売上はケチャップのようなもの。大切なことは〇〇である
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:久保田倫生(ライティング・ゼミ1月コース)
「おはよう、昨日阪神勝ったんだって?」
以前働いていた職場で断トツNo.1の売上実績を残していた先輩。
先輩の出勤時間は早く、後から出勤してくる阪神ファンの私に対して、いつも阪神が勝った、負けたの話をしてきます。
私はこの人がなぜ断トツの売上を達成できるのか。すごーく不思議に思っていました。
何せフツーのおじさん(言葉を選ばずに言うとオッサン)にしか見えず、女の子大好き、下ネタ大好き、パチンコ、競馬競輪、競艇、博打はなんでも好き。そして極めつけは、はたから見ているとどう見ても営業をしているようには見えないこと。
朝は毎日7時には出勤していて、新聞をかたっぱしから読み、スポーツ紙にも目を向ける。会社支給の無料コーヒーを飲みながら。
そして、8時50分。おもむろに電話を持つと、一気に電話をかけまくる。
内容はほんと、雑談しかしておらず、どうやらアポをとっているようである。
そして、午前中は社内のメンバーと冗談をいいながら打ち合わせをし、昼飯食べながら外出。
お客さんとアポを数件こなし、夕方17:00きっちりに私のところに電話をかけてくる。
「というわけで、今日は上がるからあとはよろしく」
うーん、これはきっと午後のアポに秘密があるに違いない。
そう思った私はこの先輩の営業に同行することにした。
すると、驚愕の事実が……
と期待していたのですが、ほんと拍子抜けなぐらい営業していないのです。
お客さんの会社に行って、受付のおねーちゃんとしょうもない話をし、担当の方とプロレスの話で盛り上がり、先方の仕事の状況について話をし、こちらの商品のことは一切話をしない。そして最後に私が作った提案書を説明せずにおいて帰るという流れ。
2件目も同じ。3件目も同じ。
正直、これでなぜ売れるのか?
当時の私には理解することができなかったのです。
あるとき、先輩に
「どうやったら売上ってあがるんですかね?」
と直球で質問してみたのです。すると、
「人が何かを買いたいと思うタイミングなんてそれぞれだろ? 予測するのなんて不可能だよな」
「だから売上なんてケチャップのようなものなんだよ。出ないときはまったくでないが、出るときはドバドバでるってな」
先輩は、サッカーオランダ代表の点取り屋だったルート・ファン・ニステルローイの言葉を引用して説明した。海外のケチャップは日本のようにプラボトルではなく瓶に入っているのでこのような状況が起こるらしい。私は海外サッカーが大好きで、結構試合を見ていて、ファン・ニステルローイも好きな選手の一人だった。
「でもな……」
「おっと、予定の時間だ。じゃ、またな」
その「でもな……」の後が聞きたかったんだよ!
そんな言葉はむなしく消えていった。
そんな私でも「でもな……」の後がよくわかるようになりました。
彼の行動をつぶさに観察するようになってから。
売上はケチャップのようなもの。出ないときは全くでないが、出るときはドバドバでる。
相手がいる以上、結果である「売上」を自分の都合でコントロールすることは不可能です。以外とこれを理解していない人がいます。かくいう私もその一人でした。
営業ノルマを設定されると、一定期間内に成果を出さないといけないと思い、こんな普遍的なことすら忘れ、相手に寄り添うことを忘れ、自分よがりな強引な営業活動を行ってしまうわけです。結果はお分かりの通り、嫌われ、二度とあなたからは買われないでしょう。
では、営業はなす術なしかというと、そうではありません。
先輩はいつも朝早く来て、新聞に目を通していました。暇つぶしをしているのではなく、自分の担当のお客様の興味を持ちそうなネタを常に探していました。
朝8:50にお客様の担当に電話をかけるのも、いつも同じ時間に電話を掛けることで「あなたのことを気にかけていますよ」という意思表示にもなります。先輩が出張に出ていて朝お客様に電話できないときは、先方の担当から電話がかかってくることもありました。先方は「〇〇さん、何かありましたか? 体調不良とか?」と逆に心配されるくらいです。
午後のアポも仕事の話ではなく、お客様の興味がある話をする。これ、フツーに友達とお話しするのと同じで、お互い気軽にお話しをする。するとたまに「ポロっと」本音が聞けたりする。
夕方17:00に仕事を切り上げてしまうのも、お客様にこの人は17:00以降連絡してもつかまらないと認識してもらい、用があれば17:00までに連絡するか、要件はメールを入れておいてもらう。メールが入っていれば朝早い先輩はすぐに確認して、8:50の電話で回答する。するとレスポンスが早く、必ず対応してくれると思ってもらえる。(一晩空いているにも関わらず)
全ては商品やサービスを欲しいなぁと思った特に真っ先に自分のことを思い出してもらうために行っていたのです。
やっていることは極めてフツーなのですが、それを確実に着実にやる。愚直にやる。
先輩はそんなそぶりは一切見せず、むしろ友達と接するようにしていましたが。
売上はケチャップのようにコントロールすることはできない。
でも、お客様が買いたいと思ったときに最初に自分の顔が浮かぶようにすることはできる。
急なお客様からのオーダーに対しても迅速に対応できるように準備することはできる。
自分ではコントロールできないものをコントロールすることをやめ、
自分でコントロールできることをやる。つまり
「やるべきことを当たり前にやる」
これこそが、営業のコツなのだ。
そう、先輩はそのことを私にいつもいつも教えてくれていたのです。自らの「姿勢」で。
私の好きな阪神タイガースの話をしたり、海外サッカーの話から引用したりして私が気づきやすくしてくれていたのです。
そのことがわかってしまった私。もう先輩の虜ですよね。
何があっても買うときは先輩から買うと思っちゃうわけです。
今でこそ、年を重ね様々な人に様々な相談を受ける立場になりましたが、営業について聞かれるときはいつもその先輩のことを思い出してこう言うのです。
売上はケチャップのようなもの。出ないときはでないが、出るときは出るもの。
だからこそ、大切なことはやるべきことを当たり前にやること。
その姿勢が大切なんだと。
***
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