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ハルと私の成長記録


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記事:中川 百(ライティング・ゼミ3月コース)
 
 
「もっと、ハルちゃんに相談してほしかった~」
当時4歳の娘と一緒にディズニーランドに行った時の、娘の感想がこれです。
効率よく多くのアトラクションに乗る目標を達成していた私にとっては、正直、不満を口にする娘の発言は結構な衝撃で……
だって、皆さん、ディズニーランドって、どう回りますか。もちろん、何度も来ているコアなファンの方々の中には、パレードやショーを撮影するためだけに、朝からパレード最前列にレジャーシートを引いて待つ、という人もいると思います。しかしながら、年に1回とか、良くて2回とかの頻度でしか来られないディズニーファン初級者にとっては、待ちに待ったこの日に「どうやって効率よく、多くのアトラクションに乗れるか」を重視するのが大半ではないでしょうか。
例に漏れず、私もこの日、「娘のために」と、レストランの予約やら、「何とかパス」の取得やら、ショーのエントリーやらを、色々と駆使し、多くのアトラクションに乗ることが出来たのでした。私としては大満足で、娘も、さぞかしご満悦だろうと思っていたのでした。
しかしながら、聞こえてきたのは、冒頭の感想です。
「もっと、ハルちゃんに相談してほしかった~」
 
「そうか、そうだったのか。私、全然間違ってた」
娘が望んでいたのは、アトラクションの数ではなかったのです。どんなアトラクションがあるのか、どんなショーがあるのかを私から聞いて、次にどこ行きたいかを私と一緒に相談して決めて行動したかったんだ、と気づかされました。私は4歳の娘の気持ちを全く無視して行動してしまっていたのです。
私は、一方的に「このアトラクションなら喜ぶはず」「このショーは絶対にハルも好きだ」「これは乗りたいはず」と決めつけていました。時間に追われ、戦々恐々と「何とかパス」の取得のためにスマホを睨む私の横顔を、娘は一日中見つめながら、「相談してほしい」と考えていたのです。そうと思うと、とても申し訳ない気持ちになりました。
「そうだったんだね。ごめん。ママ、全然気がつかなかった。次に行くときは、一緒に相談して決めようね」
この出来事は、私にとっては、とても衝撃的で、それからの育児のスタンスを大きく変更することになりました。
 
世の中のお母さん方がどのように感じているのかは分からないのですが、私個人としては、この時までは、ちょっと錯覚していたのかもしれないなと思います。
私は、娘を自然分娩で出産し、母乳とミルクの混合で育てました。母親と子供の物理的な距離は0mと、何かの本で読んだことがありますが、その言葉以上に、私は、体の一部を娘と共有しているような感覚がありました。そして、考え方も共有しているのではないか、同じように考えているのではないか、という錯覚に陥っていたのかもしれません。
しかし、ディズニーランドでの一件で、「娘は私とは全く別の、一人の人間であり、考え方も性格も全く違うんだ」という事を意識するようになりました。「娘は何がしたいのか、何が欲しいのか、どうしてそう思っているのか、きちんと確認しよう」と決めました。
 
娘に気づかされたことは、まだまだあります。
 
娘が小学校4年生の時、ピアノを辞めたことがありました。ピアノの練習が大変なこと、ボイストレーニングや英語の習い事を頑張りたいということが理由でした。
「楽しそうにしていたピアノを辞めたくなるくらい練習が大変なのかな?」と、娘の気持ちを知りたくて、また、「ピアノが弾ける大人になりたい」と思って、私は、娘が辞めた代わりに、私がピアノのレッスンを始めることにしました。土曜日の同じ時間、同じ先生に教えてもらいました。私も生まれて初めてピアノを弾いたのですが、思うように指が動かず、さっきまで出来ていたところが今はもう弾けない、というようなことも、たくさん起きました。
娘が練習しているとき、私は「練習はもう全部終わったのか」「もう弾けるようになったのか」などと言ってプレッシャーをかけてしまっていました。同じ立場に立ってみて、初めて、娘が練習を嫌になってしまった理由が分かりました。
 
娘は、今年の春で中学2年生になりますが、その後の母子関係は、今のところ良好です。
娘は、小学校6年生の春からピアノを再開しました。ディズニーランドにもディズニーシーにも2人で出掛けます。
「DPA(ディズニー・プレミアアクセス)でパルパルーザとって、プライオリティパスでプーさん取って、朝イチで美女と野獣に並ぼうか……ショーのエントリーも忘れないようにしないと!」という風に、娘も色々と提案してくれます。
 
「成長したな、ハルも私も」そうつくづく思います。
3月24日、本日は東京で桜の開花宣言。また、春が巡ってきました。
 
 
 
 
***

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2025-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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