も年齢を重ねるごとに考え方は変わっていくだろう。
日常から離れ自然に囲まれた環境で、静かな時間を過ごす。そんな贅沢な時間を持てることは、本当にとても有難いことである。健康や時間やお金だけではない。一緒に行ける友人がいること、寺社を整備してくださっている人たちがいること。言えばキリはないが、色々な条件が全て揃っていないと成立しないことなのである。
ゆっくりと参拝するという贅沢な時間を過ごす。こんなことができる日常があるというのはご利益以外の何であろう。
***
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