吉田類で何が悪い!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:前田 さやか(ライティング・ゼミ3月コース)
いきなり言わせてもらう。
「継続は力なり」という言葉を私は嫌いだ。
この言葉、学生時代に、一度は聞かさるだろう。小さい頃から、継続することは素晴らしいとインプットされてきた。しかし、本当に継続や努力は素晴らしいのか? と、大人になって思うことがある。それは、純粋に「楽しむこと」の方が結構大事じゃないかと思うからだ。
実は論語で有名な孔子先生が、2000年も前に「楽しむことは無敵だよ」と、言っていたらしい。私はリケジョ(理系女子)なので、最近まで知らなかった。
たまたま、ネットサーフィンしている時に知った言葉である。
『知好楽』(ちらくこう)と呼ばれる教えだ。小難しい原文は古典の授業じゃないし省いておきたい。原文を訳すとこんな感じだ。
『どんなことも、ただ知っている人より、好きな人の方が上手くいくよ。だけど、好きな人より、さらに楽しむ人の方がもっと上手くいくよ』
つまり、同じ物事で比べると上手くいく人の順番を孔子は教えてくれている。
1位楽しんでいる人
2位好きな人、
3位知っている人
こんな感じだ。
楽しんでいる人が一番無敵なわけだ。
私の趣味はランニングである。気づけば12年継続している。でも、オリンピック選手になったわけではない。もっと言うと、人に自慢できるほどの速いペースで走れるわけでもない。速いどころか、超がつく鈍足ランナーだ。
これまでランニングを続けてきて、はっきり言えることがある。
それは、「継続は力なりではない」ということ。自分のフルマラソンの完走タイムを見てみるとよくわかる。ここ数年は自己ベストタイムから年々遅くなっている。
私は先人たちから嘘をつかれているのだろうか?
いや、違う!
私の取り組み方が明らかに「吉田類タイプ」だからだ。
突然申し訳ない。「吉田類?なに?」と思う方に解説を……。吉田類は居酒屋を巡る番組で有名なおじさんだ。この人が、N H Kで実は「吉田類日本百低山」という番組に出ている。日本の低山を、かわいい女性芸能人を連れて登る番組である。最後に決まって、かわいい女子とお酒を飲んでニンマリするのがお決まりだ。この、なんとも山に対するゆるい感じが、私のランニング姿勢とそっくりで、勝手に自分は「吉田類タイプ」と名付けた。
「吉田類タイプ」なんて、格好悪いだろうと思うかもしれない。でも私は今、何も恥ずかしいと思ってない。
もちろん、ランニング仲間には、少しでも速くなろうと、一生懸命頑張っている人もいる。私はその人たちを「努力タイプ」と呼んでいる。身近な人では夫がそうだ。トレーニングは去る事ながら、研究に余念がない。最新のシューズチェックから、ランニング界の人気ユーチューバーの動画チェックも欠かさない。
夫は夫で、研究すること、速くなろうとすることを楽しんでいる。
思えば、私も走り始めは「努力タイプ」だった。練習をすれば速くなるのが楽しかったし、かっこいいと思っていた。仕事終わりの疲れた体に鞭を打つかのように、ランニングクラブへ通った。しかし、ある時から私の考え方が変わった。
それは怪我だ。
腰痛で走れない時期を1年半ほど経験した。その時、自分にとって走ることはサウナと同じであると気づいたのだ。サウナで心が「整う」ように、走ることで私はリフレッシュされていた。
なので、走れない間、ヤンキーの様に心が荒れ果てていたことを今でも思い出す。
「わー、もう、イライラする!」と。
ちゃぶ台でもあれば、ひっくり返したい気分だった。
あれこれと腰痛の治療に励んで、なんとか走れる体は取り戻した。しかし、以前の様な速さでは走れないのだ。
「え? なんで。なんでこんなに遅いの?」
最初はびっくりした。走っていなかったから当然なのだが、受け入れられずにいた。自分をかっこ悪く思えた。
そんな時に、吉田類が楽しそうに山に登って、お酒を飲む番組を見たのだ。
「好きなことは楽しくやったらいいよ」
と、言われている気がした。走る目的が楽しむことになり、速さや結果を気にしなくなった。すると、不思議と心がスッと楽になった感じがしたのだ。それからは、練習と言っても以前の様にがむしゃらに走ることはやらなくなっていった。
コロナ禍を境に実は、ランニング人口は大きく減ったそうだ。私のランニング仲間も結構減ってしまった。目標を見失った人、走ることが楽しくなくなってしまった人、家庭の事情でやめざるを得なくなった人、理由は様々だ。
仲間を失ってふと思ったことがある。
「好きな事を継続する事は意外と簡単ではないのかな?」と。
私は、幸い今もランニングを続けられている。
なぜなのか?
多分、「吉田類タイプ」に転身したからかな? と思う。あのまま、努力タイプで続けていたら、嫌になってやめていたかもしれない。
先日、夫と同じマラソン大会に出た。タイムだけで見たら人に言えたものではない。自己ベストタイムから1時間も遅くなってしまった。しかも、夫とは2時間も差があった。練習の取り組み方が違うから当然と言えば当然。でも、ゴールしたとき、本当に楽しかったと心から思えた。
大会では沿道では見ず知らずの人が、
「がんばれ!」
と、応援をしてくれる。
声をかけてくれる人に、私は手を振り、
「ありがとう!」
と、全力で答えるのが今のマイルールにしている。
私は以前より応援をパワーにできるようになったと思う。
「今、私応援してもらっているんだ!」と。
幸せ気分を味わうのが、大会の醍醐味だと思うようになった。この幸福感は「努力タイプ」のときは全くなかったものだ。そして、幸福感を味わいたくて、また大会にエントリーしてしまう。おかげで、ランニングをやめられなくなっているわけだ。
吉田類に会えるものなら「楽しむこと教えてくれてありがとう」と言いたい。
大人になるまでやめてしまったことが色々とある。思えば、楽しむことより、こなすことにどれも必死だった。タイムマシンがあれば、子供のころの自分に教えてあげたい。
「継続は大事だけどね、楽しむこと忘れないでね」って……。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜20:00■天狼院書店「名古屋天狼院」
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00■天狼院書店「湘南天狼院」
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00