怒りの地雷や面白いは人それぞれだと感じたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:きりの鮎美(ライティング・ゼミ1月コース)
「なんだ〜? 今日はリオのカーニバルか?」
そう言われたリオさんは、「はぁ? 何それ」とムスッとしてしまった。
私が二十歳くらいの時に働いていたキャバクラで起きた、気まずい瞬間だった。
その日は、リオさんと私とお客さん2名の4人で同伴出勤の日だった。
リオさんのお客さんが、私のお客さんの上司だから必然的にリオさんを立てる雰囲気で、
ちょっといい焼肉屋さんで食事をしてお店に出勤した。
羽振のいいお客さんだったので、リオさんはいつもより上機嫌で、
「見て〜、鮎美ちゃん、今日新しいドレスなんだ」と言いながら、
鮮やかなエメラルドグリーンにビジューがたくさんついたドレスに着替えていた。
お店の子とは特別仲良くしているわけではないので、
バックルームで話しかけてくるなんて珍しいな、なんて思いつつ、
「わ〜、綺麗なドレス、似合ってますね〜」と、当たり障りない会話をしてお客さんの待つフロアに出た。
そして、そんな新品のドレスに身を包んだリオさんを見た、
リオさんのお客さんの第一声が冒頭の場を静まり返した一言である。
私はその一言を聞いた時、確かに! 色もエメラルドグリーンだし、ビジューもキラキラで派手!
おまけにそんなドレスを着ているのがリオさんなんだから、
こりゃリオのカーニバルだわ〜!! と思い、お客さんと一緒に笑おうと思った瞬間、
横目に入ったリオさんのムスッとした顔。
え? ここって笑うところじゃないの? と少し混乱するも、
なんとか笑いを堪えて、「え〜、そうですか〜」と気のない適当な返しをするに留まった。
当のリオさんはムスッとしたままグラスに氷をカランカランと入れながら、
「で? 今日は何飲むの?」と、リオのカーニバルの話には一切触れず注文を催促し始めた。
いやいや、仮にも接客業で相手はお客さんなんだから、と思うも、
お客さんもお気に入りのリオさんのご機嫌が斜めになってしまったことを察して、
シャンパンでも開けようかと言うご機嫌取り。
なんとかシャンパンでリオさんのご機嫌も持ち直し、ピリッとした空気が和やかな雰囲気に持ち直した。
話を蒸し返すのも悪いので、その後リオのカーニバルについては誰も触れなかったけど、
私の頭の中はリオのカーニバルのことでいっぱいになってしまった。
もし、私が同じことを言われたら、
「めっちゃ面白いこと言うね! じゃあここで踊っちゃおうかな〜?」とか、言うのにな。
リオさん、新しいドレスをイジられたことが気に入らなかったのかな? とか、
もしかして、自分でも実はそんなイジられ方するんじゃないかと想定していたのかな?とか、
リオさんがなぜ怒ってしまったのか考えに考えた。
それでも、私はリオさんがどうして怒ってしまったかはとうとう分からなかった。
私はリオさんじゃないから分からなかった。
怒りの地雷は人それぞれだなと感じた。
ふざけた事が楽しいと感じやすい私なので、面白いと感じたのもあると思った。
以前お付き合いをしていた男性が非常に真面目で、面白おかしくふざけても全然ウケない人がいた。
時には一緒にふざけようよと誘ってみても一切ノってこない。
「なんで、ふざけないの〜?」と聞いてみたら、
「面白くないし、馬鹿みたいで恥ずかしい」と言っていた。
この人はいつも真面目で何が楽しいんだろうと、とずっと思っていた。
でも、逆に私がふざけていい場面でふざけるなと言われたら非常に辛い状況だと思う。
だからきっと、この人はふざけることが苦痛に感じているんじゃないかと気づいた。
私だったら楽しいことも、相手にとっては楽しくないこともあるんだなと。
きっと、こういう人はリオのカーニバルなんてイジリをされたら怒るタイプの人なんだろうな〜。
当然ながらこの彼とは1年も経たないうちに別れた。
原因はいろいろあるけど、やっぱり根本的な価値観が違いすぎた。
あの日、もしリオさんが怒らなければ、私はあのお客さんとリオのカーニバルで盛り上がれたのに、もったいないなと思いつつも、
リオさんが怒ったおかげで、そういったことが嫌な人もいるんだと気づく事ができた。
性格や価値観はいろいろあるから、ついうっかり地雷を踏んでしまうこともある。
人間関係の難しいところだ。
皆が皆同じことで笑えるわけではないけれど、結局仲のいい人は同じようなことで笑える人たちだ。
ただ、社会人生活をしていると、仲のいい人だけではない様々な人と関わっていくので、
自分の価値観だけを押し付けないように、相手の地雷を踏まないように、
これからも気をつけて人と関わっていこうと思う。
***
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